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~8月のテレビラジオ面~

☆権力監視 役割はたしたい 「ヤジと民主主義」

☆〝戦争と平和〟を考える NHK8月番組

☆日本初 独立制作会社50年 重延浩さんに聞く

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□ドラマ化「今しかない」 NHK「太陽の子」(3日付)

 戦時中の日本で原子爆弾を作ろうとした若手研究者を主人公にしたドラマ「太陽の子」。作・演出のNHK黒崎博さんが、京都大学の物理学研究室の助手をやっていた清水栄さんの日記に出会い「物語にしてみたい」と取材を重ねました。(記事を読む

□歌も芝居も「心のおやつ」 若村麻由美さんに聞く(10日付)

 オーディオドラマ「おやつのいくさ」(NHKラジオ第1とFM)に主演する若村麻由美さん。「おやつはなくても構わない。でも、体じゃなくて心に必要…歌も芝居も小説も、おやつのようだと思いませんか?」というセリフに「胸があつくなりました」(記事を読む

□思いのままに 伊藤沙莉さん(24日付)

 第57回ギャラクシー賞を受賞。先輩俳優の「必ず誰かが見ていてくれる」という言葉を信じ演じてきました。アニメ「映像研には手を出すな!」で声優初主演。映画「男はつらいよ」の「寅さんのようにと言われ、自分なりにものまねしてました(笑)」(記事を読む

□「カネのない宇宙人」 ディレクター高柳峻さんに聞く(31日付)

 「経済的利益を優先する国の政策に警鐘を鳴らした秀作」と評されました。テレビ信州制作の「カネのない宇宙人 閉鎖危機に揺れる野辺山観測所」のディレクター・高柳さんは「4年前に起きた相模原障害者施設殺傷事件がきっかけ」と話します。(記事を読む

●Akiko's Piano 被爆したピアノもとに描く(8日付)

 原爆の爆風にさらされて焼け残ったピアノ。持ち主・河本明子さんの日記をもとに在りし日の姿をドラマとドキュメンタリーで描く「Akiko's Piano 被爆したピアノが奏でる和音」(NHKプレ)。主演の芳根京子さんら出演者に感想を聞きました。(記事を読む

●自民14市議辞職 腐敗とその後追う 映画「はりぼて」公開(22日付)

 富山市議の政務調査費の不正使用を追求したチューリップテレビのドキュメンタリー番組が映画化。監督は、当時取材にあたった砂沢智史さん、五百旗頭幸男さんです。「組織ジャーナリズムに身を置く人間の葛藤を描きたくて」自分自身を映しました。(記事を読む

◆ドラマで活躍・多彩な顔が登場 8月の「休憩室」(毎週日曜日掲載)

藤原章寛さん(2日)NHKプレ「プレミアムステージ」で放送された舞台「炎の人」で画家・ゴッホを蘇らせました。「彼の絵には人の〝生〟が描かれていると感じています」

川平朝清さん(9日)長男のジョン・カビラさんにラジオ放送の役目を語った番組が第57回ギャラクシー賞を受賞。「戦後75年の今、伝えなければならない事が多くあります」

宇内梨沙さん(16日)「羞恥心を捨て、少年の成長を意識した声色に」。TBSラジオ朗読劇「青空」で初主演。ラジオドラマで反戦の物語を放送する目標を実現しました。

魚乃目三太さん(23日)NHKプレで映像化された漫画『戦争めし』を描き続けています。最新刊は「長崎取材体験記」。「75年の年。平和への思いを忘れない一年にしたい」

内藤秀一郎さん(30日)「仮面ライダーセイバー」(朝日系)に変身する主人公・神山飛羽真役をつかみました。「元気や希望を持ってもらえる作品にしたい」と語ります。

◆好評・「試写室」 新ドラマ、ドキュメンタリーを紹介

  ジャーナリストや作家、ライター、詩人ら多彩な執筆陣が、新作ドラマやドキュメンタリーなどの話題作を取り上げ、見どころを伝えます。みなさんは今夜、どの番組を選びますか?

