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2022年1月5日(水)

日本共産党創立100周年 参院選で勝利・躍進必ず

2022年党旗びらき 志位委員長のあいさつ

 日本共産党の志位和夫委員長が4日の党旗びらきで行ったあいさつは次のとおりです。


 お集まりのみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、2022年、明けましておめでとうございます。(「おめでとうございます」の声)

一、オミクロン株――命を守るための緊急対策を求める

写真

(写真)党旗びらきであいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

 新型コロナウイルスのオミクロン株が、世界各国で急速な感染拡大を引き起こしています。日本でも、今後、感染拡大が急速に進むことを想定した対策が必要となっています。私は、国民の命を守るために、政府に対して、以下の緊急の対策を実施することを強く求めるものです。

 ――重症化リスクの高い高齢者などを中心に、6カ月後の3回目ワクチン接種を、最大限、迅速に行うこと。

 ――高齢者施設や医療機関に対して、積極的な定期検査を行う方針を明確に打ち出し、自治体のとりくみを全面的に支援すること。また、無症状者を対象に「いつでも、誰でも、無料で」受けられるPCR検査を全国的に行うとともに、陽性者を保護すること。

 ――有症者を自宅に決して置き去りにせず、重症化を防ぐ医療を提供するために、地域の医療機関の連携と体制強化をはかること。

 ――発熱外来の体制支援への補助金の復活、診療報酬の引き上げなど、医療機関への十分な支援を行い、保健所の恒常的な職員増など体制強化にとりくむこと。

 新型コロナから国民の命と暮らしを守り抜くたたかいに、引き続き全力をあげる決意を、年頭にあたって固めあいたいと思います。(拍手)

二、4中総決定の生命力――“政治対決の弁証法”をつかんだところで新たな活力が

 まず、昨年11月27日~28日に開催した第4回中央委員会総会決定の生命力についてお話ししたいと思います。

 4中総決定では、自民党などの支配勢力と、野党共闘・日本共産党との攻防のプロセス――“政治対決の弁証法”という角度から、総選挙の総括と教訓を導きだし、参議院選挙での反転攻勢を実現する方針を打ち立てました。

 4中総決定をよく読み、よく討論し、“政治対決の弁証法”をつかんだところでは、「がっかり感」を吹き払って、次のたたかいへの大きな活力がわきおこっていることが、全国から報告されています。

「4中総と私」の運動が力を発揮しつつある

 4中総決定の意義を、自らの党員人生と重ね合わせて語り合う「4中総と私」の運動が、大きな力を発揮しつつあります。

 宮崎県・東諸県郡・綾町支部では、4中総決定を3回討議し、5割の支部員が読了・視聴し、12月に、日刊紙・日曜版とも読者を前進させています。支部長さんは次のように語っています。

 「党のたたかいは絶えず反共攻撃にさらされ、これをうち破ってきた歴史でした。4中総で、たたかいのなかにこそ喜びがあるという共産党員魂がよびおこされました。支配勢力を攻め落とすたたかいに一段と力を入れたい」

 群馬県・東毛地区・大間々支部では、4中総決定を4回討議し、支部ニュースで4中総を読んでの「私の思い」を紹介。12月に、日刊紙・日曜版とも前回参院選時を回復しています。ある支部員は、「私の思い」に、次のようにつづっています。

 「選挙結果に『あれだけやったのになぜ?』という気持ちで、途中でテレビを消しました。……4中総を読んだら、自公が危機感をもって総力戦で巻き返してきたからだという分析。その通りだと思いました。今の政治に満足していないのだから正々堂々と活動して、夏の参議院選挙をいまからやらないと遅くなる」

 千葉県・中部地区は、92・5%の支部が4中総決定を討議し、45・4%の党員が読了・視聴し、12月に日刊紙で読者の前進を勝ち取っています。黒須康代地区委員長は、次のような報告を寄せてくれました。

 「4中総以外に参議院選挙に勝つ道はないと思っています。総選挙で後退したのがすごく悔しい。みんな悔しい。だからこそ冷静な分析が大切です。……4中総で自分たちのたたかいを客観的に分析してこそ、次のたたかいの方向が出てきます。4中総を討議していって生まれている変化は、支部のみなさんが『綱領を学ぼう』『一人ひとりが党を語れるようになろう』という思いを強めていることです。私の思いとしても、みんなが綱領を語り、党を語れる地区党をつくりたい。そうなったら、どんな攻撃が行われてもはねかえせる党になる。それができれば新しいステージで参議院選挙に勝つ展望も見えてくる」

