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2024年7月10日(水)

きょうの潮流

 それは現職の警察官からの手紙でした。「真実を明らかにすることこそが正義だと信じて」。当時、公安警察による共産党幹部宅への盗聴事件の裁判で警察側が控訴。その無反省さに批判が広がっていました▼本紙に寄せられた手紙には警備警察の内実が記され、国民のため県民のためというが、どこにも正義はないと訴えていました。時を同じく、オウム真理教による一連の事件の捜査も警察の失態があらわに▼松本サリン事件から30年となった先月末、地元の警察が若手警察官らに勉強会を開きました。事件を風化させてはならないと。しかし第一通報者で被害者の人物を犯人と決めつけ、自白の強要や家宅捜索までした捜査についての反省は聞こえてきません▼過去にさかのぼるのは最近の警察の不祥事に同じ根を感じたからです。鹿児島県警ではトップの本部長が警察官の不祥事を隠ぺいしたとして前生活安全部長に告発されました。しかも内部情報を受け取ったネットメディアを家宅捜索しパソコンなどを押収。内部告発した前部長も逮捕されました▼「一連の問題からはこの国の警察組織全体に巣喰(く)った腐臭が漂う」。ジャーナリストの青木理さんは今回の“口封じ”をそう論じます。刑事司法が抱える根深い悪弊の一端も(『世界』8月号)▼タガが外れたような不祥事の続出は福岡や神奈川でも。米兵による性暴力事件が相次ぐ沖縄では県警が政府と一体となって情報を隠していました。だれのため、何のための警察か。いま改めて。


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