◆コラム「レーダー」「ちょっといわせて」も

 放送と政治の関係、番組の内容などについて鋭く指摘します。

●石子順の「映画の窓」

  毎週金曜日付に掲載。評論家・石子順さんが、1週間分の映画(地上波、NHKBSプレミアム)を厳選して紹介します。

♪♪♪毎週月曜日付は「ゲツトク」です♪♪♪

  毎週月曜は1面を使った特集面をお届けします。通称「ゲツトク(月特)」。最新のテレビ・芸能情報から、話題の人へのインタビュー「思いのままに」「ラジオとともに」など内容も多彩。一流執筆陣による評論「波動」は放送界の「いま」を深く切り取ります。演出の巨匠・鶴橋康夫さんのコラム「ドラマの種」(随時掲載)が好評です。

◆「波動」執筆陣(50音順)◆

 碓井広義(上智大学教授)、河野慎二(ジャーナリスト)、桜宮淳一(在阪テレビ局報道記者)、隅井孝雄(ジャーナリスト)、利元克巳(広島マスコミ9条の会)

【反響続々! 月イチ連載に注目を】

◇石井彰の「テレビ考現学」(第1月曜日付「テレビラジオ特集面」で掲載)

  放送作家・石井彰さんによる辛口コラム。その名も「テレビ考現学」。放送業界では、いま一体何が起きているのか…。〝ご意見番〟的に語り尽くします。

◇やきそばかおるの「ラジオの歩き方」(第3月曜日付)

国内すべてのラジオ局を網羅する異色のライター・やきそばかおるさんが、各地で愛される注目番組をセレクトします。これを読めば、あなたもきっと〝ラジオの達人〟に!

◇谷岡理香の「話して書いて考えて」(第4月曜日付)

 ジェンダーとメディアが専門の谷岡理香さん。アナウンサーとして放送の現場で仕事をしてきた女性の視点から、マス・メディアのこれからを考えます。

◇「おすすめ民放BSシネマ」&「イマイのこれ観よっ」

「テレビラジオ」欄で、民放BS各局で放送予定の映画を選りすぐって毎月紹介します。NHK朝ドラの脚本など数々の作品を手掛けた〝映画通〟今井雅子さんが、作り手目線でその月に観るべき作品を熱く語る「イマイのこれ観よっ」もあわせて、どうぞ!
 

♪♪♪読者・視聴者の「声」で紙面をつくります♪♪♪

◇あなたも投稿してみませんか~「みんなのアンテナ」
「あのドラマは感動した!」「ちょっとこの番組はヘンじゃない」…。テレビ・ラジオ番組の感想を募集しています。また、放送問題への意見も大歓迎です。

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   【FAXの場合
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※いずれの場合も「みんなのアンテナ係」と明記してください。


◎戦後75年の夏に/15日放送NHK「太陽の子」/作・演出 黒崎博さんに聞く/原爆研究者の葛藤と青春/ドラマ化「今しかない 」

  太平洋戦争敗戦から75年。「今やらないと」という制作者らの思いが結実しました。15日放送の国際共同制作の特集ドラマ「太陽の子」(NHKテレビ 後7・30)は、実話をもとにドラマ化。戦時中の日本で原子爆弾を作ろうとした若手研究者を主人公にした「戦争に翻弄(ほんろう)された若者たちの悲劇」です。作・演出したのはNHKの黒崎博さん。今作は「格闘の記録」だと明かしました。(小川浩)

 ドラマ化は、多くの時間を要しました。6、7年前、企画書を上司に出したものの戦争末期に核爆弾を京都大学の研究室で作ろうとしていたことが「独り歩きする危険性がある」という話になり進みませんでした。
 しかし、徐々に制作者たちの協力が得られるようになります。
 「戦後75年。80年になったらもっと関係者が少なくなる。だったら今しかない、難しいのはわかっているけど、やろうよと、共感してくれました」と黒崎さんは言います。
 昨年、ようやく撮影が実現しました。

