2024年8月4日(日)
きょうの潮流
「真摯(しんし)に受け止める」という言葉をよく耳にします。「真」は正しいこと、「摯」はひたむきな姿勢であり、偽りなく懸命に取り組む姿勢を意味する言葉です▼職員へのパワハラなど、数々の疑惑を告発されている兵庫県の斎藤元彦知事がよく使います。しかし、何を聞かれても「真摯に受け止める」のワンフレーズ。何を受け止め、どうするのかもまったく不明です▼疑惑の発端は3月、元県西播磨県民局長による内部告発。パワハラのほかにも業者からの物品受領、阪神・オリックス優勝パレードの寄付疑惑など7項目にも及びます。知事は「うそ八百」と非難し同氏を解任。元局長は「一死をもって抗議する」とのメッセージを残して亡くなりました▼知事は職員を厳しく叱責したことや、視察先企業から別の物品を受領したことなどを認めざるをえず、疑惑は深まる一方。それでも「県政を前に進めることが私の責任」として辞職を拒否。物品受領も「明確なルールが必要」と論点をすりかえています▼斎藤県政は、自民、公明、立民、維新に支えられ、県民の暮らしには冷たく、不要不急の高速道路や万博関連事業を進めてきました。共産党兵庫県委員会は知事に辞職を求め、疑惑解明と県政の転換を呼びかけています▼元局長は後輩職員にこんな識者の言葉をのこしていたと報じられています。「変えるべきものは変える勇気を」。地元紙の世論調査で、斎藤県政支持は15%、不支持は66%。知事辞職、県政転換こそ県民世論に応える道です。