2024年6月14日(金)
万博前売り券 企業が大半購入
税制優遇でもサッパリ
前売り目標の19% 販売目標の11%
|
2025年大阪・関西万博の前売り入場券のこれまでの購入者の大半が企業とみられることがわかりました。
日本国際博覧会協会は毎週金曜日に水曜日時点の販売枚数を公表しています。直近4週間の週間販売枚数をみると、約10万、約22万、約4万、約40万と大企業のまとまった購入抜きには考えられない動きをみせています。六つある券種のうち、週1000枚以上売れているのは、関西経済連合会の主要大企業らが購入を進めている「超早割1日券」(大人6000円)だけ。96~99%を占めています。
7日の大阪府議会でも万博推進局の彌園(みその)友則局長が「多くが企業の購入分だ」と認めています。
万博協会は、入場券の販売目標を2300万枚と設定。1400万枚を前売り券として販売する方針で、そのうち700万枚は経済界に依存する計画。万博協会副会長でもある松本正義・関経連会長(住友電気工業会長)は3日の日本記者クラブでの会見で「関経連の主力メンバーにお願いしながら売ってきた」と述べ、関西企業で480万から500万枚の購入見通しを語りました。関西の大企業も「15万枚」「20万枚」などと購入の方針を明らかにしています。それぞれ10億円前後もかかります。
しかし、この企業の購入は国税庁が税務上の優遇措置で後押ししているものです。入場券を取引先に配布しても課税対象の交際費ではなく「販売促進費」として全額損金(経費)扱いにできます。入場券を従業員に配布しても非課税の「福利厚生費」扱いとすることができます。
それでも、累計販売枚数は5日時点で263万枚。前売り目標の19%、販売目標の11%にすぎません。
開幕は来年4月。約1年前に700万枚を販売していた05年愛知万博と比べても大きく立ち遅れています。今回の万博の運営費(当初計画の809億円から1160億円に4割増)は8割強が入場券収入で賄う方針のため、計画通りに売れず赤字になれば、負担が住民・国民に転嫁される危険性があります。費用面からも万博中止が求められています。