しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年12月20日(日)

主張

選択的夫婦別姓

多様性を求める声にこたえよ

 結婚したら、どちらか一方の姓を名乗らなければならない―夫婦同姓を法律(民法)で義務付けているのは世界で日本だけです。姓を変えるのは96%が女性です。外国人との結婚や離婚の際の姓は選択できますが、日本人同士の結婚では同姓が強制的義務とされたままです。日本も批准している女性差別撤廃条約第16条の「夫及び妻の同一の個人的権利」には、姓を選択する権利も含まれます。女性差別撤廃委員会から再三にわたり法律改正の勧告を受けています。

許されない大後退の動き

 2015年、夫婦別姓を認めるよう求めた裁判で最高裁は民法を合憲としたものの、裁判官15人中5人が違憲と表明し、「国会で論ぜられ、判断されるべき」としました。18年に日本共産党など野党が改正法案を提出したにもかかわらず与党は審議に応じません。

 近く閣議決定される男女共同参画第5次基本計画で、当初の政府案は、国民の強い要望を背景に、「選択的夫婦別氏制度」へ「政府として必要な対応を進める」とされました。しかし自民党内の反対意見が噴出し、「検討を進める」と大幅後退する動きです。2000年来、計画に盛り込まれてきた「選択的夫婦別氏制度」という言葉さえ消えようとしています。

 内閣府の調査(18年)で選択的夫婦別姓に「賛成」は43%で、「法律を改める必要はない」の29%を上回り、50歳代以下では賛成が半数を超えます。直近の各種調査では賛成は7割(「朝日」)、高校生を中心とした調査(学校総選挙プロジェクト)では9割が賛成です。

 国民は、選択できる社会、個々の人格や多様性が認められる社会を望んでいます。最高裁も「氏名は、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴」(1988年)と判断しています。

 「旧姓と新姓の論文が同一人物の成果とみなされず、正当な評価が得られない」「姓が変わったため取得した資格が消滅、再取得が必要となった」「事実婚では一方の親権がない」。同姓強制で多くの不利益が起きています。改姓による喪失感、結婚や離婚などの個人情報の事実上の公開、パスポート変更手続き等の労力と経費など一方の性に重い負担がのしかかっています。一刻も早い解決が必要です。

 反対派は「家族の一体感がなくなる」などと主張します。しかし、内閣府の世論調査では別姓で「家族の一体感(きずな)が弱まる」という人は3割、「影響ない」はその2倍の6割で、国民の認識とのずれは明らかです。反対派は「日本の伝統」と言いますが、夫婦同姓の義務は明治民法(1898年公布)で、家長による男性優先の家族内序列がつくられ、女性は法的無能力者とされた男尊女卑の社会で定められたものです。このような時代錯誤は通用しません。

別姓制度求める声やまぬ

 菅義偉首相は過去に選択的別姓に賛成表明しています。「政治家として責任がある」(11月6日、日本共産党の小池晃参院議員への答弁)というなら決断すべきです。

 女性たちはこれまでも、結婚退職制をなくし、出産しても働き続けられるよう職場と社会を粘り強く変えてきました。選択的夫婦別姓を求める声と行動はいっそう広がるでしょう。日本共産党はジェンダー平等社会の実現へ、さらに奮闘する決意です。


pageup