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2021年10月25日(月)

4つのチェンジで希望ある日本を

(4)9条に基づく平和外交

地域の平和枠組みつくる 大国主義許さず包摂的アプローチこそ

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 バイデン米政権下でも米中対立が続き、新型コロナや気候変動対策など、人類の命運を分ける問題で国際社会の協力が進まない場面が増えています。総選挙では、軍事包囲網づくりで中国との対抗を強める自公政権の継続か、米中二つの大国主義に対し国連憲章と国際法の順守を求め、憲法9条を生かした外交を進める日本共産党を含む野党か、日本の針路が問われます。

米中対立か協力か岐路

 バイデン政権は発足以来、日本や韓国との2国間会談の場に加え、北大西洋条約機構(NATO)や日米豪印の4カ国枠組み「クアッド(QUAD)」など、中国が参加しない多国間枠組みの場も使い、軍事同盟網の強化を急いでいます。

台湾で緊張

 9月には、米英豪3カ国の軍事協力枠組み「オーカス(AUKUS)」を新設しました。

 力による対抗を軸に、個別問題で協力を模索するという米側の方針は、中国からの対抗措置を呼び起こすことになり、明確な成果を生んでいません。気候問題担当のケリー米大統領特使は9月、協力を求めて訪中しましたが、王毅(おう・き)外相は「協力は中米関係全体の情勢から切り離せない」と難色を示しました。

 一方、台湾をめぐる米中の軍事的緊張は急速に高まっています。10月2~3日に米英の空母や自衛隊の「ヘリ空母」が台湾の東側海域で共同訓練を行ったのに対し、中国も同月1~4日に台湾の防空識別圏に中国軍機を過去最多のペースで侵入させました。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は17日、「この時代を新冷戦と呼ぼうが呼ぶまいが、衝突の可能性がかつてなく高いと心配する理由はいくつもある」と指摘しています。

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構図は鮮明

 米中対立でも、野党共闘対自公政権の構図は鮮明です。岸田文雄首相は台湾有事への安保法制発動や、敵基地攻撃能力の保有など、地域の軍事的緊張を高める対応に前向きです。

 野党4党は共通政策で、安保法制の違憲部分の廃止に加え、「平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う」と合意しました。

 日本共産党は、軍事対軍事の対立を最大限に抑制し、国連憲章と国際法に基づく平和的手段による問題解決と、米中の大国主義の横暴を許さないルールづくりを進めます。そのためにもクアッドやオーカスのような中国包囲の軍事的ブロックをつくる排他的アプローチではなく、中国も包み込んで一員とする地域の平和の枠組みをつくる包摂的アプローチが必要です。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、南シナ海問題で中国と深刻な対立を抱えてはいますが、日米に加え、中国も排除しないかたちでの多国間対話・協力の重層的枠組みを地道な外交努力で構築してきました。(図)

 包摂的アプローチとは、こうした枠組みと地域協力をインド太平洋地域でさらに拡大・発展させようという提起です。

 ASEANはこうした枠組みの下で、南シナ海における中国の不法な権益主張や威圧的行動に対し、一貫して国連憲章と国際法に基づくルールづくりを継続。中国の主張を否定する常設仲裁裁判所の判決(2016年)以降、中国に対し「国際法を守れ」という一致した外交が力を得ています。

 現実の国際政治は、国連憲章と国際法に基づき、大国の横暴を許さない国際包囲網の方向に発展しています。

中国の問題行動に日本共産党はどう対応?

 中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義的行動、香港やウイグルでの人権侵害は、社会主義とは無縁で、共産党の名に値しません。

 こうした問題に対応するうえで、何よりも大切なのは、国連憲章と国際法に基づく冷静な外交的批判です。

 台湾に対して中国が軍事的圧力・威嚇を強化していることには強く反対します。

 一方、中国の「脅威」を理由にして自衛隊の軍事力増強をはかる動きにも断固反対します。


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