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~8月のテレビラジオ面~

☆「マンゴーの樹の下で」制作統括 佐野元彦さんに聞く

☆夏の民放ドラマ~記者の注目作

☆「戦争・平和」番組を見て 「みんなのアンテナ」拡大版

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□「マンゴーの樹の下で」制作統括 佐野元彦さんに聞く(5日付)

 終戦から74年。遠い過去の話を、いかに現在につながる物語として届けるか。そんな問題意識で作られたNHK特集ドラマ「マンゴーの樹の下で」。佐野さんは、戦争体験者が少なくなっている今だからこそ、ドラマを作る意義を語ります。(記事を読む

□夏の民放ドラマ~記者の注目作(12日付)

 「凪のお暇」「監察医 朝顔」「TWO WEEKS」「ルパンの娘」-記者3人が、それぞれ夏の民放ドラマ注目作を紹介します。(記事を読む

□「戦争・平和」番組を見て 「みんなのアンテナ」拡大版(26日付)

 戦後74年の夏、各局で戦争や平和に関するドラマやドキュメンタリーが多く放送されました。「みんなのアンテナ」に寄せられた感想や意見を紹介します。(記事を読む

●特攻の事実語り継ぐ 西日本放送報道制作部 伊達典子さんに聞く(10日付)

 日本テレビ系「ドキュメント'19」で放送した「海は…知っている。キャンパスはかつて特攻隊の基地でした」の企画を担当した伊達さん。兄を特攻で亡くした矢野幸さんの話に衝撃を受け、番組を作ろうと決意。「いま伝えなければ」と思いを話します。(記事を読む

●「字幕放送」で放送文化基金賞 TBS技術局 木村浩也さんに聞く(17日付)

 木村さんは24時間ニュース番組で、テレビ音声を字幕で表示する「字幕放送」を進めています。「聴覚障害者の方からの要請に応えられることは大きな喜び」。生放送の字幕放送をさらに可能にしようと取り組んでいます。(記事を読む

●放送の未来を作り出す~民放労連大会(21、22日付)

 「労働組合の団結力を高め、放送の未来を作り出そう!」をスローガンに開かれた定期大会をレポート。セクハラ・パワハラの社外相談窓口の設置要求や、戸籍上の姓を変えた人もすべての場面で旧姓使用を可能にしたなどの報告がありました。「政府からの圧力を排し、視聴者から信頼される放送の確立を目指す決議」が採択されました。(記事を読む

◆ドラマで活躍・多彩な顔が登場 8月の「休憩室」(毎週日曜日掲載)

高橋文哉さん(4日)9月から始まる「仮面ライダーゼロワン」の主人公に選ばれました。俳優歴2年の歳。「役を生きる」面白さに気付き始めています。

浜辺美波さん(11日)NHKドラマ「ピュア!~一日アイドル署長の事件簿」で売れないアイドル役。共演者は「視聴者のために、という固い意志がある」と評します。

古館佑太郎さん(18日)音楽活動と俳優の二刀流。映画「アイムクレイジー」に主演。音楽活動に行き詰まる主人公で「演技はセッションのようでした」と振り返ります。

木村文乃さん(25日)「特殊詐欺」の実態を描くNHKドラマ「サギデカ」で主人公の刑事を演じます。「何を信じ貫き通すか」視聴者にも「一緒に考えてほしい」といいます。
 

◆好評「試写室」 新ドラマ、ドキュメンタリーを紹介

 ジャーナリストや作家、ライター、詩人ら多彩な執筆陣が、新作ドラマやドキュメンタリーなどの話題作を取り上げ、見どころを伝えます。みなさんは今夜、どの番組を選びますか?

●石子順の「映画の窓」

 毎週金曜日付に掲載。評論家・石子順さんが、1週間分の映画(地上波、NHKBSプレミアム)を厳選して紹介します。

♪♪♪毎週月曜日付は「ゲツトク」です♪♪♪

  毎週月曜は1面を使った特集面をお届けします。通称「ゲツトク(月特)」。最新のテレビ・芸能情報から、話題の人へのインタビュー「思いのままに」「ラジオとともに」など内容も多彩。一流執筆陣による評論「波動」は放送界の「いま」を深く切り取ります。演出の巨匠・鶴橋康夫さんのコラム「ドラマの種」(随時掲載)が好評です。

