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~10月のテレビラジオ面~
☆思いのままに 真矢ミキさん
☆「日本遺産」魅力を語る 河野英輔さん
☆「ザ・ベストラジオ」 魅力ある4作放送

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□思いのままに 真矢ミキさん(5日付)

 ドラマ「さくらの親子丼」(フジ系)の主人公・九十九さくらを演じる真矢ミキさん。温かい食事を通じて困難を抱える子どもたちに手を差し伸べる役。「おとなが、このドラマを見て、子どもとの向き合い方を考えてほしい」と語ります。(記事を読む

□「日本遺産」魅力を語る 河野英輔さん(19日付)

 BS-TBSが制作放送してきた「日本遺産」。チーフプロデューサーの河野英輔さんがその魅力を横浜市の放送ライブラリーの公開セミナーで語りました。「足元の歴史を見ることは意義あることと感じとってもらいたい」と話します。(記事を読む

□「ザ・ベストラジオ」 魅力ある4作放送(26日付)

 その年の主な放送コンクールで受賞した番組を紹介する「ザ・ベストラジオ2020」(NHK・FM)。「コロナ感染者差別」「戦後の沖縄と放送の歴史」「文芸評論家加藤典洋を追う」「視覚障がい者の生活に密着」など、ラジオならではの表現の魅力を伝えます(記事を読む

●始まりの奇跡 「遠くへ行きたい」第1回ディレクター・今野勉さん(7日付)

 50周年を迎える日本系の旅番組「遠くへ行きたい」。第1回のディレクター・今野氏に寄稿してもらいました。旅する人・永六輔さんの自由気ままな旅を追いかけるため「移動しつつ録音できるカメラ」探しから番組作りは始まりました。(記事を読む

●戦国の世に問われる武将光秀の〝誠実〟さ 「麒麟がくる」を見て(8日付)

 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」。物語は、いよいよ織田信長が上洛し、光秀が歴史の表舞台に登場します。ライターの山本長春氏は「本能寺の変」をどう描くのかに注目。細かくは50説もあるという日本史最大の謎の一つにどう迫るのか見守ります。(記事を読む

◆ドラマで活躍・多彩な顔が登場 10月の「休憩室」(日曜日掲載)

中条あやみさん(18日)NHKドラマで閻魔大王の娘役。死者に〝生き返りゲーム〟を仕掛けます。「キツイ言葉を発する天真爛漫な女性。新しい中条あやみを見せられたら」。

妻夫木聡さん(25日)ミステリードラマ「危険なビーナス」(TBS系)で、主人公の獣医師・手島伯郎を演じます。「次の回が見たくなるドラマを作りたい」と意気込みます。

◆好評・「試写室」 新ドラマ、ドキュメンタリーを紹介

  ジャーナリストや作家、ライター、詩人ら多彩な執筆陣が、新作ドラマやドキュメンタリーなどの話題作を取り上げ、見どころを伝えます。みなさんは今夜、どの番組を選びますか?

◆コラム「レーダー」「ちょっといわせて」も

 放送と政治の関係、番組の内容などについて鋭く指摘します。

●石子順の「映画の窓」

  毎週金曜日付に掲載。評論家・石子順さんが、1週間分の映画(地上波、NHKBSプレミアム)を厳選して紹介します。

♪♪♪毎週月曜日付は「ゲツトク」です♪♪♪

  毎週月曜は1面を使った特集面をお届けします。通称「ゲツトク(月特)」。最新のテレビ・芸能情報から、話題の人へのインタビュー「思いのままに」「ラジオとともに」など内容も多彩。一流執筆陣による評論「波動」は放送界の「いま」を深く切り取ります。演出の巨匠・鶴橋康夫さんのコラム「ドラマの種」(随時掲載)が好評です。

