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「赤旗」創刊95周年(2023.2.1)に寄せて

 

山田 朗さん ・小泉なつみさん ・鈴木エイトさん ・亀永能布子さん ・纐纈 厚さん ・上脇博之さん ・斎藤美奈子さん ・岡野八代さん ・三原由起子さん

 

退かぬ反戦の底力、今こそ

明治大学教授(日本近現代史)
山田 朗(あきら)さん

写真・山田朗(あきら) 戦前、日本共産党と「赤旗」が果たした役割はすごく大きく、画期的だったと思います。なぜかというと、社会主義思想に立って共和主義・民主主義を掲げ、君主制と真っ向から対決して天皇制の廃止を主張したからです。

 日本共産党が誕生した第1次世界大戦後の時代は、総力戦が強調され、武力戦だけではなく、思想戦が重視されました。だから、共産党はじめ社会主義者は最初から茨の道を歩まざるをえませんでした。侵略戦争に反対する共産党は内なる敵と位置付けられ、「非国民」「国賊」といって弾圧されたわけです。

 当時の大手新聞が侵略戦争を支持・礼賛するなかで、それと一貫してたたかったのが「赤旗」でした。そして今も大軍拡に反対して平和を守る論陣を張っています。これほど一貫した新聞はないわけですから、95年の歴史を大いに誇っていいと思います。

 侵略戦争の反省から生まれた平和憲法に反して、岸田政権は敵基地攻撃能力の保有と大軍拡に乗り出し、米国が引き起こす戦争の矢面に日本が立たされる道を突き進んでいます。

 こういう時に一貫して反戦平和の旗を高く掲げて一歩も退かない「赤旗」は、かけがえのない存在です。「赤旗」の底力が試される時だと思います。

(2023年1月26日)


 

〝生活者の目線〟日々実感

「STOP!インボイス」呼びかけ人・ライター
小泉なつみさん

写真・小泉なつみ 消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入中止を求めて2年前から声をあげています。大手メディアがインボイスの問題をほとんど報じてくれないなか、「赤旗」は私たち市民のアクションをはじめ、継続的に取材してくれています。

 取材を受けるまで、「赤旗」は政治とカネの問題など「スクープを出す新聞」という認識でした。そんななか、私たちにいつも並走してくれる記者にも出会い、生活者の目線に立って報道をしてくれるメディアだと日々実感しています。主催した小さなイベントにも取材に来てくれて、「なんで知っているの!?」と驚いたことも一度や二度ではありません。「だって、ツイッターで告知されていましたから」と笑いながら言われました。

 草の根の活動にアンテナを張り、小さな声を届ける取材スタンスが筋肉となっていて、お作法的な取材で終わらない。だから、スクープも見つけられるのではないでしょうか。

 国会や地方議員の力も、そこにあると思います。とにかく当事者の話を聞きまくる。数を求める政治家が多いなかで、寄り添う姿勢をいつも感じています。

 インボイスの導入が10月に狙われています。中止を求めて、これからも一緒に頑張りましょう。

(2023年1月27日)


 

統一協会追及の同志

ジャーナリスト
鈴木エイトさん

写真・鈴木エイト 「しんぶん赤旗」は、安倍晋三元首相の銃撃事件より前から問題意識を持って統一協会(世界平和統一家庭連合)を一貫して追及してきました。記者が全国霊感商法対策弁護士連絡会の集会に必ず取材に来て報じていたし、国際勝共連合の創立50周年記念大会の取材でも私と一緒でした。非常に心強く信頼できるメディアだと思ってきました。統一協会の追及については、私と同志的な志を持っていると感じます。

 安倍元首相が2021年に協会関連団体の天宙平和連合(UPF)のイベントにメッセージを送りました。いくつかの週刊誌と月刊誌の記事を私が執筆しましたが、日刊紙で唯一報じたのは「赤旗」です。安倍氏がメッセージを送ったことの歴史的意味をとらえたメディアと評価できます。

 私は統一協会の問題以外で、日本共産党の活動をまるまる支持しているわけではありません。それでも国会で共産党が統一協会の問題を追及しないと報道が下火になります。昨年も「赤旗」は、これまで取材で蓄積したデータや強みを生かしてスクープを放ってきました。独自の取材と調査力で権力を監視するという報道の役割を果たす日本で数少ないメディアです。スクープをさらに打ち続けてほしい。私も頼りにしています。

