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2024年6月12日(水)

北海道 子ども食堂利用の小学生

戦車博物館見学させる

旧日本軍の展示物も 防衛省認める

 自衛隊札幌地方協力本部(札幌地本)が1月、札幌市内の子ども食堂を利用する小学生に陸上自衛隊東千歳駐屯地(北海道千歳市)を見学させた問題で、児童らが敷地内にある「戦車博物館」を訪れていたことが11日までに分かりました。日本共産党の紙智子参院議員が防衛省に問い合わせたところ、担当者が「戦車博物館を含めて一通りの見学をした」と認めました。(丹田智之)


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(写真)戦車博物館の展示内容を紹介した陸上自衛隊第7師団のホームページ

 札幌地本の広報官は昨年9月ごろ、市内にある子ども食堂のうち約80カ所にメールを送信し、中学生以上の子どもと保護者に「自衛隊で勤務するための紹介パンフレット」を渡したいと依頼しました。了承した約10カ所に陸海空自衛隊の広報パンフレットと職種別の採用に関する募集パンフレットを持参し、文房具などの広報グッズも届けました。

 ある子ども食堂では、小学生が体験学習として東千歳駐屯地を見学しました。運営するNPO団体の職員は、札幌地本の依頼を受けて積極的に協力していたとされます。

 紙議員は4日の参院農林水産委員会で、この問題を追及。防衛省の青木健至・政策立案総括審議官は「1月11日に子ども食堂の職員を含む6人が東千歳駐屯地で史料館や施設の見学、車両の体験搭乗などをした」と説明し、事実関係を認めました。

 同駐屯地の敷地内にある第7師団史料館の一部は、ホームページで「戦車博物館」として紹介されています。

 旧日本陸軍の時代から現在までの戦車の特徴、性能などを歴史年表にして展示。戦車の模型のほか、戦場をリアルに表現したジオラマ、日露戦争時をはじめとする資料を展示する「旧日本軍コーナー」があります。

 子ども食堂の児童が訪れたのかは不明ですが、映像視聴コーナーでは「大画面で迫力ある師団記念行事や戦車射撃競技会の映像」を見ることができます。

 防衛省の担当者によると、児童らは陸自のトラックや砲台のない戦車回収車(戦車をクレーンなどで移動させる車両)に乗りました。

 同駐屯地を見学した子ども食堂の寄付サイトには、隊員と同じ迷彩服を着た児童の写真が掲載されています。

 運営団体の代表者は、本紙の取材に応じるかどうかも含めて答えませんでした。

隊員確保のためか

紙智子参院議員の話

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 岸田文雄政権が安保3文書に基づく大軍拡と自衛隊基地の強化を進める中で、将来的な隊員確保のための広報活動を子どもたちにも拡大していると考えられます。

 防衛省は「自衛隊や自衛官について幅広く知ってもらうことが目的だ」と説明していますが、小学生に戦車博物館を見学させることは、展示物を見て「兵器」や「戦闘」に興味を持たせる目的があるとみられます。

 戦車博物館を紹介した陸上自衛隊第7師団のホームページを見る限りは、過去の侵略戦争に対する批判的な視点、武力によらない平和の視点がありません。そうした展示内容は、憲法の精神に反します。

 バランスのよい栄養がとれる食事を地域の子どもたちに提供し、保護者や住民の交流の場にもなっているのが、子ども食堂です。自衛隊の勧誘を子ども食堂で行うのは不適切で、ただちに中止することを求めます。


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