2024年10月22日(火)
きょうの潮流
NHKで放送中の連続ドラマ「宙(そら)わたる教室」は東京にある定時制高校が舞台。「不良」から足を洗おうとする生徒、フィリピン人の母と日本人の父を持つ生徒、起立性調節障害を抱える生徒、高校に通えず働くしかなかった高齢者など、それぞれの事情を織り込みながら物語が展開します▼映画やドキュメンタリーで表現されてきた題材なので既視感があるかもしれませんが、学ぶ機会は大切? 学ぶことの意味って? とドラマでも問いかけが続きそう▼“謎めいた理科教師”が赴任し、生徒は彼の導きで教室に「火星のクレーター」を再現する実験で学会発表を目指すことになりますが…。年齢も背景もバラバラな生徒たちで順調にはいかないようです▼定時制高校について20年5月、文科省ワーキンググループの議論は「従来からの勤労青年のための教育機関としての役割だけでなく多様な学習ニーズへの受け皿」を強調。不登校・中途退学経験者への学び直しの機会提供など「困難を抱える生徒の自立支援」への対応を求めました▼東京では都立高校夜間定時制7校の募集停止・廃止案が動きだしています。「困難を抱える生徒を支援する」チャレンジスクールを整備すると都教育委員会。「定時制を廃止する理由にならない」「多様な生徒の学ぶ権利を保障する場を奪うな」と卒業生や学校関係者らは存続へ声を上げています▼定時制高校はいかにあるべきか。「教育は権利」と感じさせるものとなるか、ドラマの行く末にも注目したい。