2024年7月17日(水)
安倍政権時(16年)も人事介入
学術会議会員任命拒否問題 裁判で証言
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日本学術会議の会員候補6氏を菅義偉首相(当時)が任命拒否した問題(2020年)で、この6氏や支援者ら約170人が任命拒否の経緯や理由を記した行政文書の開示などを国に求めた訴訟の口頭弁論が16日、東京地裁(鎌野真敬裁判長)でありました。東京大学名誉教授の小森田秋夫氏が意見陳述で、官邸側から会員候補の入れ替えを求める人事介入が16年にもあったと述べました。
小森田氏は16年9月までの約2年間、日本学術会議で人文・社会科学系の第一部長を務めました。同年の欠員補充の人事について小森田氏は、候補の正式決定前に官邸側からの要求で欠員3に対して2人ずつの候補者を選び、1番と2番の順位をつけて官邸に提示。官邸側からは、そのうちの2人について「理由を示すことなく、順位を入れ替えるよう求められた」と明かしました。
当時は安倍晋三政権でした。小森田氏は「会員候補者の選考に対する官邸の介入の始まりという“前例のない事態”を経験した」と振り返りました。官邸側が難色を示したことは、学術会議の会長だった大西隆氏(東京大学名誉教授)が証言していました。
閉廷後の記者会見で小森田氏は、順位の入れ替えを求めた人物は「杉田和博官房副長官(当時)だ」と述べました。杉田氏の要求を受けて同会議の選考委員会で議論し、欠員の補充を断念することになりました。
小森田氏は、会員候補の選考過程で説明を求めるなどの人事介入が「その後も繰り返された」としています。
原告らは、内閣官房と内閣府が20年の任命拒否に関する文書を「不存在」として開示しなかったことを受け、二つの訴訟で行政文書と個人情報の開示、損害賠償を求めています。