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2024年4月30日(火)

衆院3補選 裏金に下された審判

怒り如実に反映

「共闘の魅力」徹底

東京

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(写真)酒井なつみ氏(中央)の当選が決まり、喜ぶ小堤東党江東地区委員長(左)、宇都宮健児氏=28日、東京都江東区

 衆院東京15区(江東区)補選では、市民と野党の共闘候補の酒井なつみ氏(立憲民主党公認)が次点候補に2万票近い大差で勝利しました。岸田政権とその補完勢力への厳しい審判を示すとともに、野党共闘再構築への大きな一歩を築きました。7月の都知事選での共闘の勝利にも影響する結果です。

共闘が勝利の力

 28日、投票締め切り直後に当選確実の報を受けた酒井氏の記者会見では、酒井氏が「市民と野党の共闘候補として、皆さまに支えていただいたことは一生忘れません」と話し、お金や利権で動かない「まっとうな政治」への決意を表明。市民と政治をつなぐ江東市民連合(江東市民連合)共同代表の宇都宮健児氏は、江東区での共闘の積み重ねを紹介し、野党の共闘がこれまで以上に強まったことが勝利の要因となったと強調しました。

 29日付の各紙は、「酒井氏、共闘実る」(「朝日」)、「混戦、一転酒井氏完勝」などと東京15区結果を報道。同日投票の三つの補選で自民が全敗したことを「首相、政権運営に打撃」(「日経」)、「解散慎重論強まる」(「朝日」)などと報じました。東京15区だけでなく島根1区、長崎3区の3補選で、自民党が全敗したことへの衝撃が広がっています。

 江東区では、江東市民連合が市民と野党の共闘を積み重ねてきましたが、今回の共闘前進の道は平たんではありませんでした。

 今年2月1日、柿沢未途議員の辞職により、補欠選挙実施が確定。江東市民連合は同日夜の世話人会で「市民と野党の共闘で勝利しよう」と確認。3月にはこれまで共闘をすすめてきた政党や団体へ、統一候補擁立の加速化を求める要請文を発表しました。

 4月4日に立憲民主党が酒井氏の擁立を発表し新たな局面に。8日には共産党小池晃書記局長が記者会見。立民が野党共闘の意思を示したことを受け、すでに選挙準備をすすめていた小堤東氏の立候補を取り下げ酒井氏の支援を表明しました。

危機乗り越えて

 江東市民連合は両党の決断を受け、4月11日に「キックオフ集会」を開催。その場で酒井氏と共同代表の宇都宮氏が「金で動く自民党の古い政治ときっぱり決別し、国民の声で動く新しい政治を。企業・団体献金は禁止」を始め、「憲法違反の軍拡反対」「ジェンダー平等」「カジノ反対」など8項目での確認書を交わしました。

 旗印が明らかにできたことで、共闘の行動が加速しました。街頭やSNSでの宣伝や、告示後のポスター張り出しや演説の内容の相談などへと共闘の幅が広がり、アイデアが次々実現していきました。酒井氏の宣伝に、立憲民主党の幹部とともに、田村智子委員長や小池晃書記局長、小堤地区委員長や共産党の区議が訴える場面もありました。

共産党最後まで

 共産党地区委員会は、短期間のたたかいになったため「共産党が酒井さんを応援しているのを知らなかった」「誰に投票したらいいのかわからない」などの声が告示後まで残されていることを重視。「5日間作戦」などで一気に後援会員に「共闘の魅力」「激戦の様相」を伝え、酒井支持を広げました。

候補者による「選挙妨害」も

 東京15区補選は、酒井氏を含めて9人が立候補した混戦でもありました。

 告示前に話題を集めたのは『五体不満足』などの著書がある乙武洋匡氏。小池百合子都知事が事実上率いるファーストの会と国民民主党が推薦しました。

 序盤では「私は改憲反対論者ではない。変えるべきところは変えていい」など、保守的主張も。最終盤は「少数者の思いを国会に届ける」と訴えました。知名度のある小池知事が「期間12日の内9日」(乙武氏SNS)応援に入るなど全面支援しました。

 日本維新の会公認の金沢結衣氏は、やはり15区で落選した2021年の総選挙以降、江東区で活動を続けてきたとして「地元密着」姿勢を強調。「憲法9条への自衛隊の明記」なども訴えました。

