2024年8月13日(火)
JR各社、運賃引き上げ
黒字なのに通勤定期で3割増も
一方でサービス低下・地方路線廃止
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JR各社が運賃を引き上げています。JR九州は7月19日、値上げを国土交通省に申請。JR西日本の値上げ申請について国交省は9日、認可しました。JR北海道も申請し、JR東日本は秋に行う予定です。JR四国はすでに値上げを実施しています。最大で普通運賃12~15%、定期運賃で約30~50%(四国、九州)もの大幅な値上げ等になることから、物価高騰に苦しむ利用者、通勤定期代を支払う事業所にとって大きな打撃です。
JR各社はこれまで、消費税増税時に値上げしてきましたが、純粋な運賃増は西日本では分割民営化(1987年)後初、九州は29年ぶり、四国は27年ぶりに昨年5月から値上げしており、全体で12・5%引き上げ、通勤定期は28・1%、通学定期は22・4%にも上ります。
特定運賃(大都市圏での割引)の廃止にともない、通勤定期で70%以上の値上げになった区間が生じ、割引の激変緩和策がとられた後も47%というすさまじい値上げ率となっています。
JR九州は、実施された場合、普通運賃は平均で14・6%、通勤定期は30%もの値上げです。来年4月からの値上げ実施を想定しているJR西日本は、都市部の割安運賃設定を見直し、大阪環状線など都市部特定区間の運賃が10~30円上がります。それ以外の区間では値下げも実施されます。同社は23年4月に、特定区間の値上げを行っています。
JR北海道は値上げ申請中で、9月に札幌市内で公聴会が開かれます。普通運賃は平均6・6%、定期運賃は18・9%の引き上げです。JR東海は4月から、ホームドア設置などバリアフリー化推進のための運賃値上げを名古屋都市圏で実施しています。
JR東日本は秋に申請する予定。喜勢陽一社長は「2025年度中にも実施したい」(6月の会見)と話します。同社も23年4月に、都市部特定区間の通常定期、バリアフリー整備の値上げを行っています。
一連の運賃値上げについて、各社は▽人口減や高速道路網の発達、新型コロナ禍以後のリモートワークなど生活様式の変化にともなう利用者減▽物価高騰による維持管理・設備投資の費用増―を理由にしています。
JR各社は、新型コロナ感染拡大の影響で経営が悪化しましたがその後回復。23年度の収支は北海道を除き、赤字の懸念された九州、四国もふくめすべてが黒字です。しかし、インバウンド需要が拡大するなかでも、駅の無人化など人員削減、みどりの窓口閉鎖から券売機への移行―などサービスを低下させ続け、採算性を理由に地方路線の廃止を進めています。
北海道 | 申請 | 普通平均6.6%、定期平均18.9% |
東日本 | 申請予定 | |
東海 | 実施 | バリアフリーで名古屋都市圏普通運賃10円、定期も値上げ |
西日本 | 認可 | 大阪環状線内10~30円、電車特定区間10~20円 |
四国 | 実施 | 普通平均12.5%、通勤定期28.1%、通学定期22.4% |
九州 | 申請 | 普通平均14.6%、通勤定期30.3%、通学定期16.0% |