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2024年5月30日(木)

むごい強制不妊 謝れ

賠償請求権消滅は不当

旧優生保護法 最高裁で原告訴え

 旧優生保護法(1948~96年)による不妊手術の強制は憲法違反だとして被害者が国に謝罪と損害賠償を求めて全国で争われている裁判で29日、5件の上告審について最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)で口頭弁論が行われ、原告が苦しく悲しい被害体験を語り、除斥期間適用の不当性を訴えました。


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(写真)最高裁大法廷の弁論のため入廷する旧優生保護法被害者全国原告団、弁護団、支援者=29日、最高裁前

 大阪、東京、北海道、兵庫、宮城各訴訟の原告・代理人が裁判官15人を前に陳述。手話通訳と要約筆記が配置され、さまざまな障害のある支援者らのべ約350人が傍聴しました。

 各原告・代理人は、個人の尊重を掲げた憲法のもとで国が優生保護法を制定し、「障害者を狙い撃ちにして『不良』と決めつけ、子孫を残さぬように根絶やしにすべく、本人の同意をえることすらせず」「口にするだけでも惨(むご)たらしい手術を強制的に実施」した「戦後最大の人権侵害」を厳しく批判しました。

 加害者の国が弁論で争ったのは1点のみ。不法行為から20年経過すると賠償請求権が消滅する除斥期間を適用するかどうか、です。適用しないと「法的安定性を阻害」「訴訟全般に影響」などとのべました。これに対して原告は、差別・偏見のもとで提訴が困難だった事情があり“手術から20年過ぎて訴えても遅い。国を免責する”というのは「著しく正義・公平の理念に反する」と厳しく反論しました。

 高裁判決でただ一つ除斥期間の適用により仙台高裁に訴えを退けられた佐藤由美さん(仮名)と飯塚淳子さん(仮名)について提訴の経緯を代理人がのべました。飯塚さんは97年から被害を訴え始めましたが、国は謝罪も調査も拒否。手術記録が廃棄され、裁判を起こせませんでした。

 2018年に佐藤さんが仙台地裁に提訴後、宮城県知事が飯塚さんを被害者認定したため、ようやく裁判が可能に。飯塚さんが一人で訴え続け、それを助けたいと佐藤さんが提訴し、全国の被害者が裁判に立ち上がりました。代理人は、先駆者の二人を救済する最高裁の判断を強く求めました。


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