しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年1月10日(木)

主張

「家族農業の10年」

農業再生への展望を開く年に

 家族農業・小規模農業の役割を重視し、各国が支援しよう―。今年、国連が呼びかけた「家族農業の10年」(2019~28年)がスタートします。

 日本が、国連の呼びかけを真剣に受け止め、農業・農村の危機的事態を打開するために家族農業を中心に農山村の再生、食料自給率の向上に踏み出すことは、国際社会に対する責任です。

持続可能な世界に不可欠

 国連が14年の「家族農業年」に続いて本格的な取り組みを呼びかけたのは、輸出偏重や大規模化、企業的農業を推進してきた世界の農政が、家族農業の危機を広げ、貧困や格差、飢餓を拡大し、地球環境を悪化させてきたことへの反省からです。世界の農政が歴史的な転換を求められているのです。

 また昨年末の国連総会は、小規模・家族農業の役割を後押しする枠組みとして「食料主権」「種子の権利」などを定めた「農民の権利宣言」を採択しています。一連の流れは、飢餓や貧困の克服、環境保全といった人類の直面する課題を解決し、持続可能な世界を展望する上で家族農業の役割が欠かせないことが、世界の共通認識になっていることを示しています。

 安倍晋三政権は「家族農業の10年」に賛成しながら、現実に推進しているのは、それとは真逆の農業と家族経営の切り捨てです。最たるものが、TPP(環太平洋連携協定)など際限のない輸入自由化です。昨年末にTPP11を発効させたのに続き、2月には日欧EPA(経済連携協定)が発効します。米国とはTPP以上の自由化要求が必至の貿易交渉を始めようとしています。農業に計り知れない打撃をもたらすのは明白です。

 国内農政でも、「競争力強化」を口実に大規模化・企業参入を最優先し、農協や農地制度、種子法など戦後の農業や家族経営を守ってきた諸制度を壊してきました。

 日本の農業経営の98%は大小多様な家族経営であり、国民の食料供給の大半を担い、中山間地を含めて住民の暮らし、国土や環境を守ってきました。それがいま、歴代政権の農業つぶしによって急速な減少と高齢化が進み、深刻な危機にあります。「安倍農政」はそれに拍車をかけ、農村の崩壊を決定的にし、食料自給率がとめどなく低下するのも必至です。

 安倍首相のめざすのは「企業が一番活躍しやすい国」であり、国民への食料の安定供給や国土や環境の保全は二の次です。こんな無責任農政をこれ以上続けさせるわけにはいきません。

 日本農業新聞のアンケート調査(4日付)では、農協組合長の96%が安倍農政を「評価しない」と答えています。多くの国民も、農業と農村の荒廃に胸を痛め、「安全な食料は日本の大地から」を願っています。生産者と消費者が共同した地域農業を守る取り組みも各地で発展しています。農山村に移住する都会の若者が増える「田園回帰」の流れも広がっています。

安倍政権に退場の審判を

 「家族農業の10年」を、農業者・国民が力を合わせ、わが国の農業と農村を再生する10年にしようではありませんか。

 その重要な一歩は、統一地方選と参院選で安倍政権に退場の審判を下すことです。農業者をはじめ市民と野党が力を合わせ、農政を根本から転換していきましょう。


pageup