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「赤旗」創刊94周年(22.2.1)に寄せて

 

前川喜平さん ・竹信三恵子さん ・渋谷健司さん ・戸田清さん ・長谷川稔さん ・大西連さん ・酒井京子さん ・丸尾聡さん ・山田良治さん

 

「真実突き止める」に信頼

元文部科学事務次官
前川喜平さん

写真:元文部科学事務次官 前川喜平 中央省庁の官僚は「しんぶん赤旗」を非常に注意深く読んでいます。ちゃんと事実に基づいて報じられていますから。「赤旗」に新しい指摘が出ていると、役所の側も「これは調べなければまずいぞ」となるわけですね。気を付けておかないとすぐ翌日の国会で追及されますし(笑)。私は「赤旗」の事実に即した正確な報道というのを評価しています。

 いま新聞など大手メディアは「中立」を装っています。それは幻想です。実際、各新聞は社説で同じ事柄を取り上げても書く内容が全然違う。絶対的な「中立」なんて存在しないのです。

 中立性を意識するあまり、本当のことを言っている人と、うそをついている人を、同列に並べて報じるということが起きています。これはジャーナリズムではない。洋の東西を問わず平気でうそをつく政治家はたくさんいます。何が真実であるか突き止めるのがジャーナリズムです。その点で「赤旗」は真実を突き止めるということを一生懸命、地道にやっています。だからこそ信頼性があります。

 総選挙の野党共闘は画期的でした。絶対にやめてはいけない。憲法を守る政治か、憲法を壊す政治か、対立軸は明確です。共産党以外の野党に「赤旗」のような報道機関はありません。立憲野党による共闘のベースになるファクトをちゃんと集めておく役割は「赤旗」しかない。野党共闘を進めるうえでも非常に大事な役割を果たしています。

 (聞き手 三浦誠)

(2022年1月28日)


 

事実の積み重ねに説得力

ジャーナリスト・和光大学名誉教授
竹信三恵子さん

写真:ジャーナリスト・和光大学名誉教授 竹信三恵子 「赤旗」と聞くと、政党のイデオロギーを発表する媒体と思う人もいるかもしれません。ただ、ネット検索をしていて「データがしっかりした使える記事だな、と思うと『赤旗』だった」ということが、しばしばあります。

 安倍・菅政権下での「桜を見る会」や「学術会議問題」のスクープは有名になりましたが、経済関係でも視点の鋭さでは群を抜いています。

 岸田文雄首相の「新しい資本主義」をめぐる連載でも、「成長」や「賃上げ減税」のうたい文句の影にある大手企業優遇のリスクや、「男女の賃金格差解消」を名目に「シフト制労働の普及」などの人件費削減策が提唱されるなど、隠れた格差拡大策が相次いで指摘されています。

 これらを支えるのは、「一線の働き手や生活者のために適切な政策かどうかを検証する」という明確な目的意識と、国会議員による調査権限などの強みを生かした事実とデータの積み重ねによる説得力でしょう。

 とはいえ、「赤旗」の報道が異彩を放つのは、事実を捏造(ねつぞう)する政治を、人々があきらめの中で受け入れ始め、マスメディアもそれに追随するかのような状況が広がっているからです。そんな「赤旗の活躍」を喜ぶべきなのか。複雑な思いも抱きつつ拍手を送っています。

(寄稿)

(2022年1月29日)


 

コロナ報道 非常に科学的

福島県相馬市の新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長
渋谷健司さん

写真:福島県相馬市の新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長 渋谷健司 この間のコロナ報道で、「赤旗」は非常に科学的で、最先端の内容を的確に伝えてきたと思います。

 記者クラブ制度の弊害もあると思われますが、政府分科会や厚労省の専門家の言ったことを垂れ流しにするメディアが多い中で、「赤旗」は、自分たちで反対意見も含めてさまざまな意見を精査して、原典にも当たり取材していく。外国のメディアでは当たり前だと思いますが、日本では残念ながらそういうところが少ない。その点でも「赤旗」は貴重だし、署名記事として責任を明確にしている。国民の命の安全がかかる問題です。

 初期のPCR検査の抑制論は特にひどかった。"PCRの感度も特異度も低く、検査の拡大は害悪だ""検査で医療崩壊"とやったわけです。あれこそ「官製インフォデミック」=間違ったインフォメーション(情報)が爆発的に広がったものです。厚労省とその周りの専門家やメディアがこぞって反対キャンペーンをやって、医療者や専門家と言われる人たちまでが、PCR検査がゴールドスタンダードであることを知らないで国際的には全く通用しない非科学的なことをそのまま言い続けた。私たちもずいぶんたたかれ、感染対策に大きな混乱をもたらしました。検査試薬枯渇など、今も大きな影響を及ぼしています。