日記と出会い

 そもそもは―。
 十数年前、黒崎さんはNHK広島局時代に、戦時中、京大の物理学研究室の助手をやっていた清水栄さんの日記に出会います。広島県史の中に断片的に掲載されていました。
 京大は母校で「身近に思えました」。
 「物理学は全くわからないんですが、砂糖が手に入ったとか、妹が結婚したとか、何日か分の日常が書かれているんですが、広島への原爆投下の8月6日を境に日常が一変することが書かれていました。日記を読んで等身大の青春が立ち上がってくる気がしました。これを物語にしてみたいなと思ったんです」
 仕事の合間を縫って全国各地にいる関係者への取材を重ねました。初めて日記を読んでから1年後、日記のコピーを入手することができました。
 研究好きの主人公・石村修を演じたのは柳楽優弥(やぎら・ゆうや)さん。フィクションにする上で「柳楽さんに演出上、言ったのは、若い科学者の研究を突き詰めてみたいという感情、そのために誰かが傷ついても構わないみたいな気持ちは、ある時期に持ち得ると思うということです」。
 弟の裕之役の三浦春馬さんは再び戦地に行く苦悩を表現。兄弟にとって大切な存在の朝倉世津を有村架純さんが務めました。広島市を象徴する場所で撮影を敢行しました。

世津への思い

 「広島に2年住んで、聞いたことがなかった戦争の話、それが語り継がれていることは、大きく影響していると思います」
 広島局時代に演出したドラマ「帽子」(作・池端俊策)、準備稿を書き演出した「火の魚」(作・渡辺あや)。
 「生きなきゃいけないという女性の強い意思、生きざまを、作品に思いを込めた気がします。それは『帽子』の池端さんが強く示して書いたからです」
 「帽子」のヒロイン世津(田中裕子)、「太陽の子」のヒロインも世津(有村架純)。同じ役名です。
 世津のせりふに黒崎さんの思いを見つけることができます。
 「『帽子』の世津は、主要な登場人物の男たちが会いたいと思って進んでいくドラマのような気がして。今回も同じように男たちが世津に会いたいと思って生きているんです」
 作品を通して世津さんに会いに行くのもいいかもしれません。
 黒崎さんはいいます。
 「今、コロナ禍で世界が激変しています。自然科学と人間の関係は同じことが繰り返されていると感じています。ある普遍的なものを含んでいるか、現代に通じるか、という視点で作品を見ていただければと思います」

7月18日に逝去した三浦春馬さんへの追悼文(番組ホームページから)

 三浦春馬さんは、役作りのために髪を刈り上げて撮影に臨み、戦時下という困難な時代にどう生きるか葛藤する若者を見事に演じてくださいました。
 謹んでお悔やみ申し上げます。
(8月3日付)


◎戦後75年の夏に/NHK「おやつのいくさ」/主演  若村麻由美さんに聞く/歌も芝居も「心のおやつ」/戦中と交錯ラジオ劇

 若村麻由美さんが、NHKラジオ第1とFMで放送の特集オーディオドラマ「おやつのいくさ」に主演します。戦中と現代が交錯し、笑いも盛り込まれたストーリーで、若村さんは現代の旅回り一座の座長役にふんします。(渡辺俊江)

 ―実話をもとにしたドラマ。どんな物語でしょうか。
 私演じる、大衆演劇「劇団おやつ」四代目座長・樋口圓花は、採算の取れなくなった劇団を解散するにあたり、劇団を創設した曽祖父母の秘話を公演にしようと作家を募集します。戦中に生きた役者たちの思いを語るうち、劇中歌「おやつ行進曲」に込められた思いを知り、劇団を続ける覚悟をします。
 戦争の渦中に「日本を助太刀!」と大衆演劇の役者が立ち上がり、特別公演開催で大入り満員となった収益金で国に軍用機を献納。終戦後戦犯として投獄されたという、驚くべき実話を元にしたドラマですが、明るく強くイキイキしています。