◆「波動」執筆陣(50音順)◆

 碓井広義(上智大学教授)、河野慎二(ジャーナリスト)、桜宮淳一(在阪テレビ局報道記者)、隅井孝雄(ジャーナリスト)、利元克巳(広島マスコミ9条の会)

【反響続々! 月イチ連載に注目を】

◇石井彰の「テレビ考現学」(第1月曜日付「テレビラジオ特集面」で掲載)

  放送作家・石井彰さんによる辛口コラム。その名も「テレビ考現学」。放送業界では、いま一体何が起きているのか…。〝ご意見番〟的に語り尽くします。

◇やきそばかおるの「ラジオの歩き方」(第4月曜日付)

国内すべてのラジオ局を網羅する異色のライター・やきそばかおるさんが、各地で愛される注目番組をセレクトします。これを読めば、あなたもきっと〝ラジオの達人〟に!

◇「おすすめ民放BSシネマ」&「イマイのこれ観よっ」

「テレビラジオ」欄で、民放BS各局で放送予定の映画を選りすぐって毎月紹介します。NHK朝ドラの脚本など数々の作品を手掛けた〝映画通〟今井雅子さんが、作り手目線でその月に観るべき作品を熱く語る「イマイのこれ観よっ」もあわせて、どうぞ!
 

♪♪♪読者・視聴者の「声」で紙面をつくります♪♪♪

◇あなたも投稿してみませんか~「みんなのアンテナ」
「あのドラマは感動した!」「ちょっとこの番組はヘンじゃない」…。テレビ・ラジオ番組の感想を募集しています。また、放送問題への意見も大歓迎です。

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【はがき・手紙の場合】
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※いずれの場合も「みんなのアンテナ係」と明記してください。


◎戦後74年の夏に/NHKテレビ「マンゴーの樹の下で」制作統括 佐野元彦さんに聞く/今へつなぐ「遠い過去」

 終戦から実に74年。もはや〝戦争を知らないひ孫たち〟の時代に入っています。若い人たちにとって遠い遠い過去の話を、いかに現在につながる物語として届けるか―。NHKテレビで8日(木、後10・0)に放送する特集ドラマ「マンゴーの樹の下で」は、そんな問題意識で作られました。制作統括の佐野元彦さんに聞きました。(和田肇)

 東京で写真館を営む奥田凛子(岸惠子、若い頃=清原果耶)は、共同経営者の日下部綾(渡辺美佐子、同=山口まゆ)が亡くなり、今後の身の振り方を考えていました。凛子と綾は戦時中のフィリピン・ルソン島で出会い、戦火をくぐり抜けた仲でした。そこに取引業者の田宮蓮司(伊東四朗)が現れ、凛子の状況を心配します。
 佐野さんは「戦争でたたかった、あるいは空襲に遭ったという人が、本当に少なくなっている。だからこそドラマを作らなきゃいけないんですね。戦争ってこういうものなんだよって」と戦争ドラマの意義を強調します。
 その上で、戦中と現代の双方のドラマが並び立つようにすべきだと直感的に思ったといいます。ヒントはモデルとなった、フィリピンから生還した女性たちの手記でした。「戦争の日々の後で『私はどこどこで何々をしている』と書いている。僕はものすごくすてきに思えたんです。生き残ってきた過程には、ものすごく大変な戦後といろんな日本の歴史があったんだろう、と」

名優集めて

 痛苦の体験から導かれた戦後の平和。そのバトンを子どもたちにつなぎ続けて今があること。「主演の2人と脇の伊東さんに、いろんな戦後があったんだろうと想像してもらえるように作ること。それなら今の人に届くのではないかという思いでした」
 戦中部分はただでさえ視聴者に強烈な印象を残します。「現代編が負けるのが普通なんです。五分と五分に勝負できる名優を集めなきゃならない」と佐野さん。「(岸さんたちは)描いていない戦後の期間も含めて想像させてくれる。そんな人たちが今、死に方を考えている。そういう現実までをつながりで感じてほしいと思いました」
 視聴者に伝えたいことは。「『明治は遠くなりにけり』という言葉があるように、戦争は遠くなりにけり、が現実。けれども、いざ戦争になったら、人生って全然別のものになっちゃうんだよ、ということは知ってほしいですね」

