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2024年5月8日(水)

地方自治法改定案

宮本岳志議員の質問(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の宮本岳志議員が7日の衆院本会議で行った地方自治法改定案に対する質問の要旨は次の通りです。


 本法案の最大の問題は、政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断すれば、国の地方自治体に対して発動できる「指示権」を新たに導入することです。

 日本国憲法は、戦前の中央集権的な体制のもとで自治体が侵略戦争遂行の一翼を担わされたことへの反省から、独立の章を設けて地方自治を明記し、自立した地方自治体と住民の政治参加の権利を保障しました。ところが歴代自民党政府は、自治体の権限や財源を抑制し、1999年の地方分権一括法では、「地方分権」を掲げながら、機関委任事務を法定受託事務として事実上温存し、国の「指示」「代執行」などの強力な関与を導入してきました。創設される政府の「指示権」は、法定受託事務ばかりか自治事務にまで国が自治体に「指示」できる仕組みを設けるものです。

 災害やコロナを例示していますが、「重大な事態」の範囲はきわめて曖昧です。時の政府の勝手な判断となるのではありませんか。憲法が保障する「地方自治」を踏みにじり、地方自治体を国に従属させる関係に変えるものであり、断じて許されません。

 すでに政府は沖縄で、民意も地方自治も無視し、名護市辺野古への米軍新基地建設を強行しています。玉城デニー県知事が公有水面埋立法に基づき、沖縄防衛局が提出した設計変更申請を不承認としたのに対して、国民の権利救済を目的とする「行政不服審査法」を悪用して覆し、代執行にまで踏み切りました。住民自治も団体自治も踏みにじっている認識がありますか。

 政府は「安保3文書」に基づき、空港・港湾の軍事利用拡大のための公共インフラの整備をすすめています。「国民の生命・財産を守る上で緊急性が高い場合」に「自衛隊・海上保安庁が柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める」ことを条件として、国が整備費用を負担するとしています。政府は自治体に自衛隊の優先使用を強制するものではないと説明していますが、国が必要と判断すれば、優先使用を「指示」することが可能になるのではありませんか。

 政府は「想定外の事態」に対応するためといいますが、新型コロナ対応では全国の学校の一斉休校など、国の一律の指示が現場に混乱を持ち込みました。能登半島地震の発災から4カ月、依然、下水道は通らずNHKさえ映らない地域があります。待たれているのは、頭ごなしの国の「指示」ではなく、被災自治体の要望に応えることです。国に求められていることをやらず、災害やコロナに乗じて、地方自治破壊の仕組みを導入するなど断じて容認できません。廃案を求めます。


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