 「4中総と私」の運動を、大いに広げようではありませんか。

「今までは認知されなかった共産党の主張がファーストステージに上った」

 4中総決定は、党外でも反響を広げています。これまで党とほとんど接点がなかったある政治学者が、次のような感想を寄せてくれました。

 「4中総を読んだ感想として、非常によくできている。誰がつくったのか。よく分析し、しっかりした戦略を立てていると思う。(『新しいステージの共産党攻撃』とあるが)そこが大変に重要なポイントだと思う。私も4中総を読んで一番感じた点だ。(日本共産党は)言葉は悪いが、長い間の眠りから抜け出す大転換をこの数年間でなされた。そして今回初めて政権という土俵に上った。今までは認知されなかった共産党の主張がファーストステージに上ったということだ」

 「誰がつくったのか」という質問に対しては、「全党の声を集めてつくりました」とお答えしました。「長い間の眠りから抜け出す大転換」とも評価をいただきました。眠っていたわけではありませんが、たしかに野党共闘の路線への大転換をするなかで、「今までは認知されなかった共産党の主張がファーストステージに上った」。つまり、これまでは政権と対峙(たいじ)する野党の主張という受け止めだったものが、政権に参加する党という「ファーストステージ」での主張と受け取られるようになった。そういう「新しいステージ」での困難だということを、深く理解していただいた感想でした。私たちが、“政治対決の弁証法”と呼んだものと同じ捉え方が、政治学の専門家からも寄せられたことは、たいへんに心強いことではないでしょうか。

 現在、4中総決定を届けた党員は59・0%、読了・視聴党員は27・9%、討議・具体化支部は66・1%です。

 みなさん、「4中総以外に参議院選挙に勝つ道はない」――これを全党の共通の決意にして、1月末までに、4中総決定をすべての党員に届け、5割以上の党員が読了・視聴し、すべての支部での討議・具体化を必ずやりぬこうではありませんか。(拍手)

三、参議院選挙にむけた「3本柱の活動」の到達点について

 同時に、いま、広く国民のなかに打って出て、参議院選挙に向けた「3本柱の活動」――(1)3月末までを節に参院選勝利・躍進の政治的・組織的とりくみの確かな前進をつくる、(2)反共攻撃にかみあって積極的支持者を増やすとりくみを大戦略にすえてやりぬく、(3)世代的継承のとりくみを中軸にすえて党員拡大の独自追求を抜本的に強める――を前進の軌道にのせるために力をつくすことを訴えます。

 12月の到達点は、「第1次折り入って作戦」で働きかけた数は2万1000人、「集い」は599回、対話は6万人、支持拡大は3万6000人となっています。読者拡大では、全党の大奮闘によって約1万9000人の新たな読者を増やしましたが、年末の読者の減少に追い付けず、約8800人の後退となりました。党員拡大では、新たに186人を党に迎えましたが、現勢では前進となりませんでした。

 4中総決定で、党は、間違いなく新たな活力を得つつありますが、国民の中に打って出る活動は、ようやく始まったところ――これが私たちの到達点であります。

 この1月から、「3本柱の活動」の本格的な前進を、みんなで力をあわせてつくりだしていきたい。そのために今日、私は、4中総決定を前提にしつつ、次の三つの確信をしっかりとつかんで、いま国民の中に広く打って出ることを訴えたいと思います。

四、野党共闘、気候危機、ジェンダー――党への新たな期待と関心が広がっている

 第一の確信としてのべたいのは、昨年の全党の大奮闘によって、これまで全く党と接点がなかった新しい方々に、わが党への期待と関心が広がっているということであります。

 その一つは、わが党が、ブレずに、誠実に、市民と野党の共闘にとりくんできたことが、新しい信頼を広げていることです。

 いま一つは、わが党が、暮らしの問題、平和の問題とともに、気候危機打開とジェンダー平等という世界と日本の大問題を訴えてきたことが、若いみなさんをはじめとして、私たちの声がこれまで届かなかった方々に共感を広げていることです。

 私は、総選挙後の経験から、2人の方を紹介したいと思います。

「気候危機打開の2030戦略」――「日本が変わる素晴らしい政策」

 お一人は、「しんぶん赤旗」日曜版で、私との新春対談に登場していただいた、小田原かなごてファーム代表の小山田大和さんです。小山田さんは、営農をしながら農地を発電にも活用するソーラーシェアリングにとりくむ起業家です。小田原市の現場にうかがい、とても楽しい対談となりました。小山田さんは、日本共産党が発表した「気候危機打開の2030戦略」を次のように高く評価してくれました。

