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シリーズ コロナ時代の災害避難(7)

救助法などの公的支援 迅速適用迫る対応必要


写真:台風15号で屋根や窓に被害を受けた家屋
台風15号で屋根や窓に被害を受けた家屋=2019年9月、千葉県南房総市

 政府は、新型コロナ感染が収束しない状況でも、災害時に危険な場所にいる人は「避難が原則」と強調しています。災害が過ぎ去った後は、家屋の復旧をはじめとする生活再建を急ぎ、感染リスクの高い避難所から少しでも早く自宅などに戻ることをめざしています。

 その際に必要になるのが、災害救助法や被災者生活再建支援法に基づく生活再建への支援です。

 災害救助法適用の判断は都道府県知事がおこないます。過去には、県などの行政が災害発生直後の被害の規模や実情を把握できず、迅速な救助・救援に支障が生じたこともありました。

 このため内閣府は、「人口に応じた一定数の住家の減失」という基準に加え、災害被害の発生前に適用するいわゆる「四号基準」を追加しました。内閣府令で、災害が発生していなくても「発生するおそれのある地域」で多数の人が避難して継続的な救助が必要とされる場合を対象にしています。

 しかし、最近の台風被害の際にも、甚大な被害が生じながら、救助法適用を行わなかった県がありました。救助法が適用されるかどうかで、被災者の救援に雲泥の差が生まれます。被災時に都道府県知事に対して適用を求めるだけでなく、平時から「四号基準」の意図などについて行政に注意を喚起し、迅速な適用を迫る取り組みが必要です。

対象が拡大

 昨年の台風被害は15号から19号まで激甚災害となり、救助法の適用は14都県390市区町村、東日本大震災を超えて過去最大の適用となりました。

 被災者が声をあげ、支援の拡充を求める世論が強まるなか、一連の風雨災害で被災した住宅について、災害救助法に基づく住宅の応急修理の制度が拡充されました。これまで対象外だった「一部損壊」住家のうち、半壊に準ずる程度の損傷を受けた場合も修理の対象となりました。

 被災者が市区町村窓口で助成を申し込み、市区町村は費用の限度額(一部損壊30万円、半壊以上59・5万円)の範囲内の実費を修理業者に支払う制度です。「半壊に準ずる」との規定をなくし補助範囲を広げることなど、さらなる課題はありますが、世論が修理の対象を広げたことは教訓的です。

独自の支援

 救助法適用市町村のうち、全壊10世帯以上の被害が発生した市町村など、一定の基準を満たした自治体は、被災者生活再建支援法(制度)が適用され、「支援金」が支給されます。

 日本共産党国会議員団を先頭に、世論と結んだ粘り強いたたかいで、現在、複数の家族が居住する全壊世帯の場合、基礎支援金100万円、住宅再建に係る建設・購入費補助200万円、合計300万円の支援金が上限支給されています。

 しかしこれでは住宅再建費用のごく一部に過ぎません。コロナ感染リスクを減らすため住宅再建を急いで避難期間を短縮する必要もあり、支援金の抜本増額が切実です。独自の「上乗せ」支給を行っている自治体もあり、独自支援を行政に迫ることも大切です。

都道府県独自の被災者生活再建支援制度一覧のアドレス
http://www.bousai.go.jp/taisaku/seikatsusaiken/pdf/dokujishien.pdf

「しんぶん赤旗」2020年06月30日


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