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2021年10月21日(木)

主張

選択的夫婦別姓

政権交代こそが実現の早道だ

 岸田文雄首相は18日の党首討論で、選択的夫婦別姓の導入法案を来年の通常国会に提出することについて、ただ一人賛成しませんでした。岸田氏は今年3月に自民党の有志議員でつくった「選択的夫婦別氏(姓)制度を早期に実現する議員連盟」の呼びかけ人でした。一議員として選択的夫婦別姓に賛成していても、首相になると自民党内の反対勢力の抵抗に屈し、実現不可能なことが明瞭になりました。選択的夫婦別姓を一日も早く導入するためにも総選挙での政権交代が必要です。

同姓義務付けは日本だけ

 世界で今、夫婦同姓を義務付けている国は日本だけです。政府も「現在、婚姻後に夫婦のいずれかの氏を選択しなければならない夫婦同氏制を採用している国は、わが国以外には承知していない」(今年3月1日、衆院予算委員会、丸川珠代男女共同参画担当相=当時)と認めています。日本は、世界から唯一取り残されています。

 日本の民法は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」(750条)と夫婦同姓を定めています。その下で、結婚で妻が夫の姓に変更する割合は96%に上っています(2015年時点、厚生労働省発表)。

 世界でも、かつては多くの国々で、夫の姓を夫婦共通の姓とすることが常識とされていました。しかし、そうした差別的な制度は、人格権や個人の尊重、平等の権利など人権にかかわる問題として見直しが進められ、別姓が認められるようになりました。

 氏名変更を各州の管轄にしている米国では、ハワイ州が最後まで夫の姓に変えることを妻に義務付けていました。同州憲法の平等権に反するという違憲判決を受け、1976年に妻が自分の姓を維持することができるようになりました。ドイツでは76年に合意によって夫または妻の姓のいずれかを共通の姓にすることになり、94年には共通の姓を決めず夫婦がそれぞれの姓を称することが認められました。ノルウェーでは49年に妻は夫の同意を得て自分の姓のままでいることができるようになり、64年には夫の同意が不要になり、79年には夫婦それぞれが自分の姓を保持することが原則になりました。(国立国会図書館『レファレンス』今年8月号の「国内外における夫婦の氏に関する制度と選択の状況」から)

 日本では、法相の諮問機関である法制審議会が96年に選択的夫婦別姓制度を導入する「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しています。国連の女性差別撤廃委員会も日本政府に再三勧告し、「女性が婚姻前の姓を保持できるよう夫婦の氏の選択に関する法規定を改正する」(2016年3月)よう求めています。

20~30代の8割賛成

 選択的夫婦別姓を求める国内世論は年々高まっています。とりわけ若い世代ではそうした声が強く、20~30歳代では78%が「賛成」という調査結果もあります。(早稲田大学法学部・棚村政行研究室/選択的夫婦別姓・全国陳情アクション合同調査、20年11月発表)

 野党4党の共通政策は、選択的夫婦別姓制度の導入やLGBT平等法の成立などを掲げています。ジェンダー平等の日本をつくるためにも、自公政権に代わる新しい政権の誕生が求められています。


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