2022年9月10日(土)
東京医科大入試女性差別判決
慰謝料20万 遠い抑止
原告側「あらがい続ける」
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女性というだけで一律に不利な取り扱いが問われた東京医科大学の入試女性差別裁判。判決後の会見では、原告らから判決に疑問の声があがりました。
「私自身への慰謝料の多寡は関係ない。女性差別をして不当に扱ってそれが20万円で許されるのか、適正な額ではない」―。原告で、現在は医師となっている長谷川麻矢さんはうつむきながら、こう話しました。
そして「入試だけでなく世間一般で女性差別が許されるのか、それを世間の人に考えていただきたかった」と問いかけました。
弁護団の櫻町直樹弁護士は「判決は『属性調整』自体が違法と明言していない。非常に不満」とのべました。
女性差別がなければ同大に合格していた元受験生は「女性は『忙しい診療科を選ばない』とも言われますが、その背景には、女性よりも仕事に専念することができる、男性の特権性だと思っています。これらの不均衡の改善のために必要なのは、女性医師のみならず、男女全体で勤務時間を短くできるような、労働環境や給与、医療制度の改革」とメッセージを寄せました。
さらに元受験生は「進まない改革のしわ寄せが、10代の女子受験生に不利益をもたらす結果になるのはあってはなりません。差別を必要悪と擁護する人がこれからの医療を改善することはありません」と強調しました。
弁護団長の角田由紀子弁護士は「この判決は根本問題の女性差別に正面から向き合っていない。順天堂大の判決もだが、裁判所が正当な関心を払っていない」と批判。「裁判では金額でしか、女性差別の重大性を表せない。差別の抑止力になるような金額にしてほしい。それまで私たちはあらがい続ける、黙っていない、力合わせてやっていく」と決意を込めました。