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2024年4月23日(火)

主張

離婚後共同親権

高校無償化外しは許されない

 当事者から不安と怒りの声があがるなか、離婚後共同親権を導入する民法改定案が、自民・公明・立民・維新4党の共同提案による修正のうえ衆院を通過し、参院で審議入りしました。法案が新たな人権侵害を生みかねないという懸念に対し、修正の中身は全く不十分です。

 法案は、離婚時に共同親権か単独親権かを両親が協議し、合意できないときは家庭裁判所が判断するとします。

■さまざまな危惧

 法案には、▽離婚協議の際、DVや虐待から早く逃げたいなど不本意でも共同親権を選ばざるを得ないケースがでる▽裁判所がDVを適切に判断できないなど、不本意な共同親権が裁判所によって強制される恐れがある▽子どもの意思を確認する体制が不十分―などの懸念があります。

 共同親権となった場合、子どもの医療・進学・転居などが単独で決められず、そのたびに協議が必要になります。父母間に真の合意がないまま共同親権となった場合、▽重要なことが速やかに決められない▽両親の争いが長期化し子どもにストレスを与える▽DV被害者が加害者から逃げられないなど別居親の干渉・支配を継続させる―など、子どもの福祉、権利を害する危険があります。

 そうした懸念を受け立民は当初、▽父母の合意がない場合、裁判所は共同親権を認めない▽子どもの教育や居所の指定を単独でできる「監護者」に父母の一方を定めることを義務付ける―などの修正案を示しました。当事者の不安に一定応えるものでした。

■新たな問題も判明

 しかし、その後、自民・公明・立民・維新4党が合意した修正案にそれらは入らず、▽監護について定める重要性の啓発▽親権者の決定が父母双方の真意によるものか確認する措置をとる▽施行後5年をめどに必要な見直しをする―などを付則に入れるのにとどまりました。これではあまりに不十分で、DV被害者らの危惧は解消されません。

 審議を通じて新たな問題も明らかになりました。日本共産党の本村伸子衆院議員の質問に、共同親権の場合、高校授業料無償化の所得認定で別居する両親の収入が合算され、無償化の対象から外れる事態が起きることを文科副大臣が認めました。こうした例が児童扶養手当など少なくとも28件あると判明しています。ひとり親支援制度などが使えなくなることがあってはなりません。

 父母が合意に至らず裁判所が共同親権を命じるなら、最低でも監護者の指定を必須とすべきです。

 法案に子どもの意見表明権を明記し、親権・監護者の決定や面会交流などあらゆる場面で子どもの意思・気持ちが尊重されることを明確にすべきです。

 親権という用語や概念を見直し、子どもが安全・安心に暮らせるための親の責務、社会による子どもの権利と福祉の保障を明確にする必要があります。

 立民の石川大我議員は19日の参院本会議で「法案には国民の理解が得られていない」とのべました。そうであれば、安易な修正で法案を通すことがあってはなりません。参院での徹底した審議が必要です。


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