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2024年5月27日(月)

主張

企業・団体献金

固執する首相言い訳通用せず

 自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法の見直しが議論されています。裏金の原資は、企業や業界団体による政治資金パーティー券購入という、形を変えた企業・団体献金です。再発防止には企業・団体献金の全面禁止こそ必要です。

 営利が目的である企業の政治献金は見返りを求めるものであり、本質的に政治を買収する賄賂です。しかし岸田文雄首相は言い訳を並べて、企業・団体献金にしがみつき続けています。

■廃止望む声が多数

 岸田首相が必ず持ち出すのが、八幡製鉄(現・日本製鉄)による自民党への献金の是非が争われた1970年の最高裁判決です。

 同判決は、企業の目的が営利だと認めたうえで、直接営利にかかわらなくても、災害時の寄付、福祉事業への協力など社会から期待・要請されるものであればそれに応えるのは「社会的役割」だとし、政党の「健全な発展に協力する」ために政党に寄付するのも同じだとしています。

 しかし、企業献金が政党の「健全な発展」どころか腐敗をもたらしているのは明白です。国民は企業・団体の政治献金を期待するどころか、世論調査でも多数が廃止を望んでいます。

 同判決は、企業も納税しており、国民同様に政治活動の自由があるとします。しかし企業や業界団体は参政権を持ちません。一方、巨大な財力で自らの利益になるように政治を左右し、ゆがめています。これは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害します。

 同時に、同判決は、金権政治、政治腐敗の醸成といった弊害を認め、「弊害に対処する方途は、さしあたり、立法政策にまつべきこと」と述べています。企業・団体献金を禁止する立法措置を否定していません。

 だからこそ、こんにちまで数々の金権腐敗事件が起こるたび、元凶である企業・団体献金の禁止が俎上(そじょう)にのせられてきたのです。

 この判決について岡原昌男・元最高裁長官は、自民党の中で「(判決の)一部だけを読んで企業献金差し支えない、何ぼでもいい、こう解釈しておりますが、あれは違います」と指摘。判決当時、企業・団体献金が行き渡っており、最高裁としては企業献金が違憲とは言えないので、「あれは助けた判決」(93年11月2日の衆院政治改革特別委員会)だと述べています。

■政治買収の賄賂

 岸田首相は、「企業・団体献金は全体の政策を左右する賄賂性はない」とも主張しています。しかし日本共産党の小池晃書記局長が22日の参院予算委員会で告発したように、自民党に巨額の献金をしている財界団体の経団連は大企業向けの法人税減税で「納税者代表」を自称して政府に意見を出し、有利な方向に導いています。法人税減税が繰り返されたこの20年間で自民党が受け取った企業・団体献金は実に464億円にも上ります。

 まともに反論できない岸田首相は「今回の事案(裏金事件)において行政がゆがめられた事実は指摘されていない」とまで言い始めました。違法な裏金づくりへの反省は皆無です。

 今度こそ抜け穴は完全にふさぎ、企業・団体献金を全面禁止することが必要です。


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