 最終盤は馬場伸幸代表、吉村洋文共同代表ら維新の「党5役」が一斉に江東区入りする「初めての」(陣営)態勢で支援しました。

 立候補者による「妨害」もありました。

 政治団体「つばさの党」の根本良輔氏の陣営は、演説中の他候補に選挙カーで近づき、大音量で批判したり質問を投げかけたりするなどの行為を繰り返しました。

 各陣営から「有権者がまともに演説を聞けない」「演説の日時をSNSなどで告知できない」などの怒りの声が上がりました。

 開票結果は次の通りです。

当酒井 菜摘37立新 49476

 須藤 元気46無新 29669

 金沢 結衣33維新 28461

 飯山  陽48諸新 24264

 乙武 洋匡48無新 19655

 吉川 里奈36参新  8639

 秋元  司52無元  8061

 福永 活也43諸新  1410

 根本 良輔29諸新  1110

 (投票率40・70%)

「自民王国」でノー

島根

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(写真)聴衆と握手する亀井氏

 28日投開票された与野党一騎打ちの衆院島根1区の補欠選挙で、立憲民主党前衆院議員の亀井亜紀子氏(58)=日本共産党は自主支援=が自民党の新人=公明党推薦=に約2万5000票の大差をつけて勝利しました。自民党の裏金問題が最大の争点になる中、1996年の小選挙区制導入以来、県内の議席を独占してきた「自民王国」で、県民はノーの声を突き付けました。

 亀井氏は28日夜、報道各社の共同インタビューで、勝因について「自民党の裏金問題に対する(有権者の)怒りがベースにあった」と指摘。また、物価高など生活の苦しさから「『(政治を)変えてください』という声かけをいただくのは今回の選挙が初めてでした」と振り返り、「一票一票の皆さんの思いは非常に重たいものだった」と語りました。

 山陰中央新報の28日の出口調査によると、自民支持層の26・4%、公明支持層の28・6%が亀井氏に投票。また、「亀井氏は勝利の条件となる『野党共闘』が機能した」と分析し、野党各党の支持層のそれぞれ90%以上から支持を得ました。勝敗を決めたのが無党派層で、72・4%が亀井氏に投票しました。

 28日夜の当選報告集会で、社民党県連の熱田幸隆幹事長は「野党共闘で対決していくことが全国に広がれば、本当に自民党を倒すことができると、私はこのたたかいで確信しました」と述べました。

 開票結果は次の通りです。

当亀井亜紀子58立前 82691

 錦織 功政55自新 57897

 (投票率54・62%)

金権政治変えんば

長崎

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(写真)当選確実の一報をうけ祝福の花束を受け取る山田氏=28日、長崎県大村市

 28日に投開票された衆院長崎3区補選では、自民党は候補者を立てられずに不戦敗。企業・団体献金の禁止などを訴えた立憲民主党の前職で、社民党推薦、日本共産党も自主的に支援した山田勝彦氏(44)が維新の新人候補に圧勝しました。

 山田氏は勝因を問われ「自民党の腐敗した金権政治をもう変えんば―これに多くの県民が共感した結果だ」と語りました。街頭で維新候補やその応援弁士が旧民主党政権の批判や野党共闘攻撃を訴えたのに対し、山田候補は裏金事件を正面から取り上げ政治改革を呼びかけました。

 NHKの出口調査によると山田氏は10代、20代の7割、30代以降すべての世代で6割超の支持を集めたほか、投票した自民党支持層の50%台後半を獲得。35・45%の歴史的な低投票率のなかでも前回衆院選時の得票に迫る5万3千票余の票を得ました。

 日本共産党は選挙期間中、連日、党員・後援会員が電話で支持を呼びかけました。また、県内のさまざまな要求で結びつく個人が選挙区の枠を超えて支援しました。

 山田氏は本紙の取材に対し、石木ダム建設の再検証、被爆者の救済、入管行政の人権侵害解消に意欲を示し、「小さき声、弱き声を取り上げてこそ本物の政治だ。理不尽な扱いを受けている方々の力になる政治をしたい」と決意を述べました。

 開票結果は次の通りです。

当山田 勝彦44立前 53381

 井上翔一朗40維新 24709

 (投票率35・45%)


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