子どもの権利条約は、校則問題と深く関係しています。子どもの権利条約は、子ども(18歳未満)を、権利をもつ主体と位置づけ、プライバシーや名誉が守られるなど、おとなと同じ権利を認めています。さらに、休んだり遊んだりする権利など、成長中の子どもに必要な権利も定めています。
四割の中高生が「知らなかった」と答えたことは、子どもの権利条約の周知の仕方を抜本的に改める必要を示しています。権利も知らなければ、守ることができません。子どもの権利条約は、第42条で「締約国は、適当かつ積極的な方法でこの条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせることを約束する。」と明記しています。この「約束」をどう果たすのか、行政も子どもに関わる人々も、そして政党も真剣に考えなければいけないと思います。
子どもの権利条約は、憲法とともに、校則のことを話し合っていくベースになるものです。
同条約は、子どもに「表現の自由」「思想・良心・宗教の自由」「結社・集会の自由」「プライバシー・通信・名誉の保護」など、大人と同様の市民的自由を認め、さらに「休み、遊ぶ権利」や「意見表明権」などの子ども固有の権利を認めています。
意見表明権は「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」(第12条)というものです。
校則は、まさに「児童に影響を及ぼす」事項です。しかし、校則について子どもの意見が聞かれ、考慮されることがどれくらい行われているのでしょうか。「考慮される」というのは聞き置くことではなく、基本的にその意見を受けとめて実施し、実施できない事情がある場合は、子どもにその事情を丁寧に説明して理解をえる努力をすることだと考えられています。
そして、子どもの権利条約には校則に直接関係する次の規定があります。
「締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。」(第28条2)
これによれば、学校の規律は、子どもの人間の尊厳、子どもの権利条約に定められた子どもの諸権利に従わなければなりません。日本の校則がそうなっているのか、問う必要があるでしょう。その前に、その条文を知らなければなりませんが。
なお、回答の「その他」は知っている旨のものが多かったですが、「大人はそのような自分たちにとって都合の悪いことは教えようとしないから知らなかった」「質問ですが高校生でも休んだり遊んだりする権利はあるのでしょうか?」(当然あります)という記述もありました。