 その中で、私たちの発言に注目を寄せ、PCR検査の本来の意義を踏まえ、無症状感染者の発見・保護という感染制御の根本を徹底的に論じたことは「赤旗」の重要な役割だったと思います。

(2022年1月30日)


 

研究に役立ち 授業で活用

長崎大学環境科学部教授
戸田清さん

写真:長崎大学環境科学部教授 戸田清 私は40年ほど前から朝日新聞を、十数年前から「赤旗」を購読しており、毎朝NHKのニュースを見る。そのなかで研究・教育の役に立つのはやはり「赤旗」だ。

 1月18日付の紙面を見てみよう。1面記事「富裕層の上位10人 コロナ下資産倍加 国際NGOが報告書 課税すれば全世界分ワクチン確保」を見て早速インターネットを検索し、オックスファムのプレスリリースと、報告書『不平等が人を殺す(INEQUALITY KILLS)』のPDFファイルを入手した。「赤旗」記事のPDF化とあわせて、経済学部の授業資料として活用した。

 学問文化欄には、私が尊敬する歴史学者のひとりである中塚明さんの「改ざんされた『明治の戦争』」がある。これは75%の縮小コピーをとってPDF化し、知人友人に紹介したり、授業資料として活用したりした。

 岸田政権でも公文書の改ざん・不正が話題になっているいま、タイムリーな記事でもあると思う。2面の主張などにみられる岸田首相の施政方針演説の問題点の解説も大変わかりやすい。

 石炭火力、原発、気候正義、アスベスト、野生生物の減少、有機フッ素汚染、新型コロナなど、学術論文の紹介も含め、公害環境労災問題などの記事も環境社会学などの授業資料としてよく活用している。

(寄稿)

(2022年1月31日)


 

共闘発展の橋渡しの役割

元鳥取県倉吉市長・市民連合とっとり共同代表
長谷川稔さん

写真:元鳥取県倉吉市長・市民連合とっとり共同代表 長谷川稔 「市民と野党の共闘」を発展させるうえで、その橋渡しとして「赤旗」の役割に期待しています。

 今、注視しているのは大阪府と読売新聞大阪本社との包括連携協定です。全国紙で真正面から取り上げているのは「赤旗」だけです。

 私も市長時代、都市部での福祉施設の開設に伴い、雇用確保に向けた情報と倉吉市と交流都市と事業者との3者で相互協力協定を締結した経験がありますが、今回は協定先が特定の新聞社で、持ちつ持たれつの関係となるのは避けられません。

 ましてや大阪万博を控え、予算執行に厳しい目を注がなければならない時です。あまつさえ、府や市のトップが維新の会代表格で、来春の大阪市長選挙で維新は予備選を行い、マスコミの世論調査で候補者を決定するとしており、読売新聞が一役買うことは目に見えています。そうなれば、フェアな市長選挙にはほど遠いものとなります。何としても撤回させなければなりません。

 最後に提案があります。日本共産党は、政党助成金を受け取らない理由を、支持しない政党に血税が山分けされるのは憲法違反だと言っています。

 私は、政党を助成する法律があっても、共産党が権力からの財政支援を受けず、党費、個人カンパという浄財、「赤旗」の購読料などで自前の財政をつくり、広く国民、住民に依拠して活動していることを評価しています。それでこそ、権力から独立して国民のために働ける。それこそが、政党本来の成り立ちだと国民が知れば、共鳴を呼ぶのではないでしょうか。

 (聞き手 鳥取県・岩見幸徳)

(2022年2月1日)


 

貧困の現場を知る経路に

自立生活サポートセンター・もやい理事長
大西連さん

写真:自立生活サポートセンター・もやい理事長 大西連 困窮者の支援に10年間携わってきました。食料配布や生活相談を通して、社会・経済の矛盾を日々痛感しています。

 1年前、全閣僚がそろう国会の予算委員会に参考人としてよばれ現状を訴えました。こんなことは初めてです。貧困問題が政治の場でようやく大きなテーマとなってきました。

 実態が深刻化していることが背景にあるのは間違いないでしょう。でもそれだけじゃない。「赤旗」を含めメディアが粘り強く発信し続けてきたからこそ生まれた変化です。

 コロナ禍は日本社会の構造的な課題を浮き彫りにしています。働いているのに貧しい。失業していないのに収入が減ってしまう。明日の仕事さえあるか分からない。そんな人が僕たちの周りにたくさんいることに、改めて気付かされました。