◆「波動」執筆陣(50音順)◆

 碓井広義(上智大学教授)、河野慎二(ジャーナリスト)、桜宮淳一(在阪テレビ局報道記者)、隅井孝雄(ジャーナリスト)、利元克巳(広島マスコミ9条の会)

【反響続々! 月イチ連載に注目を】

◇石井彰の「テレビ考現学」(第1月曜日付「テレビラジオ特集面」で掲載)

  放送作家・石井彰さんによる辛口コラム。その名も「テレビ考現学」。放送業界では、いま一体何が起きているのか…。〝ご意見番〟的に語り尽くします。

◇やきそばかおるの「ラジオの歩き方」(第3月曜日付)

国内すべてのラジオ局を網羅する異色のライター・やきそばかおるさんが、各地で愛される注目番組をセレクトします。これを読めば、あなたもきっと〝ラジオの達人〟に!

◇谷岡理香の「話して書いて考えて」(第4月曜日付)

 ジェンダーとメディアが専門の谷岡理香さん。アナウンサーとして放送の現場で仕事をしてきた女性の視点から、マス・メディアのこれからを考えます。

◇「おすすめ民放BSシネマ」&「イマイのこれ観よっ」

「テレビラジオ」欄で、民放BS各局で放送予定の映画を選りすぐって毎月紹介します。NHK朝ドラの脚本など数々の作品を手掛けた〝映画通〟今井雅子さんが、作り手目線でその月に観るべき作品を熱く語る「イマイのこれ観よっ」もあわせて、どうぞ!
 

♪♪♪読者・視聴者の「声」で紙面をつくります♪♪♪

◇あなたも投稿してみませんか~「みんなのアンテナ」
「あのドラマは感動した!」「ちょっとこの番組はヘンじゃない」…。テレビ・ラジオ番組の感想を募集しています。また、放送問題への意見も大歓迎です。

「みんなのアンテナ」は200字程度の原稿にまとめ、①住所②氏名(紙上匿名可)③年齢④電話番号を記入のうえ、以下のあて先・アドレスに送付してください。掲載の場合は薄謝を進呈します。

【はがき・手紙の場合】
〒151-8675  東京都渋谷区代々木郵便局私書箱62号

   【FAXの場合
 03(3350)5298

 【Eメールの場合
 hensyukoe@jcp.or.jp

※いずれの場合も「みんなのアンテナ係」と明記してください。


◎思いのままに/「さくらの親子丼」シリーズ第3弾主演真矢ミキさん/情熱を手放さない/この時代、子どもとの向き合い方考えて

 「おとなが、このドラマを見て、子どもとの向き合い方を考えてほしい」と言うのは、主人公・九十九(つくも)さくらを演じる真矢ミキさんです。17日から放送の連続ドラマ「さくらの親子丼」シリーズ第3弾(フジ系 土 後11・40)。温かい食事を通じて困難を抱えた子どもたちに手をさしのべる役にまい進しています。(小川浩)

 ―さくらは、古本屋・九十九堂の店主ですが、子どもシェルター「第2ハチドリの家」のスタッフとして日々を送っています。第3弾についてまず、思ったことは何ですか?
 真矢 また、さくらに会えるという純粋な喜びとともに、コロナ禍で増え続けている児童虐待、子育て放棄のニュースを拝見して、この時代に、さくらに出会えることの必然性を感じ、演じることや作品への思いが強くなっています。