セリフに感激

 ―題名の「おやつのいくさ」とは?
 一色伸幸さんの脚本には「食事は生きていくのに必要だけど、おやつはなくても構わない。それでも、おやつがないと淋しい。物足りない。体じゃなくて心に必要…歌も芝居も小説も、おやつのようだと思いませんか?」というセリフがあり、災害やウイルスとの闘いの渦中にある今、役者として胸があつくなりました。でも、おやつは食べていただかなければ意味がない。お客様あってのおやつです。演劇や映画が次々と延期、中止される中、ラジオは力の見せ所。緊急事態宣言明けに収録したスタジオ内には、役者たちの喜びがあふれていました。タイトル通り私たち現代の役者にとっても「おやつのいくさ」です。耳について離れない劇中歌「おやつ行進曲」は、懐かしくてあったかくて元気が出ます。是非ご一緒に唄っていただきたい歌です。
 ―テレビドラマ、演劇、映画、リーディングと多彩な活動をなさっています。若村さんにとってオーディオドラマの魅力は?

 テレビ、映画、舞台と違い、視覚に頼らず耳から入る情報だけで想像を膨らませられるのは、ラジオならではの魅力。息遣いひとつにもドラマを感じます。その分作り手には工夫が必要で面白いです。
 演出の小見山佳典さんとは、デビュー翌年の大河ドラマ「春日局」(1989年)が最初でした。主演の大原麗子さんも頼りにされていました。その後もプロデュースされた「愛が聞こえます」や、「柳橋慕情」ではギャラクシー賞個人賞を受賞させていただき、オーディオドラマでは「空也上人がいた」「男と女」など、どれも小見山さんの人に対する深くて優しいまなざしにあふれた作品です。

願うだけでは

 ―終戦の日に向けての放送です。今の時代、平和と戦争について考えられていらっしゃること、願っておられることをお話しください。
 今は既に、自由に演じたり、楽しんだり出来ない状況となりました。地球環境の変動による災害に見舞われ、ウイルス対人類の闘いの最中、助け合うしか道はない危機的状況。人と人が争っている場合じゃない! 戦争の兆しを感じる今、平和は願うだけではダメなのだと感じています。
 ―経歴を重ねてこられての心境、これまでお仕事を続ける上で大切にされてきたことは何でしょうか。
 自分の心体を通して作品を伝える。ささやかでも、ご覧くださる方の「心の糧となり得るか」と自問しています。

おやつのいくさ

 劇団おやつの座長・樋口圓花(若村)は、駆け出しの小説家・蛍(吉本実憂)に、曽祖父・圓之助(松田洋治)の話を書いてほしいと頼みます。圓之助が太平洋戦争中に経験した物語だと言います。蛍は、暗くて深刻で悲しいたぐいの物語は好きではないと答えます。圓花は「まずは聞いて笑ってくれない?」と話し始めました。作・一色伸幸、演出・小見山佳典。
 NHKラジオ第1で12日(前編は後8・05、後編は9・05)、FMで15日=前編、22日=後編(いずれも後10・0)
(8月10日付)


◎思いのままに/ギャラクシー賞テレビ部門個人賞受賞  伊藤沙莉さんに聞く/「誰かが見ていてくれる」信じて演じ続けた

 人懐っこい笑顔に、安定感のある演技力は誰もが知っていると言っても過言ではありません。第57回ギャラクシー賞(放送批評懇談会主催)のテレビ部門個人賞受賞は、その証しです。女優の伊藤沙莉さんに受賞した思いを聞きました。(聞き手・小川浩)

 ―個人賞は過去、福山雅治さんや菅田将暉さん、小泉今日子さんなどが受賞しています。受賞した感想を教えてください。
 伊藤 「必ず誰かが見ていてくれる」と信じて演じ続けてきた思いがありました。その言葉は、努力を惜しまないで演じてほしいという先輩俳優から授けられた言葉です。ふとした時に思い出していました。だから体に染みわたっていると思います。あきらめなかったのは本当によかったと思っています。

