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2022年1月23日(日)

「ああ、またか」

重点措置で飲食街 苦境再び

東京・新宿

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(写真)まん延防止等重点措置の実施によって休業する店も=21日、東京都新宿区

 全国の13都県で新型コロナウイルス感染症対策のまん延防止等重点措置(重点措置)が実施(21日)されて初めての週末をむかえました。国内有数の繁華街である東京都新宿区の飲食街で働く人たちの実情や思いは―。(新井水和、武田祐一、林直子)

3回目ワクチン早く 職域接種求める声も

 週末の金曜日の午後。各店舗では仕込みや開店準備に余念がありません。街を歩くと、休業や営業時間の短縮を知らせる張り紙をした店が目につきます。

協力金減っても

 「やっとお客さんが戻ってきたのに、また時短要請で、やる気がなくなる」というのは、30年以上続く居酒屋のオーナー。自慢は新潟の地酒。「(時短の)協力金が多少減るとしても、うちはお酒が出せないなら話にならないから」とつぶやきます。

 郷土料理を出す居酒屋の店長代理は、「予約の取り消しが増えてきた。『ああ、また始まったか』という感じ」と手早く看板を出しながら話します。時短要請が解除され約3カ月。売り上げが徐々に増えてきたところでした。「バイトのシフトの調整や仕入れを、また見直さなければ」と話します。

 焼き鳥店で仕込みをしていた店員の男性(27)は「オミクロン株の流行で、お客が減った」と嘆きます。「雇用調整助成金をもらって従業員を休ませ、今日から営業時間は午後9時までです。飲食店だけ制限して意味があるのかと思う」と苦しい胸の内を語りました。

 「1月21日~2月13日の間休業させていただきます」との張り紙がある飲食店から出てきた店員は、「重点措置で客が来る見込みがないから」と扉の鍵を閉めました。

 休業の張り紙があった別の店で様子をたずねると、店長の男性(50)は「コロナの影響で1、2カ月予約が入っていない。家族持ちの人は感染を恐れて自粛しているし、会社で会食を禁止しているところもあり、お客さんが減った」と述べました。

 一方、午後11時まで営業するという店も。店のいすを消毒していた従業員の女性(46)は「今日のところは午後11時まで営業し、お酒も提供します。会社の方針で、今後どうなるか分からない」といいます。

 別の飲食店の従業員は「うちは午後10時からのお客さんがほとんど。午後8時までの時短では割に合わない」とこぼします。「食文化は大切なんです。息抜きできる場や人とのつながりの場が必要です。飲食店が閉まればつらくなる人も増えると思う」と危惧します。

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(写真)まん延防止等重点措置の影響を受ける飲食街=21日、東京都新宿区

方針がコロコロ

 行政に対して「3回目のワクチン接種を早くしてほしい。飲食店向けの職域接種があれば、お客さんの安心にもつながると思う。都は現場の声をもっと聞きに来いと言いたい」と語気を強めます。

 昨年夏にオープンしたバーの従業員は「開業半年たって、店が一番盛り上がるころに、自粛はきつい」と話します。「うちはこれからランチ営業を始めます。それをお客さんに認知してもらうには1、2カ月かかる。数週間で都の方針がコロコロ変わると客がつきづらい」と訴えます。


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