重い〝一撃〟

 戦中部分は、タイで6日間のロケをして撮りました。佐野さんは「頼んでいなかったのに体重を絞ってきた」と若い俳優たちの覚悟を紹介しました。
 窮乏生活の本土に比べ、フィリピンはむしろ安定し、6000人以上の日本人女性がいたとされます。ところが1944年の米軍の襲撃で一変。脱出用の船を撃沈された女性たちは、軍の指示でルソン島北部へと向かいます。そこで目にしたものは…。
 若い凛子を演じた清原果耶さんは、NHKで開かれた会見(7月22日)で、終戦後に現地の人々から怒りの言葉と、物を投げつけられた場面が印象に残ったと話しました。
 「重い一撃を感じました。それこそ凛子は、日本が他の国に何をしているかを知らない中で、直接的に非難を受けた。物理的に痛かったのもあるんですけど、それ以上の気持ちをすごく感じました」
(8月5日付)


◎夏の民放ドラマ/記者が選んだ注目作は

 夏の民放ドラマがたけなわです。記者3人がそれぞれの注目作を紹介します。

「凪のお暇」/いら立つ心、やわらげる

 人気漫画をドラマ化した「凪(なぎ)のお暇(いとま)」。〝空気を読む〟ことで人間関係を保ってきた主人公・凪(黒木華)が、自分を変えるために未開の扉を開く物語です。
 凪をめぐる2人の男性との関わりが物語を盛り上げ、節約生活のアイデアが視聴者を和ませます。世渡り上手だが、実は空気を読んで生きている会社員の元彼・慎二(高橋一生)と、隣人の人たらし自由人、ゴン(中村倫也)。どちらとの恋が成就するかよりも、凪が地に足をつけた暮らしを手に入れられるのかを見守りたい。
 原作漫画を読んでいる、ある女性は、「慎二やゴンに振り回されないようになってほしい」と読み続ける理由を話しました。飛躍して解釈すれば〝私だけが建前ばかりの人間関係に疲れているわけじゃない〟への親和性があると思います。
 日々のいら立ちでできた傷を「凪のお暇」は、ばんそうこうのようにやわらげているのかもしれません。(小川浩)

監察医 朝顔」/人の心、血の通った演技

 「監察医 朝顔」。殺人や自殺の死因究明に活躍する監察医の娘・朝顔(上野樹里)と刑事の父・平(時任三郎)を軸とする捜査ものながら、心温まるドラマです。ただのサスペンスに終わっていない一つの理由は、父と娘の背負う事情にあります。
 朝顔の母・里子(石田ひかり)は、8年前の東日本大震災以来、行方不明です。いまも捜さずにはいられない父。現場に立つと足がすくむ娘。ふたりが互いを思いやり、いたわりあう日常が、切なくも温かい。
 震災直後の東北で朝顔が出会った監察医の茶子(山口智子)がいいます。「あなた、生きているんでしょ。手伝って」。屈託ない茶子の声は、「命があるなら前へ進もう」という励ましに聞こえます。
 脇を固める朝顔の婚約者・桑原(風間俊介)、里子の父・浩之(柄本明)らも芸達者ぞろい。一筋縄ではいかない人間の心を血の通った演技で見せています。最後まで人間を描くドラマを貫いてほしい。(田村三香子)

逃げる快感、強烈な脇役
「TWO WEEKS」「ルパンの娘」


 娯楽番組を二つ。
 カンテレ制作の「TWO WEEKS」は殺人の濡れ衣を着せられた主人公・結城(三浦春馬)が、娘(稲垣来泉)の手術の日まで2週間、警察や真犯人(高嶋政伸)からひたすら逃げる物語。
 三浦春馬の身体能力や繊細な芝居だけでも見て損はない感じ。鬼ごっこが好きだったから、童心を思い出してどきどきします。徐々に真相が明らかになり、どんな大どんでん返しになるんだろうと楽しみです。
 「ルパンの娘」は、泥棒一家の娘と警察一家の息子の恋物語。深田恭子演じる華の泥棒衣装がまるでマンガの「キャッツ・アイ」。映画「ヤッターマン」のドロンジョ様同様に、彼女は奇抜な格好だと思い切った演技ができる気がします。
 脇役が強烈。渡部篤郎と小沢真珠の両親に兄が栗原類、祖母のどんぐりと実年齢より個性重視で大成功。突然現れて踊り歌う大貫勇輔が興味深い。瀬戸康史演じる刑事・和馬が恋人・華の家業に気付いてどうなる新展開?(和田肇)
(8月12日付)


