2024年10月20日(日)
きょうの潮流
初めての貴重な体験でした。車いすバスケットボールです。競技用の車いすに乗って、ボールを追い、投げる―。今までにない目線からのプレーに夢中になりました。東京・足立区の体験会でのことです▼ちょうどパリ・パラ五輪のころ。車いすテニス選手の小田凱人(ときと)さんがSNSで「試合はあるけどテレビ放送はないらしいです~これが現実」とコメント。体験会で指導に当たった選手も「テレビではほぼ中継されていませんが、ぜひパラ競技に注目を」と▼障害者の社会参加は多岐にわたり、広がっています。都内の障害者専門芸能事務所はダウン症など、その特性をもつ俳優が演じる“当事者キャスティング”の普及をめざします。多種多様な障害、性別にとらわれないインクルーシブモデルが所属する事務所も。どちらも、福祉ではなくビジネスとして事業の成功をねらっています▼もちろん新たな試みが直面する課題も多い。費用や時間だけでなく、“できるわけがない”という思い込みや“障害者を金もうけに使うな”という偏見なども▼埼玉県所沢市に、網膜色素変性症で視野の95%が失われたスケートボーダー、大内龍成さんがいます。白杖(はくじょう)を持ちながら滑り、それをSNSに投稿。ブラインドスケートボードのパラ競技化をめざします▼「もっとみんなに自分たちを知ってほしい。だから、発信していきたい」と大内さん。社会のもつ偏見をはがし、豊かな文化を醸成していくためにも、当事者たちの活動を伝え続ける必要があります。