2024年4月26日(金)
きょうの潮流
先日行われた文部科学省の全国学力テストの問題を見てみました。小学6年の国語の問題です。かつて自分たちが受けてきたテストとのあまりの違いに驚きました▼1問目。ある小学生が、他の学校とのオンライン交流で自分の学校のことを紹介するためにメモをつくり、それを使って交流するというのが問題の設定です。登場人物がどう考えてメモをつくったのか、他校との交流でどんな話し方をしたのかなどを問います。昔のように問題文を読んで意味を考えるようなものはありません▼文学作品を扱った問題もありますが、作品そのものから出題するのでなく、わざわざ作品について子どもたちが話し合う場面を設定し、そこから出題する形になっています▼文部科学省は近年、国語では「実用的」なことを重視する方針です。丁寧に文章を読むことより、メモを作って話したり、「実用的」な文章を読んだり書いたり。まるで企業でのプレゼンや交渉に役立つことを教えているように見えます。学力テストの問題もそうした方針に沿ったものになっているのです▼実用的なことが悪いわけではありません。正確に相手に伝わるように書いたり、話したりする力を育てることはとても重要です。でも学校での国語教育がそれだけでいいのか▼文科省は全国学力テストの目的に「学力や学習状況を把握・分析」することを挙げます。こんな問題で学力が把握できるのか。むしろ、大企業のための人材づくりに教育を誘導する意図が透けて見えます。