 「すべて『2030戦略』の通りになれば、日本は変わると思えるくらい素晴らしい政策です。……どんなに自民党があがいても間違いなく共産党が提案したような方向に向かわざるを得ない。ぼくは共産党の政策提言能力をすごく評価しています。政策をさらに深化させてほしいというのが今後の要望です」

 小山田さんは、「警察一家」に生まれ、「まっとうな保守」を名乗る方ですが、小山田さんが日本共産党に共感を持つきっかけになったのは、わが党が安保法制が強行された2015年9月に野党共闘を呼びかけたことだったといいます。小山田さんは、党の呼びかけに「鳥肌が立った」と言っておられました。「(共産党が)それくらい大きな決断をしたんだから国民の側も(共産党との)壁をブレークスルー(突破)しなければならない」と、共産党応援の街頭演説に立つことになったと語ってくれました。これまで接点がなかった方が、まず野党共闘へのわが党の姿勢に共感してくれ、「2030戦略」で強く支持してくれるようになった。とてもうれしい出会いとなりました。

ジェンダー平等の政策――「これこそ求めていたもの、気持ちに光が差し込んだ」

 もうお一人は、長崎県で学ぶ、トランスジェンダーの吉村ゆうさん(20歳・仮名)です。ジェンダーと気候変動の問題に関心があり、各党の政策を調べるうちに日本共産党を支持するようになりました。吉村さんは、「ジェンダー平等を掲げる共産党の政策を見たとき、これこそ求めていたものだと確信しました。私のように苦しんでいるたくさんの人の救いになると感じ、気持ちに光が差し込みました」と語っています。

 吉村さんは、12月22日に行われた日本共産党長崎県委員会の決起集会で、次のように発言しています。

 「私が、共産党や民青同盟に出会ったのは、街頭での田村貴昭衆議院議員の演説会でした。少し聞いてから行こうと思い足を止めました。すると想像以上に素晴らしい話で、その余韻に浸っていたら、民青の筒井涼介県委員長に声をかけてもらいその場で加盟しました。その後、10月に入党の誘いを受け、決意しました。……党や民青のことを友人、知人に話すと、かなりの好評を得ます。特にジェンダー平等の問題に関しては、『本当にすごいな』という声をもらい、私としてもあらためてすごいことに出会ってしまったと感じています。党や民青に出会って本当に良かった。人生が好転したと思っています」

 私は、吉村ゆうさんの入党を心から歓迎したいと思います。(拍手)

 みなさん、同じような出会いは、全国各地で広がっているのではないでしょうか。

 4中総決定を受けて、国民のなかに打って出た経験で共通して報告されているのは、「国民の反応が温かい」「参院選でがんばってほしい」と激励されるということです。

 昨年の全党のみなさんのがんばりによって、日本共産党に新たな関心と期待を寄せてくれているたくさんの方々が生まれています。

 みなさん、このことに確信をもって、新春から、参議院選挙の勝利・躍進をめざす活動に、みんなで足を踏み出そうではありませんか。(拍手)

五、岸田自公政権と対決して、外交と経済で、日本の新しい進路をどう訴えるか

 第二に確信にしていただきたいのは、新しい年に、岸田自公政権と対決して、外交と経済で、日本の新しい進路をどう訴えるかという問題についてであります。

米中の覇権争い――軍事対軍事の悪循環に厳しく反対する

 米中の覇権争いがさまざまな分野で強まるもと、日本の進路が問われています。

 中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義の行動に対しては、国連憲章と国際法にもとづいた冷静な外交的批判が何よりも大切であります。

 米バイデン政権は、中国に対して、軍事同盟の全面的強化で対応しようとしており、岸田政権は、米国に追随して、敵基地攻撃能力の保有など大軍拡、憲法9条改定など、海外派兵体制の強化をはかろうとしています。軍事対軍事の悪循環とエスカレーションは、偶発的な衝突や戦争という破局的事態を招きかねない、危険きわまりない道であります。

 日本共産党は、東アジアと日本を危険にさらすこうした道に厳しく反対するものであります。とくに、岸田政権による9条改憲の企てを断固阻止するために、5月3日の憲法記念日にむけて、9条改憲阻止の署名を、全国津々浦々から1000万の規模で集めることを、年頭にあたって、心から呼びかけたいと思います。(拍手)

