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2024年10月18日(金)

問われる財源構想

具体的に示すのは共産党だけ

 各政党の総選挙政策では、減税や子育て支援、教育無償化など、国民の期待に沿った内容が列挙されています。しかし、その財源をどうやって確保するのか、日本共産党以外、どの政党も示していません。

 この点については「物価高対策に前のめりな一方、その裏付けとなる財源確保の議論は低調だ」(「毎日」16日)、「負担減をアピールするが、財源への言及は乏しい」(「朝日」16日)などと、マスコミも批判しています。

日本共産党の財源提案は明確

 ただ、大手マスコミが言わないのは、日本共産党だけは明確な財源提案を打ち出しているということです。日本共産党の総選挙政策には、表のように、消費税の5%への減税をはじめ、賃上げや社会保障、子育て・教育などの継続的に行う施策に23兆円、最低賃金引き上げのための中小企業支援や奨学金返済負担の半減、当面の物価高騰対策などの時限的な施策に18兆円が必要だという金額が示されています。

 そして、大企業や富裕層に応分の負担を求める税制改革や、大軍拡の中止をはじめとする歳出改革など、財源確保の提案についても示しています。

 こうした財源提案への賛否自体は人によってさまざまかもしれませんが、批判を恐れずに、自分たちの政策の金額的な規模と財源案を有権者に示さない限り、政策的な議論は深まりません。財源構想を国民に示すのは、政党としての当然の責務です。

 ところが、日本共産党以外の各党は、自分たちの目玉政策を並べるだけで、その政策にどれだけの金額を要するのか、それをどうやって確保するのかについては、ほとんど明らかにしていません。なぜ、こんなことになるのでしょうか。

大軍拡推進では財源を語れない

 自民党が財源を語れない根底には「5年間で43兆円」という大軍拡計画があります。

 岸田前政権では、復興特別所得税の流用をはじめとした軍拡増税の方針を決めましたが、国民の批判が集中し、実施時期も決められないままになっています。先の自民党総裁選挙でも、増税方針を決めた当時の党幹事長だった茂木敏充氏から増税反対論が出るなど、自民党内でも意見が割れたままです。

 また、通常国会での子育て支援策をめぐる議論の中で、軍拡が他の予算を圧迫するために、子育て支援の財源確保が困難になっていることも、明らかになっています。

 自民党が財源論を語ろうとすれば、軍拡増税や軍拡が他の予算を圧迫することについても、触れざるを得なくなります。それを隠しておきたいから、財源については語れないのです。

 自民党の「政権公約」パンフレットには、軍拡を進めることは書いてありますが、この増税については一言も書いてありません。「選挙が終わったら増税」などというのは、卑劣な増税隠しです。

 自民党は、「共産党の財源論は無責任」などと悪口を言いますが、政権党でありながら財源を語れない自民党こそ、無責任の極みです。

 公明党の重点政策のパンフレットには、一般的な「国際社会の平和と安定」という言葉はありますが、いまの大軍拡計画への言及はありません。与党として軍拡を推進しておきながら、国民にはそれを堂々と語れないのです。当然、軍拡増税にもふれられないため、公明党も財源論を語ることはできません。

借金頼みの無責任な議論も

 軍拡賛成で財源論を語れなくなるのは、維新の会や国民民主党なども同じです。これらの党は、消費税や所得税の減税(維新は法人税も)や、教育の無償化などを掲げ、その規模は20兆円以上になると思われますが、まとまった財源論は何もなく、せいぜい「議員定数の削減」(維新)や「教育国債の発行」(国民民主)くらいです。国会の予算は衆参合わせても1061億円ですから、これを削減しても全く足らないことは明らかですし、「教育」と看板をつけようと国債は借金に違いはなく、教育を受ける若い世代にツケを回すだけです。

 軍拡などではなく、消費税の減税とか教育の無償化とか、それ自体では国民の利益になる政策であっても、安易に国債発行などの借金に頼ったのでは、利払い費の増加で暮らしの予算が圧迫されたり、インフレが起きたりするなどの経済・財政の危機が深まり、政策の持続性が保証されません。

 「インフレが起きたら、その時は財政支出を減らせばいい」などという議論もありますが、ただでさえ物価が上がって家計が苦しいときに、消費税を増税したり、無償化された教育を有償に戻したりするとでもいうのでしょうか。

 日本共産党の財源提案は、(1)継続的な施策のためには、大企業や富裕層に応分の負担を求める税制改革や大軍拡の中止などで、持続的な財源を確保する(2)コロナ対策や物価高騰対策などの時限的な経費については、臨時の財源確保策で対応しつつも、必要に応じて国債も含めて機動的に対処する―というものです。

 いったいどの政党が、選挙の票目当てだけでない、責任ある政策を示しているのかは、その財源構想を比べることでよくわかります。うわべだけの言葉に惑わされず、政策の中身をよく見ていくことが必要です。

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