◎みんなのアンテナ/「戦争・平和」番組を見て

 戦後74年の夏、各局で戦争や平和に関するドラマやドキュメンタリーが多く放送されました。「みんなのアンテナ」に寄せられた感想や意見を紹介します。

国民の自由奪う 軍国化への流れ

大阪・枚方市 上野崇之(76歳)
 NHKスペシャル12日「かくて〝自由〟は死せり~ある新聞と戦争への道」。東条英機らも関わった戦前最大の右派メディア「日本新聞」が当時の法学会の通説だった「天皇機関説」を否定。天皇統治の国体を絶対視し、テロも容認。国民の自由を奪い急速な軍国化への流れを作った背景に迫る重要な番組だった。
 意に沿わない言説を「売国」「非国民」と攻撃する姿勢は、安倍政権べったりの右派論壇の歴史修正主義と重なり、薄ら寒さを覚えた。

国に捨てられた 沖縄の台湾疎開

青森・むつ市 髙屋敷八千代(82歳)
 BS-TBS17日ドキュメントJ「琉球難民~証言と記録でたどる台湾疎開」。台湾への疎開者の苦難は初めて知りました。政府が、米軍と沖縄でたたかうため、戦力にならない女、子ども、高齢者を台湾に疎開させたのです。本国からの食料の援助もなく、飢え、病、空襲により多くの人々が亡くなったこと。戦争は二度と体験したくないと生存した方が語っていました。中国からの引き揚げ体験がよみがえり、「9条は守り抜かないと」と決意を新たにしました。

原爆の恐ろしさ 改めて思い知る

福島・二本松市 服部 徳(69歳)
 NHKスペシャル6日「〝ヒロシマの声〟がきこえますか~生まれ変わった原爆資料館」。原爆資料館に展示されている遺品や写真、絵からも絶対に繰り返してはならぬ原爆、核兵器の恐ろしさを改めて思い知らされます。
 大量の核兵器が保有され続けるなか核兵器禁止条約の署名、批准を拒否し、多くの朝鮮半島出身者を含む被爆犠牲者をないがしろにする被爆国にあるまじき日本政府の高慢さには、はらわたが煮えくり返るばかりです。

戦争法の強行が 証言のきっかけ

京都府 冨岡ゆかり(63歳)
 MBSテレビ14日「ミント!」(関西ローカル)の特集は、「『虐げられると憎くなる』『悲しみと怒り』終戦から74年…戦争孤児として生き抜いた男性の証言」。その方は子どもの時に緑内障から両目が見えなくなり、親せきにあずけられたが、自分の居場所がなく、家を出て心ある方に人生の支えとなっていただき、今があるとのことだった。
 戦争はおとながつくりだしたもの。安保法案(戦争法)が強行されたのがきっかけで証言しようと思ったとのことだった。

ジャングル逃避 人命軽視の地獄

広島市 内野健一(75歳)
 4日NHK・BS1スペシャル「マンゴーの樹の下で~こうして私は地獄を生きた」。終戦間際の邦人避難の悲劇は満州(現中国東北部)のことと思っていたら、フィリピンでも同じ惨禍が起こっていたことに驚く。
 ルソン島に米軍が上陸。日本軍は「降伏させるべき」との領事館の反対を押し切って婦女子中心の3千人を同島奥地のジャングルへの逃避の道連れにする。食べるものがなく、まさに地獄。人命を軽視する日本軍の残虐さを改めて痛感した。

大空襲の映像に 胸しめつけられ

東京・小平市ふじいいずみ(84歳)
 TBSテレビ11日「終戦スペシャル『子どもたちの戦争』」(関東のみ)は、戦争のひどさ、理不尽さ、残忍さを強く訴えかけるものでした。映しだされる東京大空襲の映像は身に火の粉をあびる思いにつき動かされました。焼けあとに震えて立つ少年の姿に胸をしめつけられ、少年はどのようにいのちを守れたのだろうかと―。
 この番組が見せてくれた戦争の姿を多くの人に見てほしいと思います。

すずさんの生活 亡き祖母に重ね

神奈川・大和市 森田千穂(38歳)
 NHKスペシャル10日「#あちこちのすずさん」。戦争中でも、おしゃれや英語を楽しんだり学びたい気持ちがあったこと、数々のエピソードに驚いたり、ほっこりしたり、個人の心の自由を奪われる感覚の恐ろしさも感じた。食料が不足し、塩もない。味がすることがどれだけうれしかったか。
 想像力を働かせることが、戦争について今からでもできる一つなのかなと、今は亡き祖母に、すずさんを重ねつつ見た。
(8月26日付)


