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2024年7月11日(木)

手術なし性別変更認める

西日本の高裁 外観要件「違憲の疑い」

 「性同一性障害」と診断され、法律にもとづく性別適合手術を受けていない当事者が、戸籍上の性別を男性から女性に変更するよう求めた差し戻しの家事審判で、西日本の高裁が10日、性別の変更を認める決定を出しました。

 申立人は、西日本に住む社会人で、日常生活を女性として暮らしています。一審、二審とも申立人の主張を認めなかったため特別抗告。最高裁は昨年10月、性別変更のさいの「生殖不能手術」要件について違憲と判断する一方、変更後の性別の性器と似た外観を備えるという「外観要件」については高裁に審理を差し戻していました。

 高裁の決定は、「性同一性障害」に対する身体的治療としての性別適合手術について、現在では必要かどうかは「患者によって異なる」と指摘。外観要件について手術が常に必要とするならば、「身体への侵襲を伴う手術を甘受するか、性別変更の審判を断念するかという二者択一を迫る過剰な制約」と述べ、「違憲の疑いがあるといわざるを得ない」としました。

 その上で、外観要件についても、「変更後の性別の外性器と特段の疑問を感じない状態で足りる」と指摘。ホルモン療法を継続的に受けると「外性器の形状に変化が生じることは医学的に確認されている」とし、申立人についても、「身体の各部に女性化が認められる」としました。

 性別変更の家事審判は争う相手方がいないため、今回の決定はそのまま確定します。

 申立人は弁護士を通じ「物心ついた時からの願いがやっとかないました。社会的に生きている性別と戸籍の性別のギャップによる生きにくさから解放されることを大変うれしく思います」とのコメントを出しました。


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