寄り添う姿勢

 ―今回のさくらは、シェルターの子どもたちと、どう向き合いますか?
 真矢 前作では、私が演じるさくらが子どもシェルターの食事スタッフとして子どもたちに向き合いました。おとなに固く心を閉ざした子どもたちに自らの考え方を否定されて傷つきながらも、一緒に成長していきました。今回も子どもシェルターが舞台となりますが、台本では、気づけば心のままに走り出していたさくらから、気づけば立ちどまり、寄り添う姿勢が生まれている。それが印象的でした。
 ―コロナ禍で、人と人とのつながりを改めて考えましたか?
 真矢 多くの人が今までと違う状況の中で生活をしていて、何がとても大切なのか、見えてきた気がするんです。子どもたちだけではなく、高齢者のこともそうですが、私たち自身のことも、手をあげて主体的に能動的に何かできることがあればしたいという機運が高まっている気がします。このドラマを放送するタイミングって、太字で強調して書くように意味があるなあと思いました。
 ―親子丼で子どもを癒やすさくらですが、ご自身の思い出の家庭料理は、ロールキャベツ、お雑煮、カレーライス、親子丼だそうですね。どんな、ご両親でしたか?
 真矢 母は「人より出ない方がいい。普通が一番よ」と説く。父は「実るほど頭を垂れる稲穂かな、という言葉を大切にしなさい」と言っていました。両親の教育法は、偉そうになるなよ、ということなんです。成長していく中で、一回、開けてみたい扉ってあるという感じで、〝普通がいいのよ〟という言葉への反動で、開けちゃいけない扉を開けてきたような気がします。でも、人前で表現すること、テレビ画面に映っていることから離れたら、親の言ったことを常に心にとめているなあと思います。

自身を見つめ

 ―トップスターになった宝塚歌劇団の時から、「明るい、光のような役」を多数演じてきました。1998年に退団した翌年に俳優デビューして20年余。「緊急事態宣言」で自粛中は自身を見つめたそうですね。
 真矢 自分の短所、長所は何なのか? ノートに書き出しました。書いていたら自己否定が強くなってきて、自己肯定する方法が書いてある本を買いました。そんなことを紆余曲折(うよきょくせつ)して今、立っている。一回、そしゃくして自分の心を開いてみた方が、よりちゃんと笑顔で立って生活している自分がいます。すてきな方を見ていると過去に浸っていない。いくつになっても前向きなんです。手放してはいけないものって情熱。好きな言葉なんです。

さくらの親子丼
 原作/脚本・清水有生。2017年、18年から続く作品。弁護士の三谷桃子(名取裕子)が主宰する子どもの一時避難施設「第2ハチドリの家」を舞台に、スタッフのさくら(真矢ミキ)がさまざまな経験を経て、虐待から逃れ行き場のない子どもたちと、心を通わそうとする物語。東海テレビ制作。
(10月5日付)


◎「日本遺産」魅力を語る/チーフプロデューサー河野英輔さん/地方史・固有の文化/クジラと共生、世界が認めた

 「日本遺産」をご存じですか? 日本の文化・伝統を語るうえで欠かせない地域の歴史的魅力や特色を、文化庁が認定したものです。BS―TBSは「日本遺産」と題した番組を制作、2016年11月から計24作品を放送してきました。このほど横浜市の放送ライブラリーで公開セミナー「制作者に聞く!」が開かれ、同番組のチーフプロデューサーの河野英輔さんが日本遺産の魅力について語りました。(佐藤冬樹)

 日本遺産は、現在104地域が認定されています。目的は、観光に役立てるためです。日本の魅力を発信しうる、地域の固有のストーリー(歴史、文化)があり、現在に重ね合わせる要素が必要とされています。

認知度は3割/関心度は8割

 日本遺産に対する認知度は、国民の約3割と低いものの、関心度は約8割と高い。
 河野さんは「知れば行ってみたいとなります。認知度があがらない原因として、そもそもメディアでの露出が少ないこと」と言います。
 「日本遺産」は30分番組で、毎回二つの地域を訪ねます。
 1990年代後半、「世界遺産」ブームが始まりました。「そこでなぜ日本遺産になったかというと、中国が台頭し、アメリカではトランプ政権ができ、内向きになっていった。変わる世の中で日本を見直すタイミングに来ていたと思いました」と語ります。
 河野さんはTBSテレビの「世界遺産」の制作に番組立ち上げの1996年から参加。「日本遺産」もスタートから携わり、第1回「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群」の演出を手がけました。

