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2021年6月10日(木)

五輪感染対策に大穴

バス乗務員 8.1万人を動員

自宅などから現場へ

ワクチン計画まだ

 東京五輪・パラリンピックの大会関係者を輸送するバスの乗務員が、延べ8・1万人にのぼることが分かりました。8日夜に五輪組織委員会が公表したもの。現段階で組織委は、乗務員むけに新型コロナウイルスのワクチンを接種する具体的な計画をたてていません。感染対策に大きな穴があいている状況です。(五輪問題取材班)


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 組織委は、選手、大会関係者やメディア関係者が競技場やホテルに移動する場合、借り上げたバスを利用する計画をたてています。

 政府、東京都、組織委などは、感染防止対策として、選手らの宿泊場所、競技場を泡で包むようなやり方で外部との接触を限定する「バブル方式」を採用しています。バスの乗務員は自宅などから通うことで、「バブル」の外から出入りを繰り返すことになります。

 組織委が公表した必要なバスの台数は最大で1日約2200台。うち東京圏では2000台を利用します。

 バスはKNT―CTホールディングス(旧、近畿日本ツーリスト)と業務委託契約をし、全国から集めます。計画では関東地方から1050台を調達。残りは中部地方(430台)、近畿地方(300台)、九州・中国地方(90台)などとなっています。参加する事業者は約600社。費用は約136・7億円です。

 乗務員は五輪が延べ6・3万人、パラリンピックが延べ1・8万人で、計8・1万人が必要とされています。内訳は、五輪とパラを合わせて選手、国際競技連盟関係者向けが延べ2・5万人。もっとも割り当てが多いのはメディア関係者で延べ計3・6万人です。

 1日あたりの最大人数は、7月23日の地点で2800人としています。

 組織委の武藤敏郎事務総長は8日夜の会見で、乗務員のワクチン接種について、「検討中だ。ワクチンを使える量がはっきりしていない。(ボランティアや大会関係者など)全員にやれるか分かっていない」と具体的な方針がたっていないことを明らかにしました。

 ファイザー社から五輪・パラ用に割り当てられているワクチンは2万本で、武藤氏は追加を交渉中としています。組織委関係者は、現状では、すべての大会関係者やボランティアにワクチンを優先接種できる状況にない、としています。

 乗務員のワクチン接種計画もたっていないなか、「バブル方式」に大きな穴があいていることになります。

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▲五輪では全国からバスを調達する計画です(五輪組織委員会の資料から)© Tokyo 2020


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