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2019年12月5日(木)

日米貿易協定承認案に対する井上議員の反対討論(要旨)

参院本会議

 安倍首相は、日米貿易協定について「ウィンウィン」と言いますが、米国の自動車関税の撤廃は先送りにされる一方、牛肉などの畜産物で大幅な関税削減を認める、日本の一方的な譲歩です。日米共同声明で、あらゆる分野を対象に協議して「第2ラウンド」の交渉を行うことまで合意したことは、あまりにも重大です。米国の要求に応えるために、国民を欺き、交渉の内容や経過も国会と国民に秘匿したままで、国民経済に大きな影響を及ぼす通商交渉を勝手に進めて合意・署名した安倍内閣のやり方は、言語道断だと言わなければなりません。

 日米貿易協定はTPP11、日欧EPAに続いて、重要品目を含め農産物の関税の大幅な引き下げ・撤廃を行い、国内農業に深刻な打撃を及ぼすものです。牛肉、豚肉、乳製品などを中心に国内生産額は最大1100億円、TPP11と合わせれば最大2000億円も減少することが政府の試算で示されています。

 さらに協定付属書には米国が「将来の交渉において農産品に対する特恵的な待遇を追求する」と、過去の協定に前例がないと政府も認める規定がわざわざ盛り込まれました。米国に一層の関税撤廃や引き下げを迫る根拠を与え、日本の農産物を際限のない譲歩にさらす日米協議に、断固反対するものです。

 日本は既に米国の要求を先取りするように、世界の規制の流れに反して人に対する発がん性が指摘される農薬用グリホサートの残留基準値を大幅緩和しました。食の安全や消費者の選択する権利を損ない、食料主権、経済主権の放棄につながる日米交渉に応じることは断じて認められません。

 日米デジタル貿易協定は、世界で事業を展開する米国のIT産業の要求に応えて、国境を越えた自由なデータ流通の「障壁」を取り払ってその利益を保護するためのルールづくりです。世界でデジタル・プラットフォーマー規制の強化をどう進めるかの議論が高まっているなか、米国IT産業の求めるルールづくりを優先することは、世界の流れに逆行します。

 日本国内で個人情報や消費者の保護などのために何らかの新たな規制を採用しようとする場合に、とりうる措置の内容が制約を受ける恐れがあります。

 両協定に反対し、経済主権、食料主権を尊重した互恵・平等の対外経済関係の発展をめざすべきです。


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