伝統の継承が印象に残った

 「固有の文化、風習が多く残り、珍しいなと取材で行った時に思いました。印象に残ったのは、放生祭(ほうぜいまつり)です。京都の祇園祭の流れをくむもので、五つの独特な芸能が一つに集結して行われます。とても興味深く見させてもらい、その経験をそのまま映像に出したいという思いで作りました。子どもたちが参加していて、伝統の継承がされていることが印象に残りました」
 京都ではすでになくなっているようなものが、福井県・若狭地方に残っていることに注目しました。若狭は鉄道交通網からはずれていて便利でないために文化が残せました。河野さんは北陸新幹線の敦賀―新大阪ルートが決まったことにやや複雑な心境を示します。
 第1回のもう一つの番組は「鯨とともに生きる」(和歌山県新宮市、那智勝浦町、太地町、串本町)。4年前の放送当時は、各地で〝反捕鯨運動〟の声が上がっていました。

足元の歴史を発見する喜び

 「番組のタイトルが挑戦的だと思いました。太地町には、『くじらの博物館』があり、等身大のマッコウクジラの模型があります。くじら浜海水浴場は、この博物館が管理しており、クジラと一緒に泳ぐことができます。ここは、クジラとともに生きていた地域だと訴えたいという内容でした」
 番組は、第2回ゴールデンツリー国際ドキュメンタリーフィルムフェスティバル(17年)短編賞にノミネートされ、1000以上の出品作品中の31作品として選ばれました。
 「地域の人々は決して乱獲せず、必要な数しかとらず大切にあがめてきたことを、この作品で理解してもらいたいと思いました」
 現在、来年放送する番組のシーズン5に取り組んでいます。
 「自分の足元の歴史を見ることは意義あることと感じとってもらいたいです。日本史の教科書でも登場しない地方史を発見する喜びがあり、ふるさとを見直すことができます」

「日本遺産」今後の予定
 ナレーションはシーズン1・2が草刈正雄。シーズン3と今年の新春スペシャルが高島礼子。シーズン5は来年1月に放送予定です。取り上げる地域は、「高尾山と桑都八王子」(東京都)、「龍と生きるまち 信州上田」(長野県)、「中世日根荘(ひねのしょう)の風景」(大阪府)、「石見の火山と銀(しろがね)の山」(島根県)、「藍のふるさと 阿波」(徳島県)、「薩摩武士が生きた町」(鹿児島県)です。また現在、姉妹番組として「彩(いろどり)~日本遺産」(BS-TBS、水、後9・54~59)を放送しています。
(10月19日付)


◎コロナ/戦後…「ザ・ベストラジオ」/魅力ある4作/NHK・FM30日

 その年の主な放送コンクールで受賞した優れたラジオ番組を紹介する「ザ・ベストラジオ2020」が30日(後2・0)、NHK・FMで放送されます。公共放送・民間放送の垣根を越えてラジオ番組の秀作選を紹介することで、改めて音声メディアの魅力を伝え、その役割の大切さや放送局の姿勢を伝えます。ゲストは放送作家の石井彰さん、進行は山田敦子アナウンサーです。放送するのは次の4作品。

■南海放送「ラジオ報道特別番組『感染』―正義とは何か」(2020年日本民間放送連盟賞ラジオ報道番組最優秀)
 今年3月、愛媛県最南端にある人口約2万人の愛南町で、県内初の新型コロナウイルス感染者が確認されました。この日を境に県内の雰囲気は一変。感染者は半日もたたずに特定されました。精神科病院や高齢者施設ではクラスターが発生しました。「こんな施設閉めてしまえ」…。誹謗(ひぼう)中傷が拡散していきます。人権侵害は一人ひとりの「正義」に基づいて広がります。新型コロナから人の「正義」とは何かを問います。

