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2024年8月7日(水)

扶養照会 抜本改善を

生活保護申請者の尊厳奪う

4団体が国に

 生活保護の申請を希望する人の親族に金銭援助(仕送り)や同居ができるかどうかを自治体がたずねる扶養照会を群馬県桐生市や奈良県生駒市が、違法・不適切に悪用して保護の申請を却下するなどの事件が相次いでいます。生活保護問題対策全国会議、桐生市生活保護違法事件全国調査団、奈良県の生活保護行政をよくする会、一般社団法人つくろい東京ファンドの4団体は6日、扶養に関する違法な運用の抜本改善を求める要望書を厚生労働省に提出しました。

 家族内の人間関係などから扶養照会を望まない人は多く、扶養照会が保護申請をためらわせる最大の要因となっています。

 桐生市は行方不明の親族名義の扶養届で仕送りを認定(カラ認定)し、申請を却下。生駒市は実現不可能な元利用者と母親との同居が「可能」だとして保護利用を1年以上拒みました。元利用者は長期間、ガス・電気が止められ飢餓の危機にありました。

 こうした実態を踏まえて要望書は、▽保護実施機関による扶養の強要を厳に慎む通知の発出▽違法・不適切な扶養の強要が行われていないか監査時の重点的な確認―などを求めました。

 この日、厚労省内で行われた会見で、日本共産党の関口直久桐生市議は「扶養照会は申請者本人の精神的な重荷だ」と指摘。よくする会の赤山泰子事務局員は不適切な扶養照会未発覚の事例が多い中、「誰にも知られず行政が生活保護申請者の尊厳を奪っている」と訴えました。

 全国会議の小久保哲郎事務局長(弁護士)は、事件は生活保護を利用する権利のある「要保護者」の生存権を脅かすものだとして、保護の要件ではない扶養を要件であるかのように取り扱っている国が「事件を誘発している」と強調しました。


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