 世の中を変えることは簡単なことではありません。それでも、僕たちは発信し続けなければならないのです。

 一人でも多くの人に貧困の現場を知ってもらい、この社会を一緒に変えようという仲間を広げていきたいと思っています。

 そのために「赤旗」には読者と現場をつなぐチャンネルになってほしい。

 期待しています。

(2022年2月1日)


 

真実求める人たちへ届け

童心社会長 紙芝居文化の会代表
酒井京子さん

写真:童心社会長 紙芝居文化の会代表 酒井京子 今から約20年前、二十数名の運営委員によって「紙芝居文化の会」は誕生した。会は大きく成長し、国内外の会員数は、現在850名にのぼる。この間、「しんぶん赤旗」も運営委員や会員の声、海外の様子などを報道してくれた。

 こんな大きな会になるとは、思ってもいなかった私が一番驚いたこと。それは、平和のため、子どもたちのために何かをしたいと心から願っている人(主には女性だが)が会員の中にたくさんいたことだった。

 彼女たちは、現在の日本の状況を心配し、子どもたちに平和な社会を手渡したい、また自己実現のひとつとして、優れた紙芝居作品を演じたいと思っていたのだった。

 日本の為政者は、国民を「考えない人間」にしようと、長年画策してきた。そして、現在のマスコミは、真実を伝えることを十分にやっているとは言えない。しかし、本当のこと、現実の底に潜むものが何なのかを、知りたい・考えたいと思う人がたくさんいることに、私は勇気をもらった。

 こんな人たちに「しんぶん赤旗」が、もっと近しい存在として、届いてほしいと願っている。

 (寄稿)

(2022年2月1日)


 

文化重視の報道を今後も

劇作家・俳優
丸尾聡さん

写真:劇作家・俳優 丸尾聡 「赤旗」は文化芸術の面でも、多く紙面を割いてくれているという印象です。特に、ほかのマスコミが報じないような作品やニュースが多い。弱者視点、声が届かないところにも入っていくところは、今後もぜひ期待したい。

 文化芸術を大切にする気持ちも、その報道姿勢から伝わってきます。私は演劇緊急支援プロジェクトの事務局としてこれまで活動に携わってきました。文化庁のコロナ支援策(AFF)の助成金支払いが遅れている件では、「赤旗」で大きく取り上げられました。

 私が関わった昨年7月の公演では、10月に実績報告をし、12月に修正依頼が来たのですぐに修正を出して以降、いまだに文化庁からは音沙汰がありません。ほかの団体でも支払いがされていないところは多いし、減額された例も少なくありません。より実態にかみあった、文化芸術関係者の本当の助けになる制度になるよう、「赤旗」にはますます力を貸してほしい。

 幅広い文化を大切にしている「赤旗」だからこそ「文化芸術はなぜ必要なのか」「本当に不要不急なのか」といった論点が紙上で議論される場としても、力を発揮してほしいと思っています。

(2022年2月1日)


 

生活楽しめる社会へ いざ

大阪観光大学学長
山田良治さん

写真:大阪観光大学学長 山田良治 いまや観光は市民生活にとって欠かすことのできない要素であるとともに、観光関連産業はサービス業の中核として多くの働く人々の暮らしを支えています。しかし、格差拡大を背景とする世界的な暴力紛争のまん延が、「平和へのパスポート」(1967年の国際連合の決議)としての観光を脅かしています。また、これに加えてのコロナ禍の恐るべき広がりは、観光にさらなる打撃を与えています。観光を誰にとっても手の届くものとし、生活の安定と充実を実現するためには、矛盾に満ちたこうした現実を変革することが求められています。

 そのためにはまず、いま世界と日本で何が起こっているのかをつぶさに直視し、批判的に分析することが必要です。この点でマスコミが果たす役割は極めて重大ですが、批判的であることを貫徹することはそう簡単ではありません。マスコミもまた、現実の矛盾に満ちた社会を生き抜かざるを得ない社会的存在だからです。

 こうした中で貴紙は、1世紀近くにわたって反戦平和の立場と権力や利権に迎合しない姿勢を貫いてきた希少な新聞だと思います。誰もが生活を楽しめる社会をつくりだすために、さらなるご奮闘を祈念いたします。

(2022年2月1日)


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