J―WAVE「J―WAVE SELECTION GENERATION TO GENERATION~STORIES OF OKINAWA」(第57回ギャラクシー賞ラジオ部門大賞、2020年日本民間放送連盟賞ラジオ教養番組最優秀)
 父、川平朝清から息子、ジョン・カビラへ語り継ぐ沖縄。戦後の沖縄で最初のラジオ局であり米国軍政府の運営だった「AKAR 琉球の声」のアナウンサー時代、琉球放送を経て沖縄放送協会の設立、現在の沖縄への思いなど、沖縄を報道する側から見てきた朝清が、その時代に体験したこと、感じたことを伝えます。ナビゲーターはジョン・カビラ。

エフエム東京「TOKYO FM 特別番組 ねじれちまった悲しみに」(第46回放送文化基金賞ラジオ番組最優秀賞)
 昨年亡くなった思想家・文芸評論家の加藤典洋は、平和主義を唱えながらも世界で戦争を続けるアメリカに従属するという戦後日本の「ねじれ」を指摘してきました。最後の著作が『9条入門』。作家・小川哲がこの本を持ち、「加藤典洋」を巡る旅に出ます。小川と対話するのは社会学者・上野千鶴子、日本文学研究者のマイケル・エメリック。語りは俳優・藤間爽子です。

青森放送「あなたと見た風景~目の見えない初江さんの春夏秋冬」(第74回文化庁芸術祭賞ラジオ部門優秀賞)
 視覚障害者が取材・出演する「RAB耳の新聞」を長年放送してきた青森放送。ラジオパーソナリティーとして昨年春まで出演していた内田初江(79)に1年間密着しました。10歳で視力を失い、盲学校を卒業し、結婚・出産・子育てを経験。現在は5歳年上の夫・利男と二人暮らしです。内田家はいつも片付いています。そこには健常者と変わらない家庭生活がありました。

心の問題や思想、深く考えられる/石井彰さん
 11回目を迎えるベストラジオ。今年も聴きごたえのあるラジオ番組がそろいました。
 映像がなく音声だけのラジオは、聴取者それぞれが登場する人物や場面を自由に想像しながら、共感して楽しむメディアです。だから形が見えない「心の問題」や、難しい思想まで表現したり深く考えることができます。
 コロナ感染者への差別と四国遍路の歴史を結んで考察した南海放送。戦後の沖縄と放送の貴重な歴史を伝えたJ―WAVE。日本の戦後と格闘した文芸評論家加藤典洋の姿を追うエフエム東京。視覚障がい者の生活に密着し記録した青森放送。
 ラジオだから可能になった新たな表現の深さと楽しさを、音質の良いFM放送でじっくりお楽しみください。
(10月26日付)


◎「遠くへ行きたい」50周年/日本系旅番組/始まりの奇跡/第1回ディレクター今野勉さん

 日本系の旅番組「遠くへ行きたい」が50周年になるにあたり、第1回のディレクター今野勉さんに寄稿してもらいました。

 「遠くへ行きたい」という旅番組がテレビで始まったのは、1970年の10月である。その第一回を私はディレクターとして担当することになった。
 番組での旅する人を引き受けてくれた永六輔さんは既にラジオでの旅番組を手掛けていた経験から「私は自由、気ままに旅をしますから、それをそのまま撮ればテレビ番組になるじゃありませんか」と言った。
 確かにその通りなのだ。自由気ままに旅する永さんを追いかければいいのだ。ラジオなら、ディレクターが一人、携帯型の録音機を肩下げにしてマイクを手に追いかければ、それはできる。今のように小型テレビカメラがあれば簡単だが、当時テレビカメラで戸外撮影しようとすると、バスほどの大きさの中継車しかなかった。そんな中継車で旅番組は作れない。当時、ドラマやドキュメンタリーの戸外撮影に使われたのは16㍉のフィルムカメラである。このカメラは、回転する歯車の音が大きいので、同時録音するには、分厚い鋳型の遮音装置をカメラに被せて音を消していた。重くてとても肩に担いで移動できるような代物ではなかった。
 しかし、私は「自由で気ままな旅番組」をどうしても作りたかった。「移動しつつ録音できるカメラ」を私たちは探し始めた。
 絶望しかけた丁度その時、奇跡のような幸運が待っていた。アメリカで、私たちの切なる希望を叶えるカメラが売り出されたのだ。アリフレックスBL。かくして「遠くへ行きたい」第一回は、フィルムによる初の同時録音旅番組となった。以来、この10月で50年。最初の奇跡を今、私は夢のように思い返している。

