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2021年10月24日(日)

主張

エネ計画閣議決定

世界の流れにどこまで逆らう

 岸田文雄内閣が、エネルギー政策の中長期的方針となる「第6次エネルギー基本計画」を閣議決定しました。2030年度の電源構成の目標では、二酸化炭素(CO2)を大量排出する石炭火力発電を19%にすると明記しました。世界で加速する脱炭素の流れに真っ向から逆らう目標です。原発は旧計画と同じ20~22%にするとしました。再生可能エネルギーは36~38%に引き上げましたが、極めて不十分です。これでは日本は気候危機打開の責任を果たせません。総選挙で自民・公明政権を終わらせ、新しい政権のもとで計画を根本から改めることが必要です。

石炭・原発固執変わらず

 基本計画の改定は、18年の安倍晋三政権が決めた5次計画以来です。石炭火力と原発に固執した旧計画の基本的な枠組みは、新計画でも変わっていません。石炭火力に2割近く依拠する目標は、世界の潮流から背を向けた日本の異様な姿勢を際立たせています。

 31日にイギリスのグラスゴーで開幕する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けて、石炭火力からの脱却を早める国の動きが進んでいます。ドイツでは9月の総選挙結果を受けた連立政権の協議で、従来目標を8年前倒しし30年までの脱石炭を合意しました。イギリスやフランスなど多くの国は石炭火力からの撤退期限を表明しています。

 8月に公表された国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書は、これからの10年での温室効果ガス排出量の思い切った削減が、破局的な気候危機を回避するためのカギを握っていることを明らかにしました。

 そのような中、基本計画で石炭火力からの撤退の道筋も示さず、国内では現在9件の大規模な石炭火力の建設を進め、インドネシアなどへの石炭火力輸出も推進する日本政府の立場は、あまりに重大です。イギリスBBC放送によれば、日本などがIPCCの報告書案をめぐり、石炭火力などからの急速な脱却の必要性を示した記述に難色を示し、削除を提案したといいます。地球の現在と未来の危機打開の国際的な努力を妨害することなどあってはなりません。

 基本計画が前提とする「30年度のCO2の46%削減」という目標がそもそも低すぎます。日本共産党は「気候危機打開戦略」で30年度までに50~60%の削減(10年比)を提案しています。それを省エネと再生可能エネの推進を組み合わせて大規模に実行します。石炭火力は30年をめどに計画的に廃止します。脱炭素に真剣に取り組む政権をつくることが急務です。

新政権で根本的な転換を

 基本計画は原発について「重要なベースロード電源」と位置付けました。国民の批判が強い新増設の記載は見送りましたが、「必要な規模を持続的に活用」するとしました。原発を電源構成の20~22%にするということは、現在の6%程度からの大幅な引き上げです。運転から40年を超えた老朽原発を含め、再稼働を推し進める宣言です。財界からの新増設の要求も消えません。放射能汚染をはじめ環境破壊を引き起こす原発を「脱炭素」を口実に推進することは許されません。原発からも石炭からも脱却し、再エネ拡充を進める政権をつくるためにも政権交代が不可欠です。


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