(2023年1月28日)


 

ジェンダー視点を反映

女性差別撤廃条約実現アクション事務局長
亀永能布子(のぶこ)さん

写真・亀永能布子(のぶこ) 私は、女性差別撤廃条約選択議定書の批准を目的に立ち上げた66の女性団体のネットワークで活動しています。結成からまる4年になりますが、「しんぶん赤旗」は、選択議定書批准を求める私たちの取り組みをその都度丁寧に報道してくださり、いつもとても力づけられています。特に圧巻は今年1月4日付紙面での、国連女性差別撤廃委員会委員の秋月弘子さん、アクションの共同代表で早稲田大学名誉教授の浅倉むつ子さん、仁比聡平参議院議員の「女性差別撤廃条約 今年を選択議定書批准の年に」という鼎談でした。新年早々、何よりのお年玉を頂いた気分でした。ありがとうございます。

 昨今の紙面は、各地のフラワーデモを漏れなく取り上げたり、国際面でも海外のリアルな女性運動を掲載するなど、ジェンダー平等に関する記事が充実しているのがいいですね。紙面の校正にジェンダー視点を反映したチェックをしているというのも素晴らしいです。

 大政翼賛化した大手メディアが取り上げない大軍拡と原発推進政策に警鐘をならす記事も貴紙の大きな魅力です。平和と平等はセットで人権の基礎です。これからも権力を監視するメディアの役割を十二分に果たされますよう、期待しています。

(2023年1月29日)


 

軍事・右傾化立ち向かう

山口大学名誉教授
纐纈(こうけつ)さん

写真・纐纈(こうけつ)厚 戦前からあらゆる弾圧と抑圧をはね返し、一貫した主義と主張によって信頼と期待を獲得してきた稀有なメディアです。今日のように軍事化・右傾化が目立つなか、敢然としてこの動きに立ちむかう唯一無二の存在とも言える。その背景には、日本の平和と民主主義にあらゆる犠牲を惜しまなかった先人たちの熱い思いが息づいています。発行に携わる記者・編集者たちにも、間違いなく先人たちの歩みが生かされているものと確信します。

 これからの5年、「赤旗」創刊100周年を迎えるまでに、日本が一気に軍事大国化し、戦争をする国として米中の覇権争いに参入し、戦争の危機を迎えてしまうのか、それとも平和と民主主義の原点に立ち戻り、平和大国への道を取り戻すのかの、大きな岐路に差し掛かっています。この現実に対し、未来を切り開く道筋を客観的で正確な報道で示すことが「赤旗」の大きな役割であり、責任です。

 日本に危険な道を歩ませないためにも、これまでの輝かしい歴史をエネルギーに、一層の奮闘を期待します。「赤旗」の平和主義と民主主義の実現を目ざす姿勢や報道が不在であったならば、間違いなく今日以上の軍事化・右傾化が進んでいたことでしょう。その大きな歯止めの一翼を担ったのは「赤旗」と読者諸氏です。

(2023年1月30日)


 

「政治とカネ」鋭い視点

神戸学院大学教授・政治資金オンブズマン共同代表
上脇博之さん

写真・上脇博之  創刊95周年、おめでとうございます。政治とカネの疑惑に調査報道という形で切り込み、追及を続けてきたのが「しんぶん赤旗」です。ジャーナリズム精神を兼ね備えていると思います。

 安倍晋三政権(当時)による「政治の私物化」を指摘した「赤旗」日曜版の「桜を見る会」疑惑の連続スクープをはじめ、鋭い視点を持っています。

 最近では、松本剛明総務相の政治団体が会場の収容人数を超える政治資金パーティー券を販売していた疑惑も「赤旗」のスクープで明らかになりました。記者の視点の鋭さを感じた報道でした。

 国会の議席数に応じて税金を分配する政党助成金と企業・団体献金の二重取りにより、自民党の政治資金はバブル状態です。個人献金に頼らず、政党助成金と企業・団体献金だけで政治活動ができるようになり、選挙で勝ち残るために手段を選ばない政治家も目立つようになりました。そのもとで公職選挙法違反などの事件が相次いでいます。

