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2024年5月6日(月)

きょうの潮流

 1万8786キロ。2009年から22年の間に廃止された乗り合いバス路線の距離です。実に、地球半周分にも▼都市の一極集中とクルマ社会化、過疎化の進行で交通事業者の撤退が加速しました。バス運転手も長時間労働や低賃金のもと減少が止まりません▼福島県いわき市では4月1日からバス路線が大幅減便され、市民から継続を求める声が。埼玉県では撤退を表明したバス会社に対し自治体が共同で要望書を提出する動きも。東京都足立区ではコミュニティーバスが2路線廃止され、社会実験として運行していたバスも中止とされました▼通院、買い物、通学、外出の足をどう確保するか―いまや地方、都市を問わず共通する問題です。07年から町営バスを運行する長野県木曽町。幹線バスと接続する地域巡回バス、乗り合いタクシーを組み合わせて運用。“足”の確保によって、住民の生活の質が上がったと町職員▼東京都北区の浮間地域では、コミュバスの実証運行が3月下旬から始まりました。病院へも買い物で駅に出るにも歩く以外にない地域。住民が安全で文化的な生活を送るためにバスを、と12年もの粘り強い運動で実現しました▼「交通は人権」と語る交通専門家、可児紀夫さん。コミュニティー形成には市民の移動の確保が欠かせず、安心して暮らすには命の交通網を築くことが大切と。生活基盤である地域公共交通の衰退に歯止めをかけるためには、事業者任せにしないで、国や自治体の積極的な関与が求められています。


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