2024年5月25日(土)
論戦ハイライト
塩川氏追及 政治資金規正法「改正」自民案
法案提出者が法違反とは
「法案を提出する資格があるのか」。日本共産党の塩川鉄也議員は24日の衆院政治改革特別委員会で、政治資金規正法「改正」の自民党案の提出者である、同党政治刷新本部作業部会の座長・鈴木馨祐(けいすけ)議員の新たな裏金疑惑を追及。政治をゆがめる企業・団体献金の全面禁止を求めました。
塩川氏 パーティー券のノルマはいくらだったのか
鈴木氏 「記録ない」と開き直り
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「しんぶん赤旗」日曜版5月26日号は、鈴木氏が代表を務める「自民党神奈川県第7選挙区支部」の2021年の収支報告書に、全日本不動産政治連盟神奈川県本部などからの計6件、66万円分の寄付収入が不記載だったと報じています。
鈴木氏は「これは事実です」と認め、「精査した結果他に2件あり、合計8件について記載を訂正した」「不適切な状況だった」と述べました。
塩川氏は「政治資金規正法の法案の提出者が政治資金規正法違反を行っていた。法案を出す資格はない」と批判しました。
鈴木氏が所属する志公会(麻生派)では、所属議員が派閥の政治資金パーティー券の販売ノルマを持ち、ノルマを超えて販売した場合のパーティー券代を議員側にキックバックする仕組みがありました。
鈴木氏は自身へのキックバック額について2018年94万円、19年22万円、20年158万円、21年126万円、22年86万円だったと答えました。一方、ノルマ額については「派閥の運営者の立場にないので、目標額を責任持ってお答えできない」などとして、答弁を拒否しました。
塩川 なぜ自分のノルマを説明できないのか。
鈴木 私の立場でわが派の目標額はいくらだったかお答えできない。
塩川 鈴木議員のノルマはいくらだったのか。
鈴木 記録を残していない。
塩川 知らないという話は通らない。
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何度聞いてもノルマ額を答えず、説明責任を果たそうとしない鈴木氏らに塩川氏は「パーティー収入のキックバックが裏金になっていたことが問われている」「去年行ったパーティーのノルマすら答えられない人が答弁者になっていることが信じられない。あまりにも無責任だ」と批判しました。
また、麻生派や、鈴木氏など所属議員の18年以降の収支報告書にはキックバックとみられる寄付の記載があります。ところが17年以前は記載がありません。塩川氏は「志公会の前身の為公会では、所属議員がノルマを超えて販売したパーティー券のキックバックは裏金で渡していた」などの証言を示して追及しました。
塩川 17年までは派閥パーティーのキックバックを裏金として渡していたのではないか。
鈴木 報告書等の保存がなく申し上げられる状況ではない。そういったことはないと私自身の記憶では思っている。
塩川 麻生派の裏金疑惑について調査、検証し、国民の前に明らかにすべきだ。
鈴木 派閥の運営や当時の状況について責任ある立場でないので、お答えできない。
塩川氏は「まともに調べようともせずに、裏金問題の抜本的な解決を行えるはずがない」と批判しました。
鈴木氏 企業にも政治参加の自由がある
塩川氏 政治活動の自由と言いながら実際には賄賂政治の自由だ
「企業・団体献金は全面禁止し、企業との癒着・依存を断ち切るべきだ」―。塩川氏は、30年前の「政治改革」で「政党・政党支部への献金」と「政治資金パーティー券の購入」を認めて企業・団体献金を温存させた「抜け道」をふさぐことが必要だと迫りました。
塩川氏は、リクルート事件以降も国会議員や閣僚の汚職事件などが続き、企業のカネの力で政治をゆがめる問題に国民の批判が大きく広がったと指摘。「賄賂性をもつ企業・団体献金の全面禁止こそ国民主権を保障する道だ」と強調しました。
リクルート事件などが相次いだ1993年、「企業献金は廃止を含めて見直す」としていた日本経団連は2003年に通信簿方式の献金促進策を始めました。政党の通信簿をつけて、いい成績を取った政党への献金を加盟企業に呼びかけるものです。
塩川 金が欲しければいい成績を取れという露骨な政策買収の仕組みではないか。
鈴木 寄付をいただくこと自体が不適切ではない。企業にも政治参加の自由がある。
塩川氏は、経団連が通信簿の模範回答とし取り上げていたのが法人税など大企業の負担軽減と消費税の増税であり、自民党側への献金は今も続いていると指摘。「金も出すが口も出すという賄賂政治そのもので、政治活動の自由と言いながら実際には賄賂政治の自由だ」と断じました。
政党助成金
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企業・団体献金禁止とともに問われているのが政党助成金です。「抜け道」により温存された企業・団体献金とともに二重取りが続いています。政党助成法施行以来、今年4月までに約9250億円もの税金がばらまかれ、自民党にはその半分の約4450億円が支払われています。
塩川 企業・団体献金と政党助成金の二重取りはおかしいとの国民の声にどう答えるのか。
鈴木 現行の法制度上、政党助成金が併存していることも考えれば二重取りという批判は当たらない。
塩川 国民の声は届かないということだ。
各党の運営資金に占める政党助成金の割合(2022年分)は、自民党64・3%、立憲民主党74・1%、日本維新の会72・3%です。塩川氏は、政党の運営資金の大半が税金という「官営政党」批判をどう受け止めるかと問いました。
鈴木氏は「企業・団体も含めて個人、法人も含めて寄付をいただく。そうした方々からの収入をしっかり確保できるよう今回法案の提出もさせていただいている」と答弁。立民・落合貴之氏は「国際的に見ると公費の割合が高い国もある」とし、維新・中司宏氏は「国民に広く薄く負担をお願いすることは、わが国の民主主義の発展のために意義がある」と述べました。
塩川氏は「自民党は企業・団体献金をもっと集めるという答弁だった」と批判。日本共産党が参院に提出している政党助成法廃止法案の実現に力を尽くすと強調しました。