2024年5月19日(日)
全国革新懇総会
「東アジア平和提言」の特徴 草の根の対話と共同を訴える
志位議長の発言
日本共産党の志位和夫議長は18日、全国革新懇総会の討論で、4月17日に党が発表した「東アジア平和提言」について発言しました。
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軍事的抑止力強化の動きに対する抜本的な平和的対案
みなさん、こんにちは。「東アジア平和提言」について、この「提言」に込めた思いについて発言し、討論に参加します。
まず、なぜこの「提言」を発表したのか。最大の目的は、軍事的抑止力強化の動きに対して、抜本的な平和的対案を示すことにあります。
岸田政権が進めている敵基地攻撃能力保有などの大軍拡をどうやって止めるか。もちろんその危険性を深く明らかにしていく努力が必要です。同時に、国民のみなさんが不安に感じているどんな問題に対しても、平和的・外交的解決の道があるということを、説得力を持って示すことがどうしても不可欠だと思います。
「東アジア平和提言」は、そうした外交の可能性をとことん追求するものにいたしました。私たちは、外交の真髄は、国連憲章と国際法にもとづき、粘り強い対話によって、共通点を見いだし、ともに解決することにあると考えます。それは、戦争とは違って、勝者と敗者があってはならず、対等・平等・相互尊重の精神にたち、すべての関係国の利益をもたらすものでなくてはなりません。さらにあれこれの国を排除するブロック的対応でなく、すべての国を包み込む――排除の論理ではなく包摂の論理を貫くことが大切であると考えます。
そうした精神を貫き、現に平和の地域共同体をつくっているたしかな達成があります。東南アジア諸国連合(ASEAN)のとりくみです。ASEANから生きた教訓を学び、東アジアに、北東アジアに、そして世界に、外交の力にとことん依拠して平和をつくりだす具体的提案をまとめあげよう――こういう立場で私たちは「提言」を作成しました。
立場の違いを超えて広く共同可能で、かつ実効性ある内容に
「提言」をつくるさいに一番苦労し、心がけた点は、立場の違いを超えて広く共同可能で、かつ実効性のある内容にしていこうということでした。
たとえば日本共産党は、日米軍事同盟について、国民多数の合意でこれを解消し、非同盟・中立、独立の日本をつくることを綱領の大方針として掲げており、そのための国民的多数派を結束するために一貫して力を尽くしています。同時に、「提言」をまとめるにあたっては、軍事同盟に対する賛成・反対の立場の違いを超えて、緊急に実現すべき内容のものとしました。軍事同盟国とも可能な協力を追求したいと考えています。
またわが党は、「抑止」という問題について、軍事的抑止力の強化で平和をつくっていくという考えには賛成しません。同時に、「提言」では、「抑止」に対する考え方に違いはあっても、あまりに「外交」が不足している、まずは「外交」の努力をすべきじゃないかという方々とも広く連携をはかっていくことが可能となるような内容にすることにも心がけました。
さらに「提言」では、戦争の心配のない東アジアという理想を高く掲げつつ、その実現方法については、現に存在する枠組み・取り決めを活用する――東アジアで言えば「東アジアサミット」の活用・強化をはかる、日中関係で言えばこれまでの日中首脳会談の合意などを土台にして前向きの打開をはかる――というリアリズムに立った現実的アプローチを貫くことにも心がけました。
こうした「提言」の基本姿勢について、海外からも「現実的提案に共感した」「世界の大局に立った提案に驚いた」などの評価が寄せられていることは、うれしいことであります。
東アジアの平和構築のための国民的・市民的運動の呼びかけ
最後に、「提言」は各国政府とともに、市民社会に対して、東アジアの平和構築のための国民的・市民的運動を呼びかけています。
これは何よりも核兵器禁止条約の教訓から学んだものです。この条約の成立は、被爆者を先頭とする市民社会の長年にわたる運動なしにはありえませんでした。東アジアの平和構築という大事業も、各国政府・政党・市民社会の共同したとりくみを行ってこそ成し遂げることができるというのが私たちの考えです。
草の根の運動という点で、全国の革新懇のみなさんが、今日の発言にもありましたが、この問題でも多彩な対話と共同を広げていただくことを、心から訴えるものであります。
私たちは、国際連帯にも力をいれていくつもりです。5月に行われたパリ平和国際会議に、わが党は緒方靖夫副委員長を派遣し、「東アジア平和提言」を紹介したところ、大変強い歓迎の声があがりました。ユーラシア大陸の東と西で起こっている軍事ブロック強化の危険な動きに反対する、日本と欧州での平和運動の連帯強化にも大いに力をいれてとりくんでいきたいと決意しています。
ともにがんばりましょう。