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2021年7月18日(日)

主張

「赤木ファイル」

改ざん経過の全体像解明せよ

 学校法人森友学園への国有地払い下げをめぐり、公文書改ざんを強いられ自死した財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんが記録した「赤木ファイル」(6月22日開示)は、疑惑解明を進めるための極めて重要な資料です。同ファイルで判明した事実をもとに、再び調査を徹底的に行うことが不可欠です。しかし、菅義偉政権は再調査を拒む許しがたい姿勢です。国民の共有財産である公文書を改ざんすることは、民主主義の根幹を揺るがす重大な犯罪です。誰が関与し、どのように指示が出されたのか。全体像を明らかにすることは政治に課せられた責任です。

官邸の会合のすぐ後に

 500ページ超の「赤木ファイル」には、改ざんをめぐる本省指示や近畿財務局の返答メール、改ざん前後の文書などが保存されていました。理不尽な本省の要求に納得できない赤木さんが抗議の意を込めた「備忘記録」とされています。

 ファイルには、改ざんをめぐり佐川宣寿・財務省理財局長(当時)から国会答弁を踏まえた上で文書を修正するよう「直接指示」があったと記された本省のメールも含まれていました。財務省がまとめた2018年の調査報告書に記載のない新たな事実です。ファイルからは、改ざんが行われた日時など経過の詳細も分かりました。

 佐川氏の関与のさらなる究明と責任追及が必要なこととあわせ、改めて問われるのは、当時の安倍晋三首相や官邸中枢の関係です。

 安倍氏が「私や妻が関係していれば、首相も国会議員もやめる」と国会で答弁したのは17年2月17日でした。22日、菅義偉官房長官(当時)は、佐川氏と財務省の太田充・大臣官房総括審議官(佐川氏の後任の理財局長)を官邸に呼び、国有地売却の経過の説明を受けました。24日の記者会見で菅氏は「決裁文書にすべてが書かれているんじゃないでしょうか」と文書の存在に触れていました。

 ファイルによれば、本省からの指示で、近畿財務局で改ざん作業が始まったのは直後の26日です。「削除した方が良いと思われる箇所」があるとした本省のメールには決裁文書が添付され、安倍氏の妻・昭恵氏や政治家の名前などがある記載にマーキングがされていました。昭恵氏が小学校建設予定地を訪ね「いい土地ですから、前に進めてください」と述べていた記述などは削られました。「本省の問題意識は…相手方(森友)に厚遇したと受け取られるおそれのある部分は削除するとの考え」とファイルには書き残されています。

 17年2月22日の官邸での菅氏らの会合は、官邸ぐるみで改ざんに関与したのではないかと18年の国会で野党が追及しています。ファイルによって疑念はさらに膨らみます。局長の判断だけで大規模な公文書改ざんができるのかという指摘も相次いでいます。安倍前首相はもちろん菅首相も経過の説明から免れることはできません。

隠ぺい許してはならない

 6月に開示された赤木ファイルは複写であり、原本の公開も欠かせません。俊夫さんの妻・雅子さんは、本省の担当者の多くの氏名が黒塗りされ、指示系統が不明だと公開を求めています。メールに欠落部分がある疑いも浮上しています。首相や麻生太郎財務相は国会質疑に応じるべきです。隠ぺいを続けることは許されません。


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