しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年9月10日(土)

東京医科大入試で賠償命令

東京地裁 女性差別違法性はふれず

 東京医科大学の医学部入試で「属性調整」として女性を理由に差別的な取り扱いを受けた元受験生の女性28人が、総額1億5200万円の損害賠償を求めた裁判の判決が9日、東京地裁でありました。平城恭子裁判長は「受験校選択の自由を侵害した」として原告27人に総額1826万円の損害賠償を命じました。(関連記事)

 原告弁護団は「正面から女性差別の違法性に触れていない」として、判決を「非常に不満」とのべました。

 東京医科大は、当時の学長からの「男子を増やす案をいくつか考えろ」という指示のもとに2006年度から性別による点数調整をしていました。点数調整は18年度の試験まで行っていました。

 「属性調整」は2次試験の小論文で行われ、男性では現役で10点、1浪では9点などを加点し、女性には加点しないなどの操作をします。例えば、小論文で82点だった女性が「属性調整」の結果、65点となり、本来は58点だった男子現役生が「調整」によって、70点になり、結果が逆転する仕組みです。

 判決は「自らの努力や意思によって変えることのできない性別を理由に女性を不利益に扱うもので、教育基本法や憲法の趣旨に反する」と言及したものの、女性差別の違法性を断罪しませんでした。

 同大が「属性調整」をしていることを「公表することなく受験させた不法行為により受験校を選択する自由を侵害した」として、1回の受験あたり20万円の慰謝料の支払いを命じました。

 「属性調整」の結果、不合格となった原告4人については、このうち3人に150万円1人に100万円の支払いを命じました。

 5月に判決があった順天堂大学医学部の女性差別では、受験1回あたり30万円となっており、今回はそれを下回っています。


pageup