◎戦後74年の夏に/日本系ドキュメント19「海は…知っている。」/西日本放送報道制作部 伊達典子さんに聞く/特攻の事実語り継ぐ

 終戦から74年。語り継がれることのなかった特攻の事実を新たな時代に受け継いでいくためには―。日本テレビ系「ドキュメント’19」で11日に「海は…知っている。キャンパスはかつて特攻隊基地でした」(深夜0・55)を放送します。制作は西日本放送(本社・香川県高松市)。企画を担当した報道制作部の伊達典子さん(48)に思いを聞きました。(中野侃)

 番組の舞台は香川県の三豊市詫間(たくま)町。穏やかな瀬戸内海をのぞむこの町には香川高専のキャンパスがあります。多くの学生が学ぶこの場所は、かつて水上特攻隊の出撃拠点でした。しかし、戦後、基地にあった資料は焼却され、正確な実態は今も埋もれたままです。
 香川県で生まれ育った伊達さんも基地の存在を知らなかったといいます。「地元の人や高専の学生に『基地の歴史知ってますか?』って聞いても全然知らないんです。特攻っていうと鹿屋や知覧(いずれも鹿児島県)を思い浮かべる人が多いと思うんですけど、実は香川にも特攻の基地があったってことをまずは知ってほしい」と強調します。

若者ら300人以上戦死

 1943年(昭和18年)に開設された「詫間海軍航空隊」は、初めは訓練部隊でしたが、戦況の悪化で特攻作戦の拠点になります。本来偵察機だった水上飛行機が特攻に使用され、学徒動員で集められた若者などが爆弾とともに次々と突入し、特攻兵57人、誘導部隊を含めた300人以上が戦死しました。
 伊達さんは戦争をテーマにした番組を作ろうと取材をする中で、兄を特攻で亡くした矢野幸さん(83)と出会います。地元香川から特攻にいった2人の特攻兵のうちの1人が矢野さんの兄でした。「当時、特攻の事実は隠され、矢野さんの家族の誰にもお兄さんが特攻にいくことは知らされていませんでした。知らぬ間に家族を奪われていたという矢野さんの話に衝撃を受け、番組を作ろうと決意しました」
 約1年間かけて、戦死者の遺書や遺族の手記などを基に戦争体験者への取材を進めました。苦労したことは「戦争体験世代」が時代とともに減ってきていること。「今年亡くなられたという方もいました。そうした報告を聞くたびに〝いま伝えなければ〟という気持ちが強くなっていきました」

海中のコンクリート

 詫間町に残された基地の跡にもカメラを向けます。香川高専のキャンパスには軍の建物や兵舎の痕跡、海には滑走路が残されています。海の撮影にはドローンなどを使用。「地元で育った私が見てもびっくりするぐらいきれいな海が撮れました。その透き通る海のなかになぜかあるコンクリートの滑走路がすごい違和感で…。ぜひ見てほしいです」といいます。「形に残すことが全てじゃないんですけど、せめて何か(特攻の歴史を)みんなに知ってもらえるようなものがあれば、これから語り継いでいくことができるのかな、と」
 今年5月に「平成」から「令和」に。伊達さんが感じているのは「時代が変わると過去のことがすべてリセットされてしまうんじゃないか」という不安です。「特攻によって命を散らさなければならなかった若者たちがいたことを私たちは忘れてはいけません。過去の過ちを二度と繰り返さないためにも、戦争への『危機感』を感じとってほしい」。伊達さんの思いです。
(8月10日付)


◎耳が聞こえない人にも生放送を「使命感持ち続ける」/「字幕放送」で放送文化基金賞/TBS技術局 木村浩也さんに聞く

 耳の聞こえない人たちなどのためにテレビ音声を字幕で表示する「字幕放送」。TBSテレビ技術局の木村浩也さん(46)は、24時間ニュース番組で、それを進めている功績が高く評価されて放送文化基金賞を受賞しました。技術者としての思いを聞きました。(小川浩)

 テレビ用リモコンの「字幕」ボタンを押すだけで字幕放送になります。「聴覚障害者の方からの要請に応えられることは大きな喜びです」
 TBSの24時間ニュースチャンネル「TBS NEWS」(CS)は、音声に合わせてボタンを押すだけで字幕放送を可能にするシステムが稼働しています。
 TBSは事前収録番組、ドラマなど字幕が付けられるものは、ほとんど付けています。