どうやって東アジアを平和と協力の地域にしていくか――日本共産党の提案

 それではどうやって東アジアを平和と協力の地域にしていくか。どんな国であれ覇権主義は許さないという立場に立ち、国連憲章と国際法という共通のルールにもとづいて、あらゆる紛争を平和的な話し合いで解決し、平和的に共存する道を追求する外交努力に徹する――このことが、いま強く求められています。

 こうした道を一貫して追求してきたのがASEAN(東南アジア諸国連合)であります。ASEANは、紛争を平和的な話し合いで解決することを義務づけた東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、域内で年間1000回にも及ぶ会合を開くなど、徹底した粘り強い対話の努力を積み重ねることで、この地域を「分断と敵対」から「平和と協力」の地域へと大きく変えてきました。

 日本で活動する私たちにとって重要なのは、ASEANが、こうした平和の地域協力の流れを、域外の諸国にも重層的に広げていくために一貫した努力を払っていることです。なかでも、ASEAN10カ国+8カ国――日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド、米国、ロシアによって構成される東アジアサミット(EAS)が、毎年首脳会議を開催し、この地域の平和の枠組みとして発展していることは、きわめて重要な意義をもつものであります。

 ASEANは、東アジアサミット(EAS)を、東アジアの平和と協力の機構として強化していくために、一貫した努力を重ねていますが、その到達点として、私たちが注目しているのは、2019年のASEAN首脳会議で採択された「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」であります。この構想は、東アジア地域の全体を、東南アジア友好協力条約(TAC)の「目的と原則を指針」として、「対抗でなく対話と協力の地域」にし、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約(TAC)をめざそうという壮大な構想であります。視野を世界に大きく広げてみれば、希望ある平和の流れが、この東アジアで大きく広がっているではありませんか。

 いま日本政府がやるべきは、破局的な戦争につながる軍事的対応の強化ではありません。ASEAN諸国と手を携え、すでにつくられている平和の枠組みを活用・発展させて、東アジアを平和と協力の地域にしていくための、憲法9条を生かした平和外交ではないでしょうか。すなわち、東アジアサミット(EAS)を、米中日を含む「対話と協力」のフォーラムとして強化し、あらゆる紛争問題を平和的な話し合いで解決する努力を積み重ねつつ、東アジア規模の友好協力条約(TAC)をめざすことであります。日本共産党は、そのための真剣な外交努力を、日本政府に強く求めるものであります。(拍手)

 日本共産党は、昨年12月の常任幹部会でこうした提案を確認し、関係各国との対話を始めています。12月24日、笠井亮国際委員会副責任者がインドネシア大使館を訪ね、わが党の提案を伝え、たいへん良い意見交換ができました。12月29日、私は、ベトナム共産党のトゥオン書記局常務とオンライン会談を行う機会がありましたが、この場でもわが党の提案を伝えました。トゥオン氏は、ASEANの役割の重要性を強調しつつ、「域外のパートナー諸国との関係を重視していきたい」と応じました。こうした努力をさらに継続していきたいと考えています。

 みなさん、「海外で戦争する国」づくりでなく、東アジアを平和と協力の地域にするための平和外交を――この訴えを、2022年、広げに広げようではありませんか。(拍手)

新自由主義を転換して、“やさしく強い経済”をつくろう

 日本経済の進路をどう展望するか。

 私は、「しんぶん赤旗」の新春企画で、東大教授の本田由紀さんと対談する機会がありました。本田さんは、総選挙のさいに、日本共産党に対して、「ぶれないのに柔軟。強いのにやさしい。理知的なのに温かい」というすてきなキャッチフレーズをつくってくれ、応援してくださった方です。

 本田さんは、対談で、共産党が総選挙で訴えた政策について、「どれもすごく大事で、私は賛成します」とのべたうえで、次のような趣旨の問題提起をされました。

 “でもその訴えが響かない人々がいる。たとえば、30代、40代ぐらいの働き盛りの男性にどう響く訴えにしていくか。自民党などは空疎だけれどもキラッキラな素晴らしい将来がすぐそこにあるかのような公約を掲げている。やさしさや多様性にくわえて、強さや活力ということが伝わる訴えを加えられないものか”

 私は、この問題提起について、真剣に受け止めたいとのべました。コロナを体験して、新自由主義から転換しなければならないというのは、いま多くの人々の共通の主張となっています。それでは新自由主義から転換して、どんな社会をつくるのか。“やさしく強い経済”をつくろうというように訴えてみたらどうかということを考えていると、私は、お話しいたしました。

