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2021年8月31日(火)

主張

デジタル法施行

個人情報保護の逆行を許すな

 先の通常国会で成立したデジタル関連法が9月1日に施行され、強力な権限を持つデジタル庁が発足します。菅義偉政権は、行政のデジタル化によってコロナ対策をはじめさまざまな問題が解決するかのように言います。政府の無策によるコロナ対策の失敗をデジタル化の遅れのせいにするのはこじつけです。同法が目指すのは、行政機関などが保有する個人情報を企業のもうけのために利活用する仕組みづくりにほかなりません。個人情報保護をないがしろにすることは許されません。

もうけのため利活用拡大

 個人情報の不正な流用や本人の同意を得ない第三者提供が後を絶ちません。プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権です。どんな自己情報が集められているかを知り、不当に使われないよう関与する権利、自己情報コントロール権、情報の自己決定権を保障することこそ急務です。

 しかし安倍晋三前政権は、行政機関などが持つ個人データを、特定の個人を容易に識別できないよう加工すれば本人の同意なしに第三者に提供できる仕組みを導入しました。菅政権はさらに、デジタル関連法によって利活用の邪魔になる規制を緩和します。

 行政、民間、独立行政法人で別建ての法律だった個人情報保護法制を公布から1年以内に一元化し、保護の対象となる公的部門の個人情報の範囲を狭めます。

 地方に対しては自治体独自の個人情報保護条例を「いったんリセット」(平井卓也デジタル改革担当相の国会答弁)し、全国共通のルールを設けた上で、自治体独自の保護措置は最小限に制限します。自治体が条例で国より強い規制をすることに縛りがかかります。

 デジタル関連法が国と地方自治体の情報システムの「共同化・集約」を掲げ、国基準に合ったシステムの利用を自治体に義務づけていることも重大です。国のシステムに合わない自治体独自の施策が制限されかねません。自治体の役目は住民福祉の向上です。地方自治が侵害されないよう声を上げていくことが重要です。

 デジタル関連法が個人情報を大規模に集める手段としているのがマイナンバー制度の利用拡大です。政府が管理、運営するウェブサイト「マイナポータル」で行政手続きの利用を促し、そこを入り口にして集まる個人情報を利活用に回します。マイナンバーは社会保障、税、災害対策の3分野に限定して導入され、個人情報は分散管理されています。情報漏えいや悪用を防ぐためとして行われてきた管理の原則を揺るがすものです。

官民癒着の機関は不要

 デジタル庁は行政のデジタル化に関して他省庁に勧告する権限を与えられています。事務方トップのデジタル監には民間出身者が就きます。職員約600人のうち約200人が民間人材で、企業に在籍したままの兼業も認められています。露骨な官民癒着です。出身企業への便宜供与など「違法または不適切な事務処理」を防ぐために「コンプライアンス委員会」が設置されたこと自体、癒着が避けられないことを示しています。

 既に東京五輪向けアプリの発注をめぐる不適切な行為で内閣官房IT総合戦略室幹部が処分されています。大企業に新たな利権を提供するデジタル庁は不必要です。


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