速記リレー方式

 「生放送に関しては、事前に字幕が準備できないんです」と全ての番組で実現していません。それでも朝の「ビビット」、昼のニュース番組、夕方のニュース「Nスタ」、夜の「NEWS23」は字幕放送をしています。
 「生放送はニュース原稿を使ったり、優秀な速記者が『速記リレー方式』で、字幕を付けています。3~4人のグループを組み、リレーで、短文をキーボードで打ち合いながらやっています」
 千葉県生まれ。子どもの頃は、「パソコンに興味を持ちMSX(1980年代に定められたパソコンの共通規格の名称)を買ってもらいプログラミングをしていました」。パソコン通信を楽しむ東京理科大学の学生時代は、統計・確率の研究が好きでした。
 4年生になると就職氷河期に直面し、複数の会社を受け、ようやく時事通信社に入社。「インターネットがない時代です。海外の支局で原稿の配信システムを作りたいと思ったんです」と志を持ち仕事に励んでいました。
 ところが、多くの人が思ってもみなかったことが起こりました。インターネット時代が到来してシステムは一変。メールで簡単に原稿のやりとりができるようになりました。
 「海外の支局から先輩たちが続々と帰国してきました。これはまずい。技術者は、いらなくなると思いました」

細かい精度求め

 転職を決意し、TBSに入社したのは98年のこと。転機が訪れました。当時は「文字放送」と呼ばれた字幕放送のシステム構築に関わり、地上デジタル放送移行期にNHKへ一時的な出向をしていましたが、TBSに戻り完成させました。
 同僚は「細かい精度を求めて仕事をする人です」といいます。
 「近い将来、全ての生放送で字幕を出すには音声認識技術とAI(人工知能)を利用しなければなりません。報道番組は特に誤報、言葉の間違いは許されないので各社切磋琢磨(せっさたくま)して研究しているところです」
 高みを目指して、現在は、生放送の字幕放送をさらに可能にしようと約20人で取り組んでいます。
 「(受賞を知った)生まれつき耳が聞こえない、いとこからメールが来て、すごく激励してくれました。当事者の言葉を読むと使命感を持ち続けられます」
(8月17日付)


◎民放労連大会/上/放送の未来を作り出す/格差是正へ踏み出す

 民放労連(日本民間放送労働組合連合会)は、「労働組合の団結力を高め、放送の未来を作り出そう!」をスローガンに、7月27、28の両日、第129回定期大会を広島市内で開きました。(中野侃)

 土屋義嗣委員長は開会のあいさつで、大学生の就職内定率が過去最高になったという就職情報会社の調査結果を示し、賃金要求の重点課題の一つである「初任給アップ」を来春闘でも要求のトップに据え、若者が安心して働ける労働環境をつくるために取り組む姿勢を明確にしました。
 テレビ山口労組は新入社員が入らない原因として、給料の安さをあげ、県内にある民放3局のなかでも新入社員の年収が一番低く、若手社員が辞めていく現状もあるとして、会社側に改善を要求。20代を中心とした若年層のベースアップを勝ち取ったと報告しました。

セクハラ根絶を

 MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の南彰議長は来賓あいさつで、「昨年4月の財務省事務次官によるセクハラ問題以降、ハラスメント根絶に向けて民放労連と一緒に取り組みを進めてきた」と強調。ハラスメントを禁止する包括的な法整備を求める意見書を政府に提出したことや、セクハラ被害と職場対応に関するウェブアンケートを実施したことを紹介しました。また、職場内のジェンダーバランスについてもふれ、「男性にとっても女性にとっても働きやすい職場づくりを目指していく」と話しました。
 北海道放送労組はセクハラ・パワハラについて相談できる窓口が社内にしかなく、相談者のプライバシーが守られない状態にあるとし、社外相談窓口の設置を要求したと発言。さらに「女性の働き方についても大きな成果があった」とのべ、結婚して戸籍上の姓を変えた人でも希望すれば全ての場面で旧姓使用を可能にしたと報告。「どんな名前を名乗るかというのは基本的人権の一つです。旧姓使用できる環境を作るのは会社の責任です」と訴えました。

