2024年10月12日(土)
主張
石破政権の経済政策
暮らし優先への転換が必要だ
石破茂政権は、経済政策で岸田文雄政権の継承を表明しています。物価高騰に無策だった政治を引き継ぐということです。国民は、物価高騰に賃金の引き上げと年金が追い付かず、厚労省が行った国民生活基礎調査で生活が「苦しい」と答えた世帯は前年から8ポイント増え、6割にのぼりました。
ところが政府の物価対策は、一時的な定額減税や給付金など細切れの対策ばかりです。国民だれもが対象となり最も効果がある消費税の減税は一貫して拒否しています。
■空前の格差拡大
日本社会は、大企業と大資産家に空前の富が蓄積する一方、国民には貧困がまん延しています。
大企業が利益を蓄えた内部留保は、安倍政権の経済政策であるアベノミクスがスタートした2012年度と比べ、23年度には205・8兆円増えて539・3兆円となりました。同期間に株主への配当金は2・4倍、1人当たりの役員報酬は1711万円から2230万円に30%増加しています。
片や、労働者の実質賃金は、12年の年収404・6万円から23年には371・0万円に33万6千円も低下しています。
こんな事態を招いたのは、労働法制の規制緩和により働く人を非正規ワーカーに置き換え使い捨て労働をまん延させたこと、大企業・大金持ち減税を進め、その穴埋めに消費税を増税したからです。格差拡大は、自民党政治による「人災」です。
アベノミクスは日本銀行に「異次元の金融緩和」を押し付けました。超低金利政策で市場にお金が供給され、あり余った資金と公的資金の投入で株価ばかりがつりあげられるとともに、円安への誘導で輸出大企業が過去最高の大もうけを続けています。一方、輸入物価の上昇で国民生活がさらなる苦境に立たされ、消費低迷で日本を成長しない国にしてしまいました。
不景気からの脱却は、金融的手法ではできず、国民のふところをはじめ実体経済をあたためるしかありません。
■経済再生プラン
日本共産党はこうした大企業・大金持ち優遇を切り替え、暮らし優先で経済を立て直す包括的政策として「経済再生プラン」を提案しています。
第1に賃上げと一体に労働時間の短縮を実現する人間を大切にした働き方改革です。「自由時間拡大推進法」で、法定労働時間を1日7時間、週35時間にすることを提起しています。最低賃金を全国一律時給1500円に引き上げるため、中小企業への直接支援を内部留保への時限的な課税で行います。石破首相は、最賃を引き上げると言いつつ、党首討論で中小企業への直接支援を拒否しました。しかし、直接支援抜きに実現は困難です。
第2に消費税減税、インボイス中止、物価高にふさわしい年金、学費の無償化めざし半減などを大軍拡ストップ、大企業富裕層への応分の負担など格差をただす税・財政改革で実現します。第3に気候危機打開、エネルギーと食料自給率向上など持続可能な経済社会にします。
この方向こそ、日本経済再生の道です。