 これは、言葉遣いの問題だけではなくて、新自由主義がどんな社会をつくってしまったかを踏まえて考えました。

 1980年代から始まり、90年代に本格化した新自由主義のもと、三つの悪政が国民に押し付けられました。労働法制の規制緩和で、「使い捨て」労働が蔓延(まんえん)しました。社会保障の連続切り捨てで、医療も介護も年金も貧しくされました。消費税の連続増税と富裕層・大企業減税で、税の公平が破壊されました。

 それは日本社会をどんな社会にしてしまったか。一つは、人々に「自己責任」と「自助」を押し付ける“冷たい社会”です。同時に、それは決して本当の意味での“強い社会”ではありません。反対に“もろく弱い社会”をつくってしまいました。

 まず、「成長できない国」になってしまいました。OECDによるとこの7年間(2013年~20年)で見て、実質GDPの伸びは、アメリカが25%、ユーロ圏は14%に対して、日本はわずか6%。日本は世界で最も「成長できない国」になってしまっています。1次産業や中小企業の疲弊も深刻になっています。

 また、「危機に弱い国」になってしまいました。長年にわたって社会保障と公衆衛生の切り捨てを行い、医師数を抑制し、保健所を半分にしてしまった結果が、新型コロナにさいしての深刻な医療崩壊でした。

 さらに、「競争力の弱い国」になってしまいました。IMDというスイスのシンクタンクが発表している各国の競争力ランキングで、日本は1990年代初めの世界1位から、直近では34位に落ち込んでいます。半導体一つとっても、日本はかつて世界で50%以上のシェアがあったのが、今では10%まで落ち込み、自前で半導体の調達もできない国に転落してしまいました。

 こうした角度から現状を告発し、三つの悪政の根本からの大改革を実行する――労働法制の規制緩和路線を転換して人間らしく働けるルールをつくる、社会保障を切り捨てから拡充に切り替える、富裕層と大企業に応分の負担を求め消費税を減税する税制改正を行う、いのちと地域経済の支え手である1次産業と中小企業を再生する――こういう道に切り替える大改革によって、“やさしく強い経済”をつくろうということを訴えていこうではありませんか。

 とくに、「成長できない国」になってしまった最大の根源に、“働く人の賃金が上がらない異常な国”という大問題があります。1人当たりの実質賃金は1996年と2020年を比較して、実に62万円も減少しています。このわが国経済の最大の問題点を打開するとりくみに、今年、力をそそごうではありませんか。

 労働法制の規制強化によって構造的に正社員の割合を増やす、中小企業支援とセットで最低賃金を時給1500円に引き上げる、年収で240万円にも及ぶ男女の賃金格差を解消することなどを一つひとつ実現し、労働者と国民のたたかいの力で「賃金が上がる国」に変えていこうではありませんか。

 みなさん、新自由主義を転換して“やさしく強い経済”をつくっていきましょう。そのために2022年を、暮らしの切実な願いにこたえたたたかいを、あらゆる分野で発展させる年にしていこうではありませんか。(拍手)

六、世代的継承でたしかな前進と発展の芽――党の総力を結集して成功させよう

 第三に、みんなの確信にしていただきたいのは、世代的継承という、多くの同志のみなさんが心を痛め、また、その前進を強く願っている活動で、たしかな前進と発展の芽が生まれているということであります。

民青全国大会の成功――後退から前進へと転じたことは大きな喜び

 2021年、民青同盟は、1276人の新たな同盟員を迎え、同盟員現勢で19年ぶりに前進して、12月11日~12日の全国大会を迎えました。学生分野は民青同盟員が昨年の1・2倍になり、学生党員も前進しました。民青学生班、学生党支部を結成・強化している経験が各地で生まれています。この分野で後退から前進へと転じたことを、若い仲間のみなさんとともに喜びたいと思います。(拍手)

 私は、民青全国大会の発言録を拝見しましたが、食料支援活動などをきっかけに、新自由主義の呪縛から解放され、たたかいによって社会は変えられるとの確信をつかんだことが、生き生きと語られています。