非正規の組織化

 正規労働者と非正規労働者の「不合理な待遇差」を禁止する「同一労働同一賃金」が来年4月から施行されるのを受け、大会では土屋委員長による学習会が開かれました。土屋委員長は無期雇用に転換した契約社員にはルールが適用されないなど課題が残されていると説明。「組合としてはまず法律への理解を促進したい。それから非正規の方々の組織化につなげるチャンスでもあると思うので、格差是正への大きな一歩にしたい」と話しました。
 NHKがテレビと同じ番組をインターネットでも流す「常時同時配信」を可能にする放送法改定が今年5月の国会で成立。土屋委員長は「NHKがインターネット事業を拡大することにどのような意義があるのか、視聴者に対して十分な説明が行われていない」と指摘しました。
 来賓のメディア総合研究所の砂川浩慶所長(立教大学教授)は、オンデマンドが主流の若者には同時配信のニーズがないことや、「民業圧迫」という批判がある中で、今後、製作費の値上がりや、番組で使う楽曲の権利処理の問題などが考えられると指摘。「特にローカル局には大きな影響があると思います。インターネット配信についての対応はリアルな局面に立たされる」と語りました。(つづく)
(8月21日付)

◎民放労連大会/下/沖縄基地問題連帯の輪を/放送・報道への圧力はね返し

 民放労連(日本民間放送労働組合連合会)の定期大会は「民放労連運動に憲法を活(い)かしていこう!」など7本の決議と大会アピールを採択しました。
 民放労連本部と沖縄地連が提案し、採択された「沖縄の民意と連帯し辺野古新基地建設撤回を求める決議」は、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票で、圧倒的多数の県民が「NO!」の意志を明確に示したこと、それにもかかわらず政府は「沖縄に寄り添い」という裏で工事を強行していることなどにふれ、「一日も早い撤回を求める連帯の輪を広げていこう」としています。
 沖縄地連は「5月に平和と憲法を考えるフォーラム、6月には全国ラジオ会議も実施させていただきました。そうした中で辺野古をめぐる現状をたびたび紹介させてもらっているので、今後は参加者を増やしていくのが課題です」と発言。京都放送労組は辺野古新基地建設の県民投票を多くのリスナーに知らせるべく、「『辺野古』県民投票の会」の元山仁士郎代表がKBSラジオに出演したことを報告しました。

権力の監視役に

 大会では放送・報道に対しての政府の不当な圧力に立ち向かう運動が報告されました。
 1年間の運動の総括を報告した齋田公生書記長は、ドローン規制法が国会で採択されたことで取材への規制強化につながる可能性や、高市早苗総務相(当時)が〝政治的公平〟に反すると判断した放送局には放送法4条違反を理由に「停波を命じることができる」と発言するなど、放送・報道に対して政治的な圧力やゆさぶりが加えられていると指摘。「こうした圧力をはね返し、市民・視聴者の知る権利に応えるための放送にする必要があります」と呼びかけました。
 菅義偉官房長官の記者会見で東京新聞の望月衣塑子記者に対して、官邸側から度重なる質問制限が行われた問題にふれた来賓のMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の南彰議長は、立場を超えたジャーナリスト、市民が結集して「官邸前抗議行動」を行ったと紹介。「民主主義とメディアとの関係性を問い直して、知る権利を守っていくために取り組んでいる」と話しました。
 北海道放送労組は、安倍晋三首相が札幌市で参院選の応援演説を行った際に、「安倍やめろ」と声を上げた聴衆が警察によって排除された出来事を話し、「この問題をすぐに報道した局はほとんどありませんでした」と問題提起。「記者が権力の意向を忖度(そんたく)してしまう構図が地方にもひたひたと浸透しているように思えてなりません。権力の監視役として民主主義を守ることも労働組合の役割だと思います」と発言しました。
 採択された「政府からの圧力を排し、視聴者から信頼される放送の確立をめざす決議」は、「国内メディアの報道の自由が危ぶまれている。政府からの圧力を排し、番組作りの現場に対する積極的な環境整備が絶対条件である」としています。

人々の命を守る

 土屋義嗣委員長は閉会あいさつで「私たちメディアは直接的ではないかもしれないが、時の権力を監視し、ペンを取りカメラを持つことで人々の命を守る仕事をしていると思います。議論を尽くし運動を広げて放送の未来を作っていきましょう」と呼びかけました。
 大会では、土屋義嗣委員長(再)、齋田公生書記長(再)が選出されました。(おわり)
(8月22日付)

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