■身を挺してでも 本当の怖さ知って、黙らず行動する時
私は、敦賀原発(福井県)近くの女子大で4年ほど学長をやっていたことがあります。行ってすぐ、〝原発見せてくれ〟って言い、嫌がるのを強硬に見せてもらいました。そのとき、案内してくれる人に、何を聞いてもちゃんと説明できない。不気味なところに来たと恐ろしい思いがしたものです。
それで、いろいろと原発のことを勉強しました。そしたら、もし敦賀で事故が起きたら、京都も大阪も危ない。京都は80㌔圏内に入ってしまうということがよくわかりました。
今回の福島原発事故でも、政府は「安全だ」と、繰り返してきたけど、全然違う。人間の知識なんてたかが知れているんですよ。人間は放射能を無害化できる技術さえ、まだ開発できていないんです。
国民は、原発事故の危険性を本当に知らされてこなかった。
日本共産党の不破(哲三社研所長)さんや、吉井(英勝衆院議員)さんは、随分前から原発の危険性を訴えてきましたよね。政府や電力会社が聞く耳を持っていればと、本当に残念です。原発事故は人災です。戦争が人災と同じように。絶対許せません。
私たちは今からでも知らなきゃいけない。原発のこと、震災のこと。それから、黙っているんじゃなく、行動しなくてはいけない。でないと自分の意思は伝わりません。だから私は、9月の「脱原発」の集会(注)の呼びかけ人も引き受けさせていただきました。
日本の国民はおとなしすぎる。私は身を挺(てい)してでも原発に反対していきたいと思っています。
「原発ゼロ」というと、すぐ「電力が足りなくなる」という人がいる。でも、ちょっと前までは、いまみたいにクーラーをがんがん使わなかったでしょう。日本人は優秀で、きっと風力発電も太陽光発電もできます。少し節電して、努力すれば原発に頼らなくても、電気は足りますよ。
私は、大震災で犠牲になられた方々は、生き残っているものの代わりになってくれたと思っています。私たちは彼らのおかげで生きている。だから、亡くなった人の分までがんばって、大震災からの復興と、原発を止めることをやらなければいけないと思うんです。