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2021年4月25日(日)

看護師「5日以上を500人」

五輪組織委が看護協会に要請

本紙入手の文書で判明

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が日本看護協会に対して、看護師約500人を大会の医療スタッフとして動員するよう要請したことが24日、本紙が入手した組織委の文書から判明しました。新型コロナウイルスの感染拡大で地域医療に余裕がなくなっているなか、五輪に看護師を大量に動員すれば、医療現場の疲弊がさらに強まるおそれがあります。


写真

(写真)大会組織委員会が出した日本看護協会への要請書(画像の一部を加工。拡大図はこちら

 要請は今月9日付で出されたもの。組織委は五輪の競技場などに医務室を設置し、医療スタッフを配置する計画。政府は大会期間中に医師、看護師など約1万人の医療スタッフを必要としています。本紙が入手した組織委の要請文によると、「新型コロナウイルス感染症等の感染拡大に伴い、看護職の確保が不十分な状況に至っております」と説明。全国から看護師約500人を集めるよう求めています。

 活動場所は競技会場、選手村の総合診療所(発熱外来含む)、選手村分村、宿泊療養施設など。選手らが新型コロナ感染症を発症することを前提にした対応を求めているとみられます。

 参加日数は原則5日以上。早朝、深夜も含め、1シフトあたり9時間程度としています。大会前の5~7月に予定されている役割別研修の参加は「必須」としています。

 感染の再拡大で政府は25日に、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に緊急事態宣言を出します。連日1千人を超す感染者が出ている大阪は医療が逼迫(ひっぱく)しており、政府は各省庁が所管する医療機関に看護師の派遣を呼び掛けるなど深刻な状況が続いています。


医療体制さらに圧迫

健生会ふれあい相互病院(東京都立川市)看護師 井澤有里美さん

 大阪では新型コロナウイルスの感染拡大で命が救えない状況に直面しています。看護協会は大阪に看護師を応援に出そうとマネジメントをしていますが、それがどれだけ大変か。医療の現場では1、2人の派遣であっても「支援頑張ろうね」と絞り出すようにして送り出しています。

 これから医療機関はワクチンの接種もしていきます。通常診療とは別に、人手を割いて特別の体制が必要です。そんな中で、海外から多くの選手、関係者が来たらどうなるか。この方たちが発熱したら外国語での対応など大変な作業になり、医療体制はさらに圧迫されます。

 私たちの目の前には病気になっている人がいます。「オリンピック成功のため」という理由で、苦しんでいる患者さんの前から看護師がいなくなっていいのか。いまは新型コロナに立ち向かうべき時であり、オリンピックは中止すべきです。


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