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2022年12月21日(水)

オランダ 奴隷制に謝罪

首相演説「甚大な苦しみに責任」

 オランダのルッテ首相は19日、19世紀半ばまで約250年にわたる奴隷貿易について、「人道への罪だった」と認め、政府が奴隷貿易に果たした役割について初めて公式に謝罪しました。ハーグにある国立公文書館で、政府の謝罪を要求してきた植民地や奴隷にルーツを持つ市民らを前に演説しました。(詳報)

 ルッテ氏は、奴隷貿易を通じて、60万人以上がアフリカから南米スリナムやカリブ海地域に「人間性を奪われ、家畜のように運ばれた」と振り返り、奴隷制によって「国家権力のもと、人間の尊厳は最も恐ろしい方法で侵害された」と指摘しました。その上で「政府は、奴隷にされた人々とその子孫が受けた甚大な苦しみに責任を負っている。過去に率直かつ誠実に向き合わなければならない」と述べました。

 ルッテ氏は、奴隷制による抑圧と搾取が、現代の人種差別的な偏見や差別、社会的不平等につながっていると指摘し、「歴代政府は、奴隷制の過去が今もなお悪影響を及ぼし続けていると適切に見抜き、認めることができなかった。今日、私は謝罪する」と表明しました。

 ルッテ氏は演説後、奴隷制についての教育を拡充するため2億ユーロ(約290億円)の基金の設立を表明。他方で賠償金の支払いは否定しました。

 オランダ政府は2020年、奴隷制が現代に及ぼした影響を調査する独立委員会を設置。今回の謝罪は、委員会の提言を受けたものです。この動きの背景には、西欧の植民地だった諸国や市民が長年、声をあげ続けてきたことがあります。


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