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2020年8月28日(金)

「暴行・脅迫要件撤廃」盛る

性犯罪刑事法検討会 改正案向け論点

 法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」は27日、同省内で第5回会合を開き、法改正案の作成に向けた「検討すべき論点」を確定し、1907年の刑法の制定以来、初めて強制性交等罪(旧強姦〈ごうかん〉罪)の成立要件の「暴行・脅迫要件の撤廃」と、「同意のないこと(不同意)」の要件化を盛り込みました。性暴力被害の当事者らの長年の要求が反映されました。

 当事者らは、不同意性交それ自体が犯罪であって処罰されるべきであり、不同意性交の一部しか犯罪とみなさない現行法の「暴行・脅迫要件」は撤廃すべきだと訴えてきました。

 会合では、「論点」のうち、(1)現行法の運用の実情と課題(2)暴行・脅迫や心神喪失・抗拒不能の要件(3)地位・関係性を利用した犯罪類型(4)いわゆる性交同意年齢―のあり方を議論。委員からは「暴行・脅迫要件を撤廃し、(要件を)『不同意性交』とすべきだ」「(不同意という)内心の立証は難しいので具体的で客観的な要件を設ける必要がある」などの意見が出されました。

 次回は9月24日に、引き続き各論点を議論します。

世論と運動が反映

17年法改正検討会委員 角田由紀子弁護士

 「検討すべき論点」の各論部分の冒頭に「暴行・脅迫要件の撤廃」の論点が位置付けられたことは、2017年の前回法改正時と比べて大きな変化であり、重要です。

 論点の順番は議論の優先順位を示します。フラワーデモはじめ性暴力被害の当事者が、「暴行・脅迫要件」によって被害の救済が阻害されていると法改正の声を高めてきました。そうした社会状況の変化が議論の順番にも反映されているのです。

 これまでの性犯罪規定では、被害者の存在が無視されてきました。また法改正をめぐっても被害者の存在を無視したところで議論が行われてきました。そうしたことが問題視され、検討会では被害者の視点を大切にしつつ議論が進もうとしています。ぜひ被害の実態に即した法改正の方向に進んでほしいと思います。


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