2024年5月1日(水)
スト4回 賃上げ上積み
JMITU超音波工業支部
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日本でストライキが再生し、すべての労働者に物価高騰を上回る賃上げを波及させることが焦点となった春闘の熱気が続くなか、メーデーを迎えました。
JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)超音波工業支部は、今年4回のストライキを実施。メーデー直前の4月後半まで粘り強く団体交渉を続け、ベースアップ(ベア)と定期昇給相当分を合わせた賃上げ総額は、初回回答から3500円上積みし、第5次回答1万6187円(5・01%)を引き出しました。
超音波工業(東京都立川市)は、超音波の性質を利用した金属やプラスチックの接合、洗浄、計測などの装置をつくる企業です。
JMITUは産別統一要求を月額4万円と提起。超音波支部は、職場アンケートをもとに4万1343円の上積み要求を掲げ、春闘に臨みました。
3月6日の初回回答は1万2687円。昨年妥結額の1万3010円を下回りました。ここから超音波支部の逆転の闘いが始まりました。
3月7日の産別統一ストをへて、会社回答は1万4187円と1500円の上積み。高澤新吾委員長は「昨年を超えたところからがスタートだ」と強調し、「物価高騰から生活を守るにはまだ足りない」と、3月14日に半日ストを決行しました。
4月10日の団交。会社は回答額を1万5687円まで引き上げました。ただ、賃上げ率4・85%で、5%に届いていません。組合員からは、「物価上昇に届かない」と会社にもっと踏み込んだ回答を求める声があがり、闘いを続ける決意を固めました。
要求実現 最後までこだわる
「組合員の思いが結果に」
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超音波支部では、賃上げのほか、コロナ感染の病欠に対応する特定事由休暇の継続を望む声もあがりました。「欠勤は一時金の勤怠査定に影響がある」「病気になっても安心できる制度があれば歩み寄れる」と意見が相次ぎました。
支部は「このままでは春闘を終われない」と組合員の意思を確認。時間外労働拒否を継続し、再度団交を申し入れました。
4月17日、会社からは「時間外労働拒否が続くと来客の対応もできない。早く妥結して終わらせたい」と発言があり、回答額は1万6000円台に乗り、5%を超えました。特定事由休暇も3年延長すると回答しました。
支部は4月18日、臨時組合大会を開き、「要求には届かないものの、5%を超える賃上げとなり、一定の評価ができる」として妥結集約を確認しました。
初任給は高卒9000円、大卒1万円引き上げ、60歳以降の再雇用者の基本給も4000円引き上げました。
高澤さんは、「1991年の春闘では、1万8000円の賃上げがあったことを宣伝し、大幅賃上げは可能だという職場世論をつくって闘いを広げた」と指摘。「会社の土俵で闘うのではなく、組合員の思いからくる要求を最後まで追求し、春闘結果につながった」と振り返りました。
今春闘では中小企業、非正規雇用への賃上げ波及が重要テーマとなりました。岸田政権による大企業への「お願い」では、労務費の価格転嫁はすすみません。
JMITUは、ストを構え、労働組合主導の賃上げになってこそ、賃上げを波及させられると、全国の職場で声をあげる全国統一闘争を呼びかけました。JMITU全体の回答集計も3月8日の初回1万409円から、4月13日の1万1022円へと上昇させ、粘り強く闘いを続けています。
高澤さんは、「組合から会社に適正な価格で製品を売るよう価格転嫁交渉を求め、来年以降も堂々と賃上げ要求を掲げる」と強調しました。