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2021年10月27日(水)

温室ガス 2030年に16%増

10年比 国連が報告書で警告

 【ベルリン=桑野白馬】国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局は25日、各国が提出した温室効果ガスの排出削減目標を集計した報告書を公表しました。現段階の目標を達成しても2030年の世界の温室効果ガス排出量が10年比16%増加すると指摘。各国・地域がより強力な目標を設定しない限り、今世紀末までに世界の気温が2・7度上昇すると警告しました。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、気温上昇を産業革命前と比べて2度未満、できれば1・5度以内に抑えることを目標としています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、1・5度未満に抑えるには30年までに排出量を45%減、2度未満なら25%の削減が必要だと推計しており、各国の目標はこれには遠く及ばないことが明らかになりました。

 UNFCCCのエスピノサ事務局長は、「(パリ協定の)目標気温を上回れば、特に温室効果ガスの排出量がもっとも少なかった人々が際限なく苦しむことになる」と警鐘を鳴らし、各国が気候変動対策の努力を倍加するよう訴えました。

 今月末に英グラスゴーで開幕する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)のシャーマ議長は、「前進だが、十分ではない」と指摘。最大の排出国、特に20カ国・地域(G20)諸国からの「より強力な約束」を求めました。

 報告書は、パリ協定のすべての締約国192カ国・地域の目標を集計。うち目標を新規提出・更新した国は143カ国でした。ロイター通信によると、中国に次ぐ排出量を記録する欧州連合(EU)と、3位米国が新たな目標を設定。一方、中国と4位インドは古い目標を更新していません。また多くの途上国の削減目標は、富裕国からの資金援助と技術移転が前提となっています。

問われる日本の責任

 国連が掲げる2030年までに温室効果ガスの「10年比で45%削減」の目標実現については、産業革命以来、CO2を長期に排出してきた先進国に特別な責任があります。ところが、日本の削減目標は46%(13年比)であり、10年比換算では42%にすぎません。50~60%削減を目標とする世界の主要国と比べても、国連の要請と比べても、極めて低いものです。あまりにも消極的な日本政府の姿勢に対して、環境団体は「世界第5位の大規模排出国としての責任に向き合わず、途上国や将来世代の被害や人権を軽視する政策として、COP26で国際社会からも批判を受ける」(FoE Japan)と批判しています。


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