2024年11月25日(月)
主張
女性への暴力撤廃
国際的到達に立ち声上げよう
きょう25日は国連の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」です。12月10日の世界人権デーまでの16日間、「今すぐ女性に対する暴力を終わらせよう」と世界各地でキャンペーンが行われます。日本政府も今月12~25日を「女性に対する暴力をなくす運動」期間とし、相談窓口を知らせる呼びかけなどを強めています。
■差別撤廃委の勧告
8年ぶりの、国連の女性差別撤廃委員会の日本審査では、「女性に対するジェンダーに基づく暴力」に関して、刑法やDV防止法改正の努力が評価されました。刑法改正では不同意性交が罪となり、改正DV防止法(今年4月から施行)では、接近禁止命令の対象に精神的暴力が加わりました。一方で、依然として配偶者によるレイプ(同意のない性交)が犯罪として明確化されていないことについて改善が勧告されました。
勧告では、DV被害者への支援の充実も求められています。シェルター(避難・保護施設)の資金不足と人員不足、接近禁止命令期間が1年間に延長されても期限が切れると元の場所に戻り暴力にさらされる危険があることなどが指摘されました。
離婚手続きでは、子どもの監護権や面会を決定する際に、裁判官などがジェンダーに基づく暴力を認識できるように能力開発を強化・拡大するよう求められています。
障害者、移住者、地方在住者、性的マイノリティーなどの人々にとって、支援サービスの存在を知り、利用するのが困難であることも指摘されました。特に移民女性は在留資格を取り消されることを恐れて、ジェンダーに基づく暴力を報告するのが困難な実態があると指摘されました。
今回新たに、沖縄の米軍関係者が女性に行っている暴力についても盛り込まれ、事件の適正な捜査、起訴、加害者の処罰と被害者への十分な補償の提供が勧告されました。
日本政府は、この勧告を受け止め真剣に取り組むべきです。
■社会の構造変える
レイプやDV、セクシュアルハラスメントなどの性暴力は、単なる個人間のトラブルという問題ではなく、ジェンダー不平等の社会の構造に根があります。だからこそ、政治が女性に対する暴力の根絶を国の政策目標として明確に掲げ、真剣に取り組む必要があります。
内閣府のホームページも、暴力の背景には、夫婦間の暴力は仕方がないといった社会通念、男女の経済的格差など、「個人の問題として片付けられないような構造的問題も大きく関係しています」とのべ、「配偶者からの暴力は絶対にあってはならないことなのです」と明記しています。
性暴力の根絶を求めるフラワーデモが全国で行われ、社会を動かしてきました。刑法やDV防止法の改正も多くの被害当事者、支援者が声を上げてきたことが実ったものです。
芸能界での性暴力が次々と明らかになり、性暴力を許さないという声が大きく広がっています。
被害者を救済し、社会から性暴力をなくす一歩を踏み出しましょう。社会から、女性への暴力をなくすために立ち上がりましょう。