違う分野に重圧

 ―アニメ「映像研には手を出すな!」で、声優初主演を務めて「声優としての実力も目を見張るものがありました」と高く評価されましたね。
 伊藤 幅広い方々に見ていただけたのは、すごくうれしかったし、感謝でいっぱいです。もちろん原作の大童澄瞳さん、映像化した湯浅政明監督たちのおかげです。(当初は)原作のファンの方々や、熱心なアニメファンの反響を想像するとプレッシャーを感じて吐きそうになりました。声の演技は、声優さんがやるべきだと思っている人が多いんじゃないかと思っていて、声優さんたちの中で俳優が演じることは、違う分野からおじゃましますという気持ちでした。音響監督のこまかい指示に従って演じる中で、(映画「男はつらいよ」の)寅さんのようにやってほしいと言われた時は、自分なりにものまねしてましたねぇ(笑)。
 ―9歳の時に演じたデビュー作「14ヶ月~妻が子供に還っていく~」(2003年、日本系)では、子どもの体になる研究者という難役を演じました。子役時代は、イジメっ子役が多かったそうですね?
 伊藤 「女王の教室」(05年、日本系)をきっかけに「私たちの教科書」(07年、フジ系)など、いじめっ子を演じることが増えました。撮影でカットがかかる度に、いじめられる生徒役の方に謝っていましたね(笑)。
 ―エンターテインメントが楽しいと思えたきっかけは何ですか?
 伊藤 幼なじみの家で、多くの洋画DVDを見せてもらったことです。映画「マスク」「ふたりの男とひとりの女」などに主演したジム・キャリーに魅了されて、大好きになりました。

努力これからも

 ―仕事への思いを教えてください。
 伊藤 学生時代は、やる気とは裏腹に仕事が増えず、焦っていた時もありました。18歳の時に所属事務所が変わり、社長から「仕事が思うようにいかなくても、逸(はや)らないことを心に留めて置いて」と言われました。今となっては、できることなら10年前の自分に言ってあげたいな、と思う大切な言葉です。〝女優〟ってキラキラとまぶしくて、戸惑いを持っていた時期もありましたが、最近はそれ以上にかっこいい仕事だと思えてきました。私自身、不器用ではありますが、これからも頂いたお仕事を中途半端に終わらせないように努力し続けたいと思います。

 いとう・さいり 1994年、千葉県生まれ。兄の俊介さんはお笑いコンビ「オズワルド」で活動。公開中の映画「ステップ」「劇場」、9月25日公開「蒲田前奏曲」に出演。10月2日公開「小さなバイキングビッケ」は主人公ビッケの声。11月6日公開「十二単衣を着た悪魔」に出演。11月13日公開「タイトル、拒絶」に主演、同日公開「ホテルローヤル」に出演。

受賞理由に書かれた主演・出演作品

 ETV特集「反骨の考古学者 ROKUJI」(NHK)、「これは経費で落ちません!」(NHK)、「ペンション・恋は桃色」(フジテレビ)、アニメ「映像研には手を出すな!」(NHK)など。
(8月24日付)


◎富山・チューリップテレビ、映画「はりぼて」公開/自民14市議辞職、腐敗とその後追う

 テレビ番組放送後も、粘り強く政治腐敗を掘り起こしてきました。富山市の自民党市議らによる政務活動費(公金)の不正使用を追及したチューリップテレビのドキュメンタリー番組が、「はりぼて」として映画化されて「ユーロスペース」(東京・渋谷区)ほかで現在順次公開中です。(小川浩)

 同テレビの調査報道(2016年12月30日放送の1時間特集ほか一連のニュース)は、日本記者クラブ賞特別賞、ギャラクシー賞報道活動部門の大賞などを受賞。今回、監督を務めたのは、当時、富山市政担当の報道部記者として取材にあたった同テレビの砂沢智史さんと、元同テレビの報道記者兼ニュース・キャスターの五百旗頭(いおきべ)幸男さんです。