後編は五木寛之さん出演
 読売テレビ制作の「遠くへ行きたい」は、各回に旅人の思いつきを取り入れて長く愛されてきました。11日(日本テレビ、読売テレビなど。地域により放送日時が異なる)は「50周年スペシャル」の後編を放送。作家の五木寛之さんがVTR出演します。五木さんは71年に旅人として福岡・筑豊へバイクで訪れました。当時の映像で振り返ります。

 こんの・つとむ 1959年、現TBS入社。70年に退社、製作会社「テレビマンユニオン」創設に参加。
(10月7日付)


◎NHK大河「麒麟がくる」を見て/戦国の世に問われる武将光秀の〝誠実〟さ/ライター山本長春

 人気テレビドラマ「半沢直樹」最終回のあるシーンが印象的でした。半沢の妻・花子が白井国交相に一輪のキキョウを贈り言います。「花言葉は誠実です」。さて本題ですが、NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の主人公・明智光秀(長谷川博己)の家紋もキキョウ。古来、日本人に親しまれた花です。戦国の世に、光秀も誠実さが問われたような気がします。
 物語は、いよいよ織田信長(染谷将太)が、室町幕府15代将軍・足利義昭(滝藤賢一)を擁し上洛へ。仲介役の光秀が歴史の表舞台に登場します。前半は光秀の出自が不明なため、かなり創作の余地がありました。今後は史料も多くリアルさが求められます。明智家は将軍の奉公衆を務め、光秀も「武家の棟梁」を信奉しています。片や信長は天下を狙う〝革命児〟。乱世の京で公家、宗門、商人の思惑が交錯する中、信長、光秀はどう動く。光秀が義昭、信長両方の禄を得る「両属」から、義昭を追放する信長の臣下になる背景や心理にどう迫る―。
 なにより注目は「本能寺の変」(「乱」といっていい)です。家臣で最初の城持ち武将となり、丹波平定を任されるなど信長の信頼が厚かったのになぜか。その真相は日本史最大の謎のひとつです。大きくは「単独説」「主犯・黒幕存在説」、細かくは50説もあるそう。本作の時代考証の小和田哲男氏は「信長非道阻止説」(『明智光秀・秀満』)ですが、展開やいかに。
 今回も含め大河ドラマ59作中、光秀が登場するのは16回もあります。近藤正臣、五木ひろし、萩原健一、市村正親、光石研らが演じました。
 〝長谷川光秀〟には、先を見通す力もある実直な武将を感じます。〝染谷信長〟も板についてきました。大河初出演の坂東玉三郎の正親町(おおぎまち)天皇も楽しみ。光秀の母・牧(石川さゆり)ら女性たちに待ち受ける過酷な運命も胸を打つに違いありません。
 信長、秀吉、家康ら〝英雄中心〟の大河ドラマ。さらに、主人公を山内一豊・千代、直江兼続、真田幸村…と家臣層などにも広げました。それも曲がり角にきています。光秀のように謀反人、いわば悪役を主人公にするなど考えられませんでした。歴史研究がすすみ、通説見直しの反映でしょうか。
 長く続く戦乱の中、神獣である麒麟は、世を平らかにするために現れるとされます。光秀はその先導役かもしれません。コロナ禍に生きる今に響くものがあるのか、見守りましょう。
(10月8日付)

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