 民意に基づく政治を実現するためには、政党助成金を廃止し、企業・団体献金を禁止することが必要です。庶民いじめの自民党政治を許さない立場で、岸田文雄政権の疑惑を厳しく追及する報道に期待しています。

(2023年1月31日)


 

迷える案件に指針示す

文芸評論家
斎藤美奈子さん

写真・斎藤美奈子 もっか活字メディアは、厳しい状況にあります。新聞も雑誌も、あと書籍も。最近も100年続いた週刊誌の休刊が決まりました。でも、だからこそ、「赤旗」の存在意義はますます上がっている。

 敵基地攻撃能力の保有、みんな懸念は示しますが、きちんと反対を表明している新聞がありますか。原発の新増設容認、呆れ果てて熱が出そうです。新型コロナウイルス感染症の5類への引き下げ、問題はないのでしょうか。うやむやにされつつある旧統一教会と自民党の癒着、追及は続くのでしょうか。

 日曜版が放った「桜を見る会」や日刊紙の「日本学術会議任命拒否問題」のスクープは胸のすく快挙でしたが、そうでなくても、「赤旗」の報道は、迷える案件に対して、ひとつの指針を与えてくれます。

 ネットメディアの発達で、小回りの利かない既成のメディアなんかもう要らない、という人もいますが、伝統のスキルを軽んじて損をするのは私たち。

 党の機関紙という役割を超えて、「赤旗」に期待したい理由は多々あります。権力を監視する報道の原則を貫いていること、全国の党員ネットワークを使える機動力、国会との連携プレイも大きな強み。創刊95周年を心からお祝い申し上げます。

(2023年2月1日)


 

忖度なし、社会の公器

同志社大学教授
岡野八代さん

写真・岡野八代 私が参加する研究グループは、日本軍「慰安婦」問題や女性運動をテーマにしたため、自民党の杉田水脈衆院議員から繰り返し「捏造」などの誹謗中傷を受けました。杉田氏を提訴し裁判で係争中です。この研究は日本学術振興会の科学研究費を受けており、この科研費に権力が介入しようとしているのです。

 世間に知らせなければならないという社会的使命をもってたたかっていますが、大手メディアでの扱いは小さい。一方「赤旗」は重視して報じてくれています。杉田氏が総務政務官を辞任した際も、氏の科研費への介入や「慰安婦」問題での発言を取り上げるメディアはほとんどなかった。私は政権への忖度があったと理解しています。

 日本学術会議の会員選考に介入しようとするなど、政府と自民党はあからさまに学術を攻撃しており、杉田氏の科研費バッシングもその流れの中にあります。学術会議の次は科研費の審査に介入し、政府に都合の悪いテーマや金もうけにならない研究を採択させないようにしてくるでしょう。

 「赤旗」は政党の機関紙でありながら一番〝中立〟ですね。政府から距離をとり、市民が知らなければならないことを知らせ、社会の公器としての役割を果たしている。本当に頑張ってほしい。希望の光です。

(2023年2月2日)


 

平和のよびかけ、共感

歌人
三原由起子さん

写真・三原由起子 短歌は、先の戦争で戦意高揚に使われたこともあって、「過ちは繰り返さない」という思いを持っている歌人は少なくないと感じています。

 一方で「短歌に政治を持ち込みたくない」という人もいます。ただ、今は、そうもいっていられないと思っています。

 タモリさんが、今年を「新しい戦前」と発言されたようですが、言霊のようで怖くなりました。岸田さんを見ていると、自爆の道を進んでいるように思います。先日も、防衛費の増額を手土産に米大統領と会談しました。日本は米国の一部と認めているようで、自国のプライドはないのだろうかと思いました。

 それだけに「戦争ではなく平和を」とよびかける「赤旗」の紙面には共感します。また、短歌欄を含む文化欄を愛読しています。

 私の実家は、東電福島第1原発事故の被災地の浪江町です。3代続いたお店は2020年に解体されました。故郷はなお、東京に電気を送るために真っ黒い太陽光パネルが広がっています。原発の再稼働、新増設までするというのは、信じられません。その思いは歌集『ふるさとは赤』(13年)、『土地に呼ばれる』(22年)で詠みました。

 原発のない日本、安心して暮らせる平和な日本へ「赤旗」の奮闘を願っています。

(2023年2月2日)


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