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2024年9月15日(日)

マイナ保険証

「利用少ないと違反」

医療機関脅す 伊藤議員が追及

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(写真)伊藤岳議員

 健康保険証の新規発行停止(12月2日)まで3カ月を切りました。厚生労働省は、マイナンバーカードに保険証の利用を登録した「マイナ保険証」の利用実績が低い医療機関を「療養担当規則違反となるおそれがある」などと脅し、医療機関に利用促進をゴリ押ししようとしています。日本共産党の伊藤岳参院議員は、同規則違反となる事例を示すよう厚労省に要求。しかし同省の担当者は「事例をつまびらかに列挙することは困難である」などと無責任な回答を示しています。

 厚労省は8月30日の社会保障審議会医療保険部会で、マイナ保険証の利用実績が著しく低い医療機関について「患者が『マイナ保険証』を使う機会を奪っているものも考えられ、その場合には療養担当規則違反となるおそれがある」と強調。これらの医療機関に対して「地方厚生局(厚労省の地方支分部局)が個別に事情を確認する等の働きかけを実施」するとしました。また、働きかけの対象となることについて、メール等で個別に医療機関に事前に周知するとしました。

 療養担当規則は、保険医療を担う医療機関が守るべき定めを全24条で定めたもので、違反すれば保険医療機関の指定や保険医の登録が取り消されることもあります。同規則第3条には、患者が「マイナ保険証」による資格確認を求めた場合には、それに応じなければならないと規定され、必要な体制(オンライン資格確認のカードリーダー設置など)を整備する必要があります。

トラブル絶えないのに

伊藤議員「方針は大問題」

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(写真)マイナンバーカードの読み取り機と、保険証持参を呼びかけるポスター=11日、東京都渋谷区

 伊藤氏は3日、厚労省の担当者に事情説明を求め、「『マイナ保険証』を使う機会を奪っているとはどのような事例か。奪っている事例を把握してこう書いているのではないか」と質問。同省は「利用実績が著しく低い医療機関がそのまま規則違反との趣旨で書いたものではない」などと、あいまいな答弁を繰り返しました。

 同省は翌4日に「事例をつまびらかに列挙することは困難」などと文書で回答。「実際に違反状態であるかどうかについては、個別具体事例の事実関係を確認したうえで判断される」とし、明確な事例を示しませんでした。

 こうした同省の姿勢の背景には、河野太郎デジタル相の発言があります。河野氏は、デジタル庁の会見や自民党所属議員向けの文書で「マイナ保険証」が利用できない医療機関を国の「マイナンバー総合フリーダイヤル」に“通報”するよう呼びかけ。実際にこうした医療機関を知らせる苦情があったといいます。

 伊藤氏は「マイナ保険証の使用は当面遠慮してください」と張り紙を掲げている医療機関があるが、それは小規模な診療所のため「マイナ保険証」での資格確認でエラーが多発しても対応するスタッフが足りず、肝心の診察が進まなくなるという事情があると指摘しました。

 実際、全国の医療機関では、いまも「マイナ保険証」のオンライン資格確認でのトラブルが多発しています。

 千葉県保険医協会は5日に県庁で会見を開き、県内の医療機関を対象としたアンケート調査の結果を発表。646医療機関中68%の医療機関で「マイナ保険証」にかかわるトラブルがあり、55%の医療機関でその日に持ち合わせていた保険証でトラブルを回避したと明らかにしました。

 12月2日の保険証廃止については81・5%が「保険証を残すべき」、11・9%が「延期すべき」と回答。両者を合計すると93・5%に達しています。「マイナ保険証」では安心・安全な医療を提供できないというのが、医療現場の切実な声です。

 伊藤氏は「オンライン資格確認のトラブルなど、さまざまな理由で『マイナ保険証』を使えない医療機関がある。医師にとって同規則違反は相当重い脅し文句で、厚労省の方針は大問題だ」と今後も追及する構えです。(森糸信)


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