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2021年5月9日(日)

ワクチン有効性を評価

学術会議などが集会「過度な期待危険」

 新型コロナウイルス感染症のワクチンの有効性や安全性、国際協力などをテーマにしたオンライン学術集会が8日、開かれました。専門家は有効性を評価しつつ「過度な期待は危険」と戒めました。日本学術会議と日本医学会連合の共同開催。

 日本感染症学会ワクチン委員会の西順一郎委員長(鹿児島大学教授)は、臨床試験や社会でのワクチン接種の結果をもとに有効性は高いと評価しました。一過性の副反応の頻度が比較的高く、長期的な安全性に不明な点はあるものの「まん延状況を考えると現時点では接種する意義は極めて大きい」と述べました。ただ、有効性には個人差があり「ワクチンを打てば大丈夫」ではなく、基本的な感染対策を続けるよう呼びかけました。

 感染症に苦しむ国々に資金支援する「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」の國井修局長は、資金力のある国でワクチン接種が進む一方で、アフリカなどでの困難な状況を紹介。自国のことを考えるのは大事だとしつつ「自国優先だけではコロナは終息できない」と強調しました。世界100カ国以上に必要な援助額(4兆円)は、日本の医療費(年間40兆円規模)の10分の1だと指摘し、資金協力を訴えました。

 河岡義裕東京大学特任教授(ウイルス学)は、動物実験によるウイルスの感染・増殖能力の研究、マスクの効果の実験など、最新の成果を解説しました。また、15分でウイルスを検出できる抗原検出キットについて、少量のウイルスを見逃す可能性はあるが「量の多い検体は確実に陽性と判断できる」と、有効活用を提案しました。

 中山哲夫北里大学特任教授(ウイルス感染制御学)は、天然痘などの感染症と人類のたたかいの歴史を振り返りながら、予防医学の重要性を訴えました。


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