 「自己責任だとあきらめていた問題は新自由主義的な政治の責任だと気づくことができ、自分一人で何とかしなければと背負っていた重い肩の荷がすっと軽くなった」

 「民青の呼びかけ文を読んだとき、私は息をのみました。自分の抱えるもやもやが論理的に整理されてあり、状況は変えられるとのべられていたからです」

 こうした発言が、つぎつぎに語られ、大会は大きな成功をおさめました。

民青と力をあわせて党が本気でとりくむなら、必ず変化をつくることができる

 私が訴えたいのは、いま民青同盟が前進・発展する大きな可能性が広がっており、民青と力をあわせて党が本気でとりくむなら、必ず変化をつくることができるということであります。そのことは、民青全国大会の後の12月23日に開催された党全国青年・学生部長会議でも生き生きと明らかになりました。

 「ゼロのところから出発して飛躍をつくった」という発言が続きました。愛知県の都出浩介青年・学生部長は、ある地区の市の党組織が、2020年7月に1人の学生同盟員を迎えたことをきっかけに、学生を一人にしてはおけないと、地区常任委員の市議会議員を先頭に、党組織あげて系統的な努力を続け、学費問題を考える集いの開催、学生アパートへのビラ配布、街角トークなどにとりくみ、新たに20人の同盟員を迎え、二つの民青班をつくるとともに、学生党支部を結成した経験を語りました。

 北海道の金倉昌俊青年・学生部長は、党と民青の共同の事業として100人の拡大目標をやり切ったドラマを次のように報告しました。

 「4中総の時点で、100人の目標まであと19人だった民青拡大ですが、その後の民青道委員会の大奮闘によって100人目標を達成することができました。しかも、全国大会最終日の閉会あいさつぎりぎりでの達成ということで、ロスタイムでの決勝ゴールを決めたような大興奮に北海道は包まれました。2日間で12人の拡大での達成でした。……党としても、この目標達成に最後まで共同の事業として努力をつづけました。世代的継承ニュースを連日発行して、地区にも届けました。対象者の紹介を最後まで呼びかけて、刻々と変わる拡大の前進のようすを北海道委員会のすべての常任・勤務員に伝わるようなメールの発信にも努めました。青山道委員長も最後は立ち上がって、各地区委員長に電話して『何としても目標をやろう』というふうに激励をしてくれました」

 北海道の民青と党の大奮闘が目に浮かぶような報告ではありませんか。目標達成への民青のがんばりは、党としても学ばなければならないと思います。

 みなさん、私たちの目の前に大きな可能性と条件が開かれています。党の総力を結集して、世代的継承の事業を必ず成功させ、若い力を党に迎えいれながら参議院選挙での勝利を勝ち取ろうではありませんか。(拍手)

七、沖縄の政治戦――「オール沖縄」への連帯と支援を心から訴える

 今年は、1月16日告示、23日投票の名護市長選、南城市長選を皮切りに、沖縄県内11市中7市で市長選挙が行われます。7月の参議院選挙、9月の統一地方選挙、県知事選挙と、沖縄では重要な選挙が続きます。

 本土復帰50年の年にたたかわれる沖縄の政治戦で、辺野古新基地押し付けの強権政治にノーの審判をつきつけ、平和・命・暮らしを守る力を大きくするために、「オール沖縄」への全国の連帯と支援を心から訴えるものであります。(拍手)

八、党創立100周年の年――参議院選挙での勝利と躍進を必ず勝ち取ろう

 みなさん。今年は、党創立100周年の年です。

 本田由紀さんは、新春対談で、党創立100周年について、次のような言葉を寄せてくれました。

 「共産党は100年の歴史をもっておられるわけですが、やはり、あきらめないということ、続けるということ、正しいことを掲げるということ、将来を見据えるということ、それを全部やってこられたのが、日本共産党だと思います」

 「あきらめない」「続ける」「正しいことを掲げる」「将来を見据える」――本田さんの党創立100周年へのエールを、私は感動をもって受け取りました。

 日本共産党の100年は、どんな迫害や逆風にも頭を垂れず、あきらめず、たたかい続けてきた不屈の100年であるとともに、内外の情勢の激動を科学的社会主義の立場から冷静にとらえ、情勢にそくして理論・路線・綱領・組織を絶えず発展させてきた開拓と探究の100年であります。

 みなさん、そうした党の100周年にふさわしい勝利と躍進を、半年後に迫った参議院選挙で必ず勝ち取ろうではありませんか。(拍手)

 市民と野党の共闘を必ず成功させるとともに、「比例を軸に」を貫いて日本共産党の躍進を必ず実現するために、全党のみなさんと心一つに奮闘する決意を表明しまして、年頭にあたってのあいさつといたします。

 ともにがんばりましょう。(大きな拍手)


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