自身の葛藤描く

 2016年に制作した番組をディレクターとしてまとめた五百旗頭さんは、映画製作では監督として編集・構成に関わりました。「この取材を通して、組織ジャーナリズムに身を置く人間の葛藤みたいなものを描きたくて、最後の方に(自分自身のことを)映しています」
 「(同時期に)民進会派の市議の政党交付金不正使用も明らかになり、その前に県議会議員の政務活動費不正を、他紙がスクープしていました」と語るのは砂沢さん。
 映画には出てきませんが、市議会では、共産党市議団が、情報公開請求を駆使し、数千枚に及ぶ資料を入手。それを元に議会で追及していました。
 「富山市議の不正なので、市政担当の記者たちは一斉に調べ報道するという競争みたいになっていました。こちらも、他の議員にも不正があるとわかって新たな取材をするので、私はプレッシャーを感じていました」と言う砂沢さんたちは、情報公開請求を行い、政務活動費の膨大な支出伝票の整合性を調査、不正をしていた市議に迫りました。
 そして「自民党会派の富山市議 政務活動費 事実と異なる報告」とスクープ報道。ウソをつき、とぼける自民党市議。結果として14人の市議が辞職しました。

後ろ向きの市長

 しかし、森雅志市長は「市長は議会に物を言う立場にない」などと真相解明・再発防止に後ろ向き。不正が発覚したにもかかわらず、辞職せずに居座っている議員がいます。映画は、議会のさらなる腐敗と議員たちの開き直りともいえる、その後も追っています。
 砂沢さんは、昨年10月、社長室兼メディア戦略室に異動。「2003年に入社して、約4年おきに異動しています。また報道部へ戻りたいという気持ちはありますが、会社を支えていかなきゃと思っています」
 3月に同テレビを退職した五百旗頭さんは、「どのメディアもあると思うんですけど、報道の現場の意見と、それ以外の経営側の意見というのは、合致しないこともあるでしょう。この映画に関して圧力を受けたことはありません」
 他局へ移り「ドキュメンタリーをつくり続けていきたいと思っています」と決意しています。
(8月22日付)


◎ドラマとドキュメンタリー/Akiko’s Piano被爆したピアノもとに描く/NHKプレ15日放送

 1945年8月6日、広島。原爆の爆風にさらされて奇跡的に焼け残ったピアノがあります。かつての持ち主は河本明子さん(19)。どこにでもいるような、家族を愛し、音楽を愛するひとりの女性だったといいます。
 NHKプレで15日(後6・0)に放送する「Akiko’s Piano被爆したピアノが奏でる和音(おと)」は、明子さんの日記をもとに、在りし日の姿をドラマとドキュメンタリーで描きます。90分。
 主演の芳根京子さんらドラマに出演のみなさんに、演じた感想を寄せていただきました。

当たり前が貴重 芳根京子さん(河本明子役)

 私は東京出身なので原爆については身近に被害にあわれた方がいなかったのですが、この作品に参加して、知っていると知らないとではすごく違うなと改めて感じました。
 どんどん知らない人が増えていくなかで、こうして作品に残せること、そして作品に参加させてもらえることは、自分の人生においてもすごくありがたいと思います。
 新型コロナの影響で不自由になっていることを不愉快に感じるのは、今までがすごく自由だったから。
 当たり前の時間、当たり前の日々がどれだけ貴重なものかというのを、これまでも言葉にはしていたけれど、実感、体感したことがなかった。
 すごく等身大の19才の願いが叶(かな)わない時代だったというのは、演じていて胸が苦しくなりました。

人生に思いはせ 真飛聖さん(母・シヅ子役)

 75年前に本当にあった、ピアノが大好きだった女の子とその家族の物語…今回出演させていただくことで、初めて知りました。主人公・明子の純粋な心、淡い恋、家族の絆が繊細に描かれているドラマだと思います。
 広島の原爆の恐ろしさだけでなく、その時代を懸命に生きたそれぞれの人生に想(おも)いを馳(は)せていただけたらうれしいです。

考えあう契機に 町田啓太さん(恩師・竹内役)

 実際に75年前にあった出来事で、僕はその時の事を、人から聞いたり資料でしか見たことはありませんが、今こうして命があるということや、人として命に対してどうあるべきなのか、今の自分なりに改めて考えさせられました。そのきっかけをもらえて感謝しています。
 明子さんとピアノ、この時代にあったことをみなさんと一緒に考えられると思いますし、一人でも多くの方とその時間を共有できることを願っています。

風化をさせない 田中哲司さん(父・源吉役)

