しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

シリーズ コロナ時代の災害避難(4)

「外」に置かれる在宅避難者 自治体は親身に支援を


 自宅や知人宅で避難生活をおこなうのが「在宅避難」です。東日本大震災をはじめ大規模災害のたびに、食料・生活必需物資や情報などさまざまな支援の「外」に在宅避難者は置かれてきました。その実情は、災害が激甚化している今も、基本的には改善していません。

政府が出した新型コロナウイルスのもとでの「避難所開設・運営訓練ガイドラインについて」より
政府が出した新型コロナウイルスのもとでの「避難所開設・運営訓練ガイドラインについて」(6月8日付)から。「車両避難者や在宅避難者への配布方法について検討する」との表現にとどまります

行政の責務

 災害時、行政からの物資や情報は避難所(特に指定避難所)に届けられます。〝避難所に来た食料などの物資は、避難所に滞在する避難者のもの〟との理解が一部にありますが、行政は在宅避難者にも物資を供給する責務を負っています。在宅避難者や車両避難者への物資の供給も避難所などが拠点です。

 東日本大震災直後の2011年3月25日、政府(厚生労働省)は「災害救助法の弾力的運用について(その3)」との通知を出し、法に基づく食品の給与については「避難所に収容された者に限らず、地域の物流やライフラインが確保されるまでは、住家に被害を受けて炊事のできない者も対象とされている」と強調しました。

 13年6月に改正された災害対策基本法には、避難所以外の場所に滞在する被災者への支援は、市町村長などの災害応急対策責任者が責任を負うとする条文(別項)も明記されました。

構造的問題

 法改正などが実施されても、災害のたびに「在宅避難者置き去り」が問題になるのは、行政の「目」が避難所対策中心で、全ての住民が視野に入っていない構造的な問題があると指摘する専門家もいます。

 また、その背景に、災害発生前から日常的に災害対策に携わる経験やノウハウを持った自治体職員、日常の訓練、物資の備蓄・供給ルート、住民の情報連絡網などが大きく不足し、これらの施策を支える財源不足が深刻だと指摘する関係者も少なくありません。

 新型コロナウイルス流行のもとで、「3密」回避をはじめ、避難のあり方が大きく見直されている今、在宅避難を選択した人を含むすべての住民、避難者に自治体が寄り添い、親身に支援していくことが求められます。

 地域から自治体に声をあげ、今から物資や情報の供給体制を確立しておくよう強く求めるときです。

 別項 災害応急対策責任者は、やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者に対しても、必要な生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供、情報の提供その他これらの者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならない(同法第86条の7)。

〝三つのチェック〟

 在宅避難を検討する場合、行政は、次の〝防災チェック〟を勧めています。

 【情報の点検】自宅や知人宅等の避難先が被災時に「安全」と言えるかどうか、あらかじめ防災情報等をチェック。ハザードマップを各自治体のホームページで確認し、可能なら行政職員ら防災の専門家からのアドバイスも受けておく。

 【必需物資の備蓄】防災チェックシートも活用し、水や非常食、非常トイレ等の生活必需物資を確保する。1週間分の備蓄が望ましい。

 【居室の工夫】地震に備えて家具類を入念に固定したり、浸水に備えて生活必需品を自宅の2階に移動したり、自治体等の避難マニュアルも参考にして日常から居室の工夫をおこなう。

「しんぶん赤旗」2020年06月23日


pageup