2024年8月5日(月)
経団連役員企業 女性の賃金 男性の6割台
23年分平均
公表義務企業全体より格差大きく
女性活躍推進法にもとづく男女賃金格差の公表(301人以上規模の企業に義務付け)で、経団連の会長・副会長企業、名誉会長や会長を歴任した企業の2023年・23年度のデータが出そろい、本紙が集計しました(表)。正規雇用・非正規雇用をあわせた全労働者でも、正規雇用でも、男性を100とした場合、女性の賃金が約3~8割台、役員企業平均で6割台と、依然、深刻な格差がありました。
男女賃金格差は、全労働者での比較とあわせて、このうちの正規雇用労働者同士(直接雇用し、期間の定めがないフルタイム労働者。短時間正社員を含む)、非正規雇用労働者同士(パート・有期雇用労働法の短時間労働者と有期雇用労働者。派遣労働者は除く)の間にある格差が公表されています。
経団連役員企業の平均は、全労働者で66・6%、正規雇用で69・5%、非正規雇用で64・2%でした。昨年9月時点で、本紙が「女性の活躍推進企業データベース」で男女賃金格差を公表している301人以上の企業9020社を調査した際、平均は全労働者で69・1%、正規雇用74・5%、非正規雇用78・5%。男女賃金格差は企業規模が大きくなるほど拡大していますが、今回の経団連役員企業の平均は、301人以上規模の平均より男女賃金格差が大きくなっています。
深刻な格差となっているのが昨年同様、金融・保険業です。とくに日本生命は、全労働者の格差が38・5%、正規雇用40・2%で、非正規雇用では32・6%と、女性の賃金が極めて低く抑えこまれています。三井住友銀行は今年も、非正規雇用が女性だけで、男女の賃金格差を算出していませんでした。
経団連会長・副会長企業 | |||
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全労働者 | うち正規雇用 | うち非正規雇用 | |
住友化学 | 76.0 | 76.7 | 68.6 |
日立製作所 | 69.5 | 70.9 | 52.4 |
日本製鉄 | 65.6 | 64.8 | 74.6 |
パナソニックHD | 72.4 | 71.1 | 64.8 |
ディー・エヌ・エー | 64.2 | 73.5 | 92.2 |
アサヒグループHD | 70.4 | 79.2 | 67.6 |
東京海上HD | 52.7 | 50.3 | 65.0 |
日本電気(NEC) | 75.3 | 74.6 | 80.7 |
旭化成 | 76.8 | 84.4 | 70.2 |
野村HD | 59.9 | 58.6 | 87.6 |
日本生命保険 | 38.5 | 40.2 | 32.6 |
日本電信電話(NTT) | 76.6 | 77.9 | 73.5 |
三菱商事 | 64.1 | 64.4 | 63.3 |
三菱重工業 | 72.6 | 80.0 | 54.9 |
ヴェオリア・ジャパン | 70.4 | 75.8 | 39.0 |
三菱UFJFG | 50.1 | 53.3 | 54.7 |
日本郵船 | 77.3 | 83.4 | 48.7 |
三井住友銀行 | 45.9 | 52.5 | - |
住友商事 | 59.6 | 59.0 | 46.3 |
ソニーグループ | 81.8 | 81.1 | 84.9 |
名誉会長・歴代会長企業 | |||
トヨタ自動車 | 67.0 | 66.9 | 59.5 |
キヤノン | 74.8 | 75.0 | 74.0 |
東レ | 71.0 | 83.8 | 58.2 |
平均 | 66.6 | 69.5 | 64.2 |
※持ち株会社(ホールディングス=HD、フィナンシャルグループ=FG)などは、各社の中核企業を掲載。パナソニックHDはパナソニック、アサヒグループHDはアサヒビール、東京海上HDは東京海上日動火災、野村HDは野村証券、日本電信電話はNTT東日本、三菱UFJFGは三菱UFJ銀行、ソニーグループはソニー ※三井住友FGの「パート・有期労働者」は、対象者が女性のみのため、男女の賃金の差異を算出していない ※三菱重工、ヴェオリア・ジャパン、三菱UFJ、三井住友銀行は、「非正規雇用労働者」について、正規雇用労働者の所定労働時間をもとに人員数を換算している |