 日本人、又は一人の人間として、風化させてはいけない事実。大袈裟(おおげさ)かも知れないですが、役者としての義務と言うか…。自分の演技なんて知れたところではありますが、ちょっとした事にも気を抜かず、全力を持って挑まなければいけない作品だと思いました。
(8月8日付)


◎ギャラクシー賞大賞受賞「カネのない宇宙人」/テレビ信州ディレクター  高柳峻さんに聞く/地方から日本を見る眼力、ミクロからマクロへ飛翔

 「経済的利益を優先する国の政策に警鐘を鳴らした秀作」と評価されたテレビ信州(本社・長野市)制作の「カネのない宇宙人 閉鎖危機に揺れる野辺山観測所」(昨年11月30日放送)が、第57回ギャラクシー賞(主催・放送批評懇談会)テレビ部門の大賞を受賞しました。2月9日には「NNNドキュメント」(日本系)で全国放送。ディレクター・高柳峻さんに制作過程や仕事への思いを聞きました。(聞き手・小川浩)

 ―取材のきっかけを教えてください。

細る「知の基盤」

 高柳 一つは、4年前に起きた相模原障害者施設殺傷事件です。被告は「生産能力のない者を支える余裕はこの国にはない」とその動機を語りました。もう一つは、大学の人文系学部廃止の検討です。国は、実利に直結する工学系の学科を重視しようとしている。この二つには共通項があるように感じました。経済的利益を重視する社会の中で、人類が培ってきた知の基盤(その一つの天文学)がやせ細ってきてはいないか。そんな危機意識がありました。
 ―「野辺山宇宙電波観測所」の立松健一所長から信頼を得たそうですね。
 高柳 県内のニュース番組で数回にわたり野辺山の窮状を伝えました。同時に国が予算を減らしている現状に警鐘を鳴らし、国の方針に対してもしっかり疑義を唱えました。こうした報道の仕方を立松所長がご覧になり、共振され、信用につながったのではと思います。
 ―作家の大江健三郎さんの言葉を大切にしているそうですね。

「声なき声」聞き

 高柳 大学時代、大江健三郎さんに、ノートにこんな言葉を書いてもらいました。フランス語で「注意深くあれ」。哲学者シモーヌ・ヴェイユの言葉で、世界を回復させるためには、苦しんでいる人に〝注意深く〟耳を傾けなければいけない、という意味です。社会は声の大きい人の意見を通し、ささいで小さなものに耳を傾けようとしません。しかし雑踏の中で、声なき叫び声をあげている人はいます。それに耳を澄ますには注意深くなくてはいけない。テレビメディアにいる人間としてこのヴェイユの言葉は常に胸の中にあります。
 ―仕事をする上で、社会の「ほころび」を意識されていますね。

〝豊かな一面〟を

 高柳 「ほころび」とは、その小さな声の主を指します。一見役に立たないと思われている人や研究がむげにされている状況に対して、別の角度から光を当てて〝豊かな一面〟を描くのが私の仕事だと思っています。つまるところ、私は、世界は貧しい・苦しい、ということではなく、世界はなんとも豊かだ、ということを伝えたいのです。「カネのない宇宙人」は窮状とともに、星の美しさや魅力を描くことを大切にしました。
 ―地方から伝える意義は、何ですか?
 高柳 地方は財政的にも人材的にも東京ほど豊かではありません。だからこそ、過疎化、超高齢化、買い物弱者、自然災害などの社会問題が都心より先行して出やすいと思っています。地方で今起きていることは数十年後、日本全体が被る問題だと思います。そして大切にしている姿勢は、地方に閉じない、ということです。地方に住む人間として、近視眼的にならず、ミクロからマクロへ飛翔できる眼力を養っていきたいんです。それは聴診器で小さな音を聞き取っていく力だと思います。

 たかやなぎ・しゅん 1982年3月、長野県生まれ東京育ち。映画会社を経てテレビ業界へ。ビートたけしの情報番組をはじめ、フジテレビ「NОNFIX」やNHK「ファミリーヒストリー」「ドキュメンタリーWAVE」を演出。4年前、長野に移住。テレビ信州入社。「情報ワイド『ゆうがた